ヨットを愛した父の最後の3年間|高3の長女がつづった『父の航海』

2024.12.24

2023年6月にがん闘病の末に逝去したセーラー、座間一郎さん(享年64歳)。自身が家族や仲間とセーリングを楽しむ一方で、ISPAのインストラクターの資格を取得し、若者たちにセーリングを普及させていきたいという夢を持っていた。

その座間さんの長女である耀永(あきの)さん(17歳)が、愛する父と過ごした最後の3年間、そしてどんなに過酷な状況でも生きることをあきらめなかった父の姿をつづった作品『父の航海』が11月に発刊された。

本作は、第3回Reライフ文学賞で長編部門最優秀賞に選ばれた作品。耀永さんは高校生ながら、非営利型一般社団法人を立ち上げた起業家でもある。その法人名「AZ Bande(アイジーバンデ)」は、自身の名前(Akino Zamaの頭文字)と父の愛艇の名前をかけ合わせて付けたものだという。

父の闘病と向き合った3年間は時につらいものでもあり、思い出すこともはばかられる場面もあっただろう。耀永さん自身も病気で苦しい思いをしたときもあったが、そんなときもいつも温かくサポートしてくれた父。

「父の生きざまは壮絶だった。死にざまもまた、見事であった。私は父の娘であることを生涯誇りに思う」と耀永さんはつづっている。『父の航海』は病から逃げることなく生き抜いた、セーラーそのものの父の姿を残しておきたかったという耀永さんの思いが詰まった作品だ。セーラーならずとも、ぜひ手にしていただきたい一冊。

 

(文=安藤 健/舵社)

 

『父の航海』

座間耀永 著/272ページ/文芸社 刊/1,760円

 

(問い合わせ)
文芸社
https://www.bungeisha.co.jp/

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座間耀永さん(17歳)。朝日中高生新聞特派員。小4から数々の作文コンクールで入賞・優勝歴多数、スピーチ大会優勝、SDGsレポート入賞多数、「言葉」の力で世の中を活性化したいとコミュニティを立ち上げた。これからもセーリングを楽しんでいきたいとのこと
非営利型一般社団法人「AZ Bande(アイジーバンデ」

 


 


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