
ロープワークは、これまで数々のハウツー本が出版されており、最近ではロープ系ユーチューブチャンネルなど、さまざまな動画概説も視聴することができます。ロープの結索方法自体は、そういったものを手本しながら手が覚えるまで繰り返し練習すれば、どなたでも身につけられます。
今回は、その中でも特に〝パドルスポーツに特化〟した結索や、それに付随する応用的な結索を解説していきたいと思います。
(文・写真=嘉藤暖博)
ロープを結索できることは重要ですが、結索自体は道具に過ぎません。覚えた結索をどのように使用するか、結索の特長を把握して適材適所に正しく活用できなければ、実践の場ではあまり意味がありません。
ということで、ここでは状況に応じた結索の具体的な使用例、結索の組み合わせを挙げていきます。
あくまでも「こんな状況だからこういう結束が適切」という紹介ですので、参考にしていただければと思います(掲載した結索の名称で検索していただけたら、手法の解説はいくつも見つかるはずなので、そちらをご利用ください)。
① もやい結び、フィギュア8フォロースルーなど
径が4~8ミリのフローティングライン(係留、シーアンカー、ライニングタイダウンなどにも使用するロープ)を使用。簡易的に結んだり、短時間の結索であれば、もやい結びの結索・解除が早くて便利。長期間結索する必要がある場合は、フィギュア8がスマートで強度も強く好ましい。
艇を係留する場合は、岸側の端はもやい結びやクローブヒッチ。テンションが掛かる場合は、カルミークノットや馬つなぎ結びを使うと解除が早い。
② フィッシャーマンズノット
同様に約6ミリのショックコードを使用。ショックコードはステンレス番線やコードロックで繋げる場合もあるが、結索する際はシングルまたはダブルフィッシャーマンズノットを用いる。素材が伸縮するゴムのため、本結びや一重結びではロープの径が変形し結び目が解除されてしまう。
③ ヒ―ビングラインノット
ロープは4ミリの細引きを使用。ラダーを上げ下げするためのグリップとして使用。8~10巻きするが、巻き数が多いのでキンクに注意が必要。
④ プルージック、クライムハイスト
2~3ミリの細引きを使用。デッキコンパスやマップケースを固定する。クライムハイストは一方向へのブレーキシステムだが、プルージックよりも結び目のドレスアップが簡単。
① ディレクショナルフィギュア8+神戸結び
ロープには4~8ミリの細引き、可能ならスタティックラインを使用。端を引くことによって3倍力で張力が掛かり、ブレーキシステムで固定できる。ディレクショナルフィギュア8のループを作る位置に注意すること。ループの大きさは手の指3~4本が入るくらいに調整するのがポイント。
② クローブヒッチ
ブレーキシステムが解除されないように固定するのが目的。
③ マストノット、自在結び
バウ、スターンの揺れ防止、急ブレーキなどでの落下防止に適している。
④ 南京結び
トラックにカートップする場合に適している。6~12ミリの細引きまたは綿、麻ロープを使用。トラックのようなフック金具が付いているクルマの荷台に固定するのに向いた結索法。
① クローブヒッチ
ロープには3~6ミリの細引きを使用。艇のバウ同士、スターン同士を連結し固定する。流木、パドルなどを併用するのも方法の一つ。
② ダブルオーバーハンドヌースヒッチ(首吊り結び)
ペグ、流木、岩などを利用して固定する場合の結索法。
※ここで紹介するのはあらかじめテント設営のために整地・整備された場所ではない、ペグも使用できないようなフィールドのなかでの結索方法。
① ダブルオーバーハンドヌースヒッチ
テント設営には2~4ミリの細引きを使用。一般的にメーカーはペグ側の結索を自在結びにしているケースが多いが、それが適しているのは整地されたキャンプ場。砂浜や岩場など固定用にペグが使用できないフィールドでは、固定する側の結束にはダブルオーバーハンドヌースヒッチを用いる。
② 自在結び
固定にペグを使えないような場所でのテント設営ではテント側を自在結びで結束し、こちらで張り具合を調節する方が便利。
アンカー(支点)を作るロープワークは艇の係留、崖の上り下り、ピンニング・ブローチングした艇の引きはがし、タープ設営……など多岐に使える。ここでは1インチウェービングテープ、ダイニーマ スリングを使用してアンカーを作る方法を紹介する。
① シンプルアンカー
テープの長さが短い場合は有効。強度は弱くテンションを張っていないと滑り落ちる。
② 3バイト
強度は強い。ただテンションを張っていないと滑り落ちる。
③ ガースヒッチ
強度は弱いが滑り落ちにくい。
④ 3バイト2プル
強度が強く滑り落ちにくい。ただし十分なテープの長さが必要。
⑤ ノーノット
ウェービングテープやダイニーマ スリングがない場合に、メインロープで直接アンカーを取る方法。ロープの摩耗が起きやすい。強いテンションが掛かった場合でも解除しやすい。
※本記事は『カヌーワールド』VOL.30の人気連載「カヤッカーのためのリスクマネジメント教室」から抜粋したものです。バックナンバーもぜひご覧ください
