ヨットやボートをはじめ、カヤックやSUPにいたるまで、海で遊ぶ人たちにとってライフジャケットの着用は必須。ライフジャケットを着用しているか否かで、落水事故の際の生存率が大きく変わってくることは、今さら言うまでもない。
ただ、そんな落水事故が、もしも夜間など視界不良時に起きてしまったとしたら、状況は一気にシビアなものとなる。明かり一つない夜の海で、落水者を探すことは非常に困難をきわめる。
そのため、外洋ヨットレースではフラッシュライトを身に着けることが義務付けられていたりもする。落水の発生と同時に、海に自己点火灯ブイを投げるということも、手段の一つといえるだろう。落水者の位置を把握すること、落水者が見つけてもらいやすい状況にあることは、非常に重要なポイントなのだ。
このほど、OJJ協同組合(静岡県浜松市)が製品化、販売をスタートしたのが「光るライフジャケット」だ。夜間の落水事故発生時でも、これなら早期発見につながるに違いない。
このライフジャケットを考案したのは、浜松市に住む北川奈美江さんという女性。一昨年のこと、北川さんの長男は、夜間に一人でボート釣りに出掛けたのだが、沖に出たまま行方不明になり、捜索開始から5日後に遺体が発見された。北川さんの長男はライフジャケットを着用していたものの、暗い湖面の上での捜索は、非常に難航したことがうかがえる。
そんな悲しい水の事故を二度と繰り返さないために、北川さんは市販のライフジャケットを調べ、海上保安庁に問い合わせるなどして試行錯誤を繰り返した。実際にライフジャケットを着用して浜名湖に浮かんだり、車いすに乗った状態でも着用しやすいかなど、テストを重ねたという。新聞記事でそうした北川さんの取り組みを知ったOJJ協同組合の協力を得て、このほど販売へとこぎつけた。
ライフジャケットの両肩や腹などの部分には、水につかると自動で発光するライトが取り付けられている。赤く光ったり、白い光を放ったりして、発見しやすいのが特徴。着水すると10秒ほどで光り始め、7日間光り続ける性能を持っている。
ライフジャケットの浮力は7.5kg。これは一般的なライフジャケットと変わらない数字だ。
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悲しい水の事故を二度と繰り返さないために──そんな思いから生まれたライフジャケット。今年10月に東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展」でも、大きな注目を集めたそうだ。
(文=安藤 健/舵社 写真提供=OJJ協同組合)
光るライフジャケット
●価格:39,380円
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