スーパーヨット(個人が所有する全長24メートル以上のプレジャーボート)の世界で、アジアNo.1のボートビルダーの座に君臨し続けるホライゾンヨット(Horizon Yachts)。台湾の高雄で1987年に創業、製品の高いクオリティーは、カスタムヨットを求める特別なオーナーたちにも高い評価を得ている。
新しいモデルを絶え間なくリリースし、製造の場においても最新の技術を次々と導入しているほか、2021年には大型の新工場を新設。さらに、アフターサービスやマリーナ事業、コンシェルジュ事業など、プレジャーボーティングにかかわる全般を多角的に展開しており、目の肥えたオーナーたちの高い要求に応えている。
現在は、52フィートから150フィートまで、スタイルも目的も異なる8つのシリーズを展開。中でも、他のシリーズとは一線を画す近現代的なデザインコンセプトを持つのがFDシリーズだ。
設計は、ホライゾンのデザインチームとCor D. Rover(オランダ)のコラボレーションによるもの。より快適に過ごすための空間作りに徹底的にこだわり、これまでのモデルでは難しいとされていた船内レイアウトや居住空間の拡張を実現した。
現在、FDシリーズには、75、80、90、100、110、130の6モデルがラインアップされている。このうち、すでに25隻以上が建造され、最も人気を集めているのがFD90だ。
FD90は、三層のトライデッキを採用しており、その外観は圧巻というよりほかにない。直立気味のステム、そして船体の前方にかけてはフルビーム(7.11メートル)で広がり、かなりのボリュームを持たせている。
ブリッジデッキは、スカイラウンジ(エンクローズド)とスプリットユースブリッジ(セミオープン)の2タイプが用意されている。スカイブリッジタイプの“部屋”の後ろ半分を屋根付きのラウンジにしたものが、スプリットユースブリッジだ。
このハウスの最前部はヘルムステーションとなっていて、整然と景気が並ぶ様子もこのサイズのモデルらしいもの。前傾したフロントウインドーは特徴の一つだが、視界もとてもよさそうだ。
メインサロンの入り口、そこは特別なゲストを招くためのレセプションエリア。奥のダイニングエリアへとシームレスでつながっている。
外観からもわかるように両側に大きな窓が設けられていて、目の前に海が広がる極上の眺望を楽しめるはず。同時に採光性も高いため、すっきりとして明るい空間が実現した。
ダイニングエリアには、10人が同時にテーブルを囲んで食事を楽しむことができる。両サイドには大型の窓が設けられており、抜群の眺望が広がっている。
船首には十分すぎるゆとりにあふれたマスターステートルームが配置され、この種のヨットでは一般的な構成となっている。中央にキングサイズのベッド、船首の両側にヘッドルームが合計2基設けられている。
次に、ギャレーのカウンターの右にある階段を下りて、居住空間となるロワーデッキを見てみよう。
船首にはVIPステートルームが設けられているほか、その後ろの左舷側と、さらに後ろの両舷に、全部で三つのゲスト用キャビンが用意されている。これらキャビンの数やレイアウトは、もちろんオーナーの希望に応じて変更することが可能だ。ここまでが居住空間となっていて、船体の中央部には2基のエンジン(標準仕様ではCAT C18A[1,136馬力]の2基掛け)が搭載されている。
注目すべきはエンジンルームの後ろのエリア。昨今すっかりおなじみとなったビーチクラブ仕様となっており、大きなスイムプラットフォームがあり、トランサムの扉を開けると、目の前にバーカウンターとL字形のソファが現れる。海へのアクセスも容易で、マリンアクティビティーを楽しんだり、ビーチリゾート感覚で過ごすことが可能。フォアデッキのラウンジエリアと併せて、海と太陽を存分に満喫することができるだろう。なお、この入り口からアクセスした奥には、クルー用のキャビンが2部屋設けられている。
最上部のブリッジデッキの最前部には、ヘルムステーションが設けられている。この写真を見ると、フロントウインドーが前傾していることがよくわかる。
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斬新なデザインコンセプトによって、同クラスのモーターヨットでは成しえなかった船上空間を実現したFD90。世界のマーケットでヒットしている理由もうなずける。オーナーはもちろんのこと、ゲストも特別な時間を過ごすことのできる一艇だといえそうだ。
(文=安藤 健/舵社 写真=Horizon Yachts)
SPEC
●全長:27.45m ●水線長:24.79m ●全幅:7.11m ●喫水:1.83m ●排水量:104t ●燃料搭載量:1,500L ●エンジン:CAT C18A(1,136PS/847kW)×2
(問い合わせ)
クリエイション
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