月刊『BoatCLUB』で連載中の「突撃! マリーナレポート」は、全国のマリーナを巡り、その特徴や素晴らしさを読者諸氏にお伝えする連載。舵オンラインでも、その一部をご紹介しよう!!
今回紹介するのは、三重県のマリーナ河芸です。
※掲載情報は、掲載当時(2024年5月)のものです。
伊勢湾西岸の中ほどにあり、美しい朝日が見られると評判のマリーナ
三重県津市
(トップ写真説明)
マリーナ河芸は伊勢湾に流れ込む田中川の河口に面しているうえ、マリーナの出入り口には長い防波堤が延びていることから、風やうねりに非常に強いマリーナだ
抜群のロケーション
東京湾、大阪湾とともに三大湾の一つに数えられる伊勢湾は、湾奥に名古屋という都市圏を抱え、湾口には伊良湖水道を構える、比較的波静かな湾だ。湾内の港湾部ではシーバス(スズキ)やロックフィッシュなどが、沿岸部ではシロギスやアジ、サバ、カマスなどが、中心部ではイナダやワラサといったブリの若魚や、サワラやシオ(カンパチの若魚)などと、一年を通して多彩な魚をねらうことができる。
また、湾口部の伊良湖水道周辺は、言わずと知れた魚影豊かな海域。マダイやタチウオ、ヒラメやイカ類などから、ブリなどの大型の青ものなども人気のターゲットだ。さらに、その先の大王埼沖には黒潮が流れ込み、日本でも有数の大型魚回遊エリアで、カツオやマグロ、シイラやカジキなどもねらえる海が広がっている。
そんな魅力的な海へアクセスできるのが、今回訪れたマリーナ河芸である。伊勢湾の西岸中央部に位置し、湾内はもちろんのこと、湾口の鳥羽までは巡航で1時間程度。時季にもよるが、釣果を求めてそこまで走る人は少なくないという。保管艇のほとんどが釣り目的で、最近ではフィッシング艤装に凝るオーナーも多いのだとか。
事務所と共用スペース、レストランなどが入っている、マリーナのクラブハウスを正面から望む。建屋の裏側には海上係留桟橋が並ぶ
オーナー同士の仲もよく、マリーナの親睦会や忘年会などで仲よくなり、気づいたら一緒にランチなどに行っていたりと、積極的に交流しているそうだ。
「マリーナとしては、そういう交流できる場所を作ることにも心がけています。クルージングイベントもそうですし、実際触ってもらえる航海計器コーナーなども作って、そういった場所がオーナーさんの休憩スペース兼、交流の場になればいいなと思っています」
こう話してくれたのは支配人の阪本純子さんだ。
また、風や波に強いというのも、このマリーナの特長だ。
「河口に面した掘り込み式なのと、河口から延びた防波堤がしっかりしているんですよね。台風のときに、南東の風とか大きなうねりが来ても、マリーナ内は静かです。ほかの場所にボートを置いているオーナーさんが見学に来たときも『こんなに風が吹いているのに、係留艇が揺れていないからびっくりするね』と言われるほどなので、安心して愛艇を置いていただけます」
美しいと評判のマリーナから見られる朝焼けは、当地の自慢の一つ。これだけでも見に行く価値があるだろう
バリアフリーなサービス
マリーナ河芸の経営母体はマリーナやマリン事業だけでなく、モーターサイクルや楽器の取り扱い、福祉関連サービスの提供といった幅広い事業形態を持つダイイチ。そのため、マリーナに隣接するホテルも、レストランも、そしてなんと乗馬クラブまで、すべて同じ会社で運営している。
「グループ全体で、乗馬や音楽、宿泊などコンテンツを豊富に持っているので、ボートだけじゃない遊びを提供できますし、イベントなども自由にハンドリングできます」
昨年(2023年)6月に改装してリニューアルオープンしたというホテルでは、個人利用だけでなく、団体での利用も受け付けており、宿泊も込みの青少年のための自然体験教室なども実施している。
「カヤック体験や魚をさばいたり、海の生き物を観察したりしていますよ。さらに、マリーナ河芸の特長の一つがすぐ隣に天然のビーチがあることなんですが、海沿いを散策することも、乗馬で楽しむことも可能で、マリーナ利用者以外も訪れやすい環境といいますか。レストランに来たお客さまから『あのフネどうやったら乗れるの?』と聞かれて体験乗船につながったりと、間口が広いというか、いろいろなところから海に近づける、海の世界に入っていける、そんな場所をグループ全体で目指しています」
「海の乗馬倶楽部 エルカバージョ」は、ホテルに隣接した乗馬クラブ。ビジターレッスンやビーチを走れるプランなどを用意している
マリーナ内にある「カフェ&バーベキュー マーメイド」では、ヤシの木に囲まれた南国チックな雰囲気で、プレジャーボートを眺めながら食事を楽しむことができる
ちなみに、同ホテルの海側の部屋からは、この地自慢の美しい日の出が見られるそうだ。
「初日の出もきれいなんですよ!でも、あまりの人気にマリーナスタッフも近づけないほどの渋滞で、私は今年断念しました(笑)」
抜群のロケーションに、いろいろな遊び方ができる環境、アットホームな雰囲気など魅力たっぷりなマリーナ河芸。陸上保管は現在募集中とのことなので気になる人は連絡してみては。今シーズンからはヨット教室も開催中とのこと。また、ヤマハマリンクラブ・シースタイルのホームマリーナの一つでもあるので、まずはレンタルボートでマリーナや周辺海域を訪れてみる、というのもアリかも。
マリーナに隣接するシーサイドホテル「ライフ&ホテル ウミモリ」は2023年6月にリニューアルしたばかり。充実したアメニティーとオーシャンビューの部屋が自慢の快適空間だ
(文=茂木春菜/『BoatCLUB』編集部、写真=マリーナ河芸)