早稲田大学、慶應義塾大学、同志社大学、関西学院大学の各体育会ヨット部による、四大学OBOG戦というヨットレースをご存じだろうか? 実はこの四大戦は、2024年大会で50回を数える超老舗イベントなのである。早稲田の「早稲田ヨットクラブ」、慶應の「三田ヨットクラブ」、同志社の「同志社鯨会」、関学の「KGセーリングクラブ」の4団体のOGOBが集い、年に一度ヨットレースを開催し懇親するものだ。
これまで、A級ディンギーやスナイプ級などのディンギーでの開催や、キールボートでの開催など、フォーマットにとらわれない自由なレースを楽しんできた。幹事は毎回持ち回りで担当し、50回大会は、同志社鯨会が務めることになった。
レース委員長は同会の後藤浩紀さん(SAILFAST代表)。後藤さんは、毎回のイベントに参加するメンバーがある程度固定化してしまった現状に対し、今回は各団体のトップセーラーや若手セーラーを集め、より注目度の高まるイベントにしようと画策。これは前回の49回大会の懇親会の場で後藤さんが提案したアイデアであり、まさに有言実行の結果となった。
後藤さんが集めたメンバーが実に素晴らしい。慶應チームのスキッパーは山田 寛さん(パリ五輪セーリング競技日本チームコーチ、元470級ナショナルチーム、J.F.P代表)、同志社チームは松永鉄也さん(OP級アジア大会銀メダル、北京五輪男子470級代表)、関学チームは小栗康弘さん(中村学園三陽高校ヨット部から関学ヨット部、インカレ個人戦優勝)、早稲田チームは岡田奎樹さん(パリ五輪男女混合470級銀メダル、トヨタ自動車東日本)をそれぞれスキッパーに迎え、最強の布陣でレースを行った。
さらに早稲田チームには、パリ五輪49er FX級代表の田中美紗樹さん/永松瀬羅さん(共に豊田自動織機)も参加。オリンピアンが実に4人(メダリスト含む)という、大変なメンバーが集まった。
レースは2024年11月24日(日)、葉山マリーナ沖で行われた。使用艇は、NST(日本セールトレーニング葉山)のレンタル艇、ヤマハ30Sを使用。西風16ノットのコンディションのなか、公平にリーフ(縮帆)の指示が発布。スピネーカーの使用もなしとされた。
普段からキールボートのトップシーンで活躍する、山田 寛さんの慶應チーム、松永鉄也さんの同志社チームがレースを先行。特に慶應チームは3レース連続トップという快挙を見せ、続く同志社チームが最後に一矢報い、レースが終了した。オリンピアンが3人乗った早稲田チームはふるわず。聞けば練習回数ゼロ、今日も海面に出てから動作を合わせたと岡田奎樹さん。結果はよくなかったものの笑顔で話すその様子は、今回のイベントを存分に楽しんだことを物語っているようであった。
レース後は舞台を陸に移し、「シェアビレッジ葉山」で懇親会および、表彰式が開催された。観覧&応援に駆け付けたOGOBとレーサーたち。上は92歳から、下は23歳まで40人の四大関係者が集結。懇親会では、筆者(舵社/中村剛司)の司会により、永松瀬羅さん、岡田奎樹さん、田中美紗樹さん3人のトークショーも行われた。
レース委員長の後藤浩紀さんの発案によるこのトークショーのお題は「インカレ早稲田5連覇」「インカレの在り方」「2028ロス五輪」について。陽気な岡田さんの軽妙なトークが会場に笑顔を巻き起こしつつ、早稲田ヨット部のひとつ上の先輩・瀬羅さんがビシッとしめる。そこへ奎樹さんの二つ下の美紗樹さんがほんわかとしたコメントを残し会場に温かさを注入。実に愉快なトークショーであった。
大変な盛り上がりを見せた四大学OBOG戦。その様子を写真集でお送りする。
第50回 四大学ヨットOBOG戦 成績表
1位 三田ヨットクラブ(2号艇) 1-1-1-3 総合6点
2位 同志社鯨会 (5号艇) 2-3-2-1 総合8点
3位 KGセーリングクラブ(6号艇) 3-2-3-4 総合12点
4位 早稲田ヨットクラブ(4号艇) 4-4-4-2 総合14点
2024/11/24 於:葉山沖 レース委員長 後藤浩紀
(文・写真=中村剛司/Kazi編集部 写真=西 朝子)
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