エクストリーム異種格闘技戦/最強トライアル 流迅(RYU-JIN)!

2021.03.06

日々進化し続けるセーリング。現在はヨットにおいても水中翼を有したフォイリング艇が台頭しはじめている。アメリカズカップもヴァンデ・グローブもフォイリング艇だ。エクストリームスポーツである、ウインドサーフィンも、カイトサーフィンも、SUPだってフォイリングする。

そんななか……一番速いヤツはいったい誰なんだ!? 的、選手権、スピードトライアル「流迅(RYU-JIN)」in 葉山が開催された! フォイリング4競技に、爆走ギア、カイトTTとウインドスラロームの2競技を加えた6種のエクストリームスポーツが参加した。

主催は関西のマリンギアショップ「ゆうこうマリン」。

今年からネット上で開催されている「流迅」イベントをより多くのセーラーに浸透させるため、フォイリングの聖地の一つ、葉山でリアルイベントを開催したのだ。

 

イベント当日、2月27日(土)。北東の風20~30kt。最高のコンディションの葉山港に集まったのは、各ジャンルを代表する6人だ。勝負は上下ソーセージコースのレースと、ダウンウインド1本のスラロームレースで競われた。

それぞれ、絶対に負けられない戦いに挑む猛者たちである。

最強、最速を競う興奮のバトルが開催される! 

 

 

スピードに取りつかれた猛者たち。 それぞれに自身のギアを手に、大集合。

このイベントの発案者は、ゆうこうマリン代表のフェレル・コリンさん(右から3人目)。カナダからやってきたセーラーで、兵庫県でセーリングギアショップを営む。「ヨット部を卒業したセーラーはほとんどヨットをやめてしまう。高価なヨットが持てなくても、カイトやウイングなら安価だしバースもいらない。こういったエクストリームスポーツがセーリングを継続してもらうきっかけになれば、との思いで流迅を企画しました」(コリンさん)

Kazi誌で活躍する海ガールの矢口あやはさん(右から2人目)もレポーターとして参加しました♪ 

 

 

出艇前、それぞれのギアを説明する選手たち。あやはさんも取材に余念がありません

 

 

■エントリーナンバー1
ウインドフォイル/iQフォイル
倉持大也選手

パリ五輪からオリンピック種目になるiQフォイル。フォイル付きのボードを使用したフォイリングウインドサーフィンである。厳格なワンデザインとなり、ボードとセールは同一規格のものを使用しなければならない。今回の戦いでは、ギアを選択できない分、不利であると目されたが……。 

 

 

■エントリーナンバー2
ウイングフォイル
穴見知典選手

フォイリングSUPに乗って、インフレータブル型のウイングを手に持ちはじまったウイングフォイル。現在は高速化にともない、ウイングフォイル専用のフォイルが発売されている。穴見選手は大分県をベースに、ウイングフォイルの普及を推進する。ウイングは3種類。風域にあわせて選択可能だ。まだ生まれたばかりのギアであり、試行錯誤の真っ最中であるという。 

 

 

■エントリーナンバー3
ウインドサーフィン/スラローム
穴見賢太選手

RS:X級とは違い、スラローム競技に特化したウインドサーフィン。ボード、セールともに複数用意され、風域に合わせてギアの選択が可能。スラローム艇なので上下レースには不参加。スラロームレース一本にしぼり挑んだ。賢太選手は穴見知典選手の弟だ。 

 

 

■エントリーナンバー4
カイトサーフィン/TT
市川航平選手

フォイルを持たないカイトサーフィンTT(ツインチップ)で参戦した市川航平選手。言わずと知れたプロセーラーである。ふだんは月光チームなどで活躍。セーリングできない強風時にはじめたカイトに、現在はすっかりのめり込む。TTでスラローム一本勝負を挑んだが、途中フォイルボードにギアチェンジし上下レースにも果敢に参戦した。ベスト風域は30kt以上。この日はアンダーパワーに悩まされた。 

 

 

カイト2艇はまさに暴れん坊! レース海面を爆走する

 

 

■エントリーナンバー5
カイトフォイル/フォーミュラー
楠瀬和旺選手

競技用カイトサーフィン、フォーミュラー級で参戦した楠瀬選手(ゆうこうマリン所属)。今回の流迅イベントをけん引するサーファーの一人であり、カイトサーフィンのスペシャリスト。レースクラスを中心に活躍するがビッグエアーも得意。フィニッシュ後には豪快なジャンプを見せて周囲を沸かせた。最高到達高度は8m超! 

 

 

 ■エントリーナンバー6
フォイリングディンギー/モス級(ビーカー)
後藤浩紀選手

ディンギーを代表し、フォイリングセーラー後藤浩紀選手が参戦! 「ディンギー代表じゃないですよ。ぼくは、"ヨットを代表"してここに来ました」と後藤選手。モス級の国内最速記録(32.6kt)保持者が、カイトやウインドがひしめく流迅に乱入。数年前、カイトサーフィン、ウインドサーフィン、モス級による異種格闘技戦を開催した経験を活かし、戦う。当然ながらほかの種目とは違い、艇体やセールは1種類のみ。ハンディキャップを負った戦いに挑む。 

 

 

上下コースのレースはフォイリングディンギー(モス級)が有利と目されたが、iQフォイルがすばらしい走りを見せ、2レース勝利。

スラロームでは、幻となった1レース目はモス級が終始優位に立つも、フィニッシュラインが告知と異なりノーレースに。コースを修正されて行われた第2レースでは、カイトフォイルの楠瀬選手がトップ、2位はほぼ同着でモス級の後藤選手、iQフォイルの倉持選手がフィニッシュラインを切った。 

 

 

速度計測アプリ「Relive」のデータを持ちよる選手たち

 

 

この日の最高速度は後藤浩紀選手の63.9km/h(34.5kt参考記録。右端)。

後藤選手の艇に装備した個別のGPSデータでは、29.9kt。計測誤差はあるものの、相対的に見て後藤選手が最高速度をマークしたことは間違いない!

ヨット代表、後藤選手! ありがとう!!!!

 

Reliveによる記録

後藤浩紀選手 フォイリングディンギー 63.9km/h

穴見賢太選手 ウインドサーフィン 59.9km/

穴見知典選手 ウイングフォイル 53.0km/h

倉持大也選手 ウインドフォイル 50.6km/h

市川航平選手 カイトサーフィン 45.4km/h

楠瀬和旺選手 カイトフォイル 計測エラー

 

今回の取材は、海ガールの矢口あやはさんが、体を張ったレポートを敢行。こちらの記事はKazi 6月号(5/1発売)に掲載予定です。

 

(文=Kazi編集部/中村剛司 写真=舵社/山岸重彦)

 

※関連記事は月刊Kazi2021年6月号に掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ 

 

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ゆうこうマリン「流迅」HP

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