第36回アメリカズカップ(AC)の予選、アメリカズカップ・ワールドシリーズ(ACWS)、クリスマスレガッタが12月17~20日に開催された。
採用艇はAC75クラス。モノハルにして左右に振り上げ式の巨大フォイル(水中翼)を有する、モンスター・フォイリングボートだ。 防衛チームはエミレーツ・チームニュージーランド(ニュージーランド)。
挑戦者はルナロッサ・プラダピレリ(イタリア。挑戦者代表)、イネオス・チームUK(イギリス)と、アメリカンマジック(アメリカ)の3チーム。
本来ならば挑戦チーム各国でACWSの開催が予定されていたが、コロナ禍の影響でレースはキャンセルされ、本大会は防衛チームの母国であるニュージーランドのオークランドで行われた。このACWSクリスマスレガッタが、第36回ACの最初のイベントとなった。
レースは、現在真夏の南半球のすばらしいコンディションのなか行われ、AC75による大迫力のフォイリングシーンは全世界に配信され、その光景に世界中のセーラーが震え上がった。
初回の戦いを制したのは防衛者であるエミレーツ・チームニュージーランド。挑戦者の1位は アメリカンマジックとなった。
今後のスケジュール
2021年1月15日~1月24日:プラダカップ・ラウンドロビン
2021年1月29日~2月2日:プラダカップ・セミファイナル
2021年2月13~22日:プラダカップ・ファイナル
2021年3月6~15日:第36回アメリカズカップ(本戦)
photo by Emirates Team New Zealand
ACWSクリスマスレガッタのダブル・ラウンドロビンを5勝1敗で駆け抜けたエミレーツ・チームニュージーランドが、最初のイベントを制した
photo by Emirates Team New Zealand
全4チームのヘルムスマンたち(一部スキッパー兼任)。左から、ジミー・スピットヒル(ルナロッサ・プラダピレリ)、ピーター・バーリング(エミレーツ・チームニュージーランド)、ディーン・バーカー( アメリカンマジック)、ベン・エインズリー( イネオス・チームUK)
photo by Emirates Team New Zealand
チーム名:エミレーツ・チームニュージーランド/艇名〈テ・レフタイ〉
挑戦ヨットクラブ:ロイヤル・ニュージーランド・ヨットスコードロン
問答無用の防衛チーム。前大会を圧倒的な力で制したピーター・バーリング(スキッパー)と、ブレア・デュークのコンビを中心に第36回大会も万全の体制で戦う。グレン・アシュビーも、もちろんチームに参加。スキッパーはバーリングが務め、重鎮グラン・ドールトンは陰からチームを動かす。前大会に引き続き、最年少でありながら神がかり的なボートコントロールを見せる、バーリングのハンドリングから目が離せない!
photo by COR 36 / Studio Borlenghi
チーム名:アメリカンマジック/艇名〈パトリオット〉
挑戦ヨットクラブ:ニューヨーク・ヨットクラブ
テリー・ハッチンソンを中心に、往年のACシンジケートであるニューヨーク・ヨットクラブが第36回大会にエントリー。ヘルムスマンは、前大会、日本代表チームのソフトバンク・チーム・ジャパンのスキッパー、ディーン・バーカーが就任。第35回ACWS福岡大会のあの記憶が鮮明によみがえる! われらがバーカーが舵を取る感涙のチームである。建造段階からかなりの遅れがあり不安がよぎったが、蓋をあければ堂々の2位通過。まさかの走りでオークランドを熱狂させた。
photo by Luna Rossa Prada Pirelli | Studio Borlenghi
チーム名:ルナロッサ・プラダピレリ/艇名〈ルナロッサ2〉
挑戦ヨットクラブ:シルコロ・デラ・ベラ・シシリア
前回大会を不服として途中退席したビッグオーナー、プラダのCEOであるパトリツィオ・ベルテッリ率いる最強軍団。挑戦者決定シリーズも、自身のブランド名を冠した「プラダカップ」として、本大会を完全に仕切る。ヘルムスマンに、前大会のライバルであったオラクル・チームUSAのジミー・スピットヒルを招致し、背水の陣を敷いて挑戦する。本チームは、スピットヒルとフランチェスコ・ブルーニのダブルヘルムマン方式で参戦した。
photo by C GREGORY / INEOS TEAM UK
チーム名: イネオス・チームUK /艇名〈ブリタニア2〉
挑戦ヨットクラブ:ロイヤル・ヨットスコードロン
英国の威信をかけ、勲爵士ベン・エインズリーがけん引する気迫の挑戦チーム。AC75同様フォイリング艇であり、全チーム同型艇で競うSailGP(こちらはカタマラン)に同チームで参戦し、ネイサン・アウタリッジやトム・スリングズビーといった前ACでも活躍した屈強なヘルムスマンを退けたにも関わらず、第36回ACでは苦戦を強いられている。五輪4大会連続金メダルを獲得した凄腕セーラーがまさかの今レース全敗。悲劇のエリートセーラーに、対等に戦えるボートを用意してほしい……。
12月17~19日に開催された第36回アメリカズカップ・ワールドシリーズ・クリスマスレガッタのダブル・ラウンドロビンの総当たり表。全12レースで競われた
ACWS各日のリザルト
ACWSオーバーオール
プラダカップ日程。2021年1月15日~1月24日にプラダカップ・ラウンドロビンが開催され、1月29日~2月2日:プラダカップ・セミファイナル(4勝先勝)、2月13~22日:プラダカップ・ファイナル(7勝先勝)を経て、第36回ACへの挑戦権を獲得する
2021年3月6~15日、第36回アメリカズカップ(本戦)が開催される。プラダカップを制した挑戦チームと、防衛チーム/ エミレーツ・チームニュージーランドが7勝先勝のマッチレースでアメリカズカップを戦う!
第36回アメリカズカップ・ワールドシリーズ・クリスマスレガッタ
ダイジェスト動画はコチラ
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第36回アメリカズカップ公式サイト
https://www.americascup.com/
(文=Kazi編集部/中村剛司)
※続報はKazi誌、3月号(2/5発売)、4月号(3/5発売)、5月号(4/5発売)にも掲載予定