ハイシーズンを楽しもう♪/良型シロギスのねらい方

2021.05.12

少しずつ暖かくなり、本格的なシロギス釣りのシーズンがやってきた。数釣り、良型釣りの両方が楽しめる季節だが、本記事では、現在発売中の月刊『ボート倶楽部』6月号の特集「シロギス大研究」から、良型のシロギスを釣るために必要な情報を一部抜粋してお届けする。

『ボート倶楽部』6月号では、良型シロギスのねらい方だけでなく、一般的な釣り方・タックルの紹介、数釣りの方法、極上のシロギス料理なども掲載。シロギスファン必見ですよ!!


 

デカギスを求めて

毎年5月に、神奈川県三浦市にあるリビエラシーボニアマリーナを会場に行われているキスマスター。4人以下で構成されるチームごとに、4尾の合計叉長を競うシロギス釣りの大会だ。ほかのマリーナのボートや可搬型ボートも参加できるとあって、毎年100チーム前後がしのぎを削る、関東でも指折りのフィッシングイベントである。

『ボート倶楽部』編集部も毎年のように参加しているが、2019年の結果は、4尾で620ミリ(42位)と惨敗。例年、優勝チームの合計叉長は1,000ミリ前後、すなわち、250ミリ平均で4尾そろえてこなくては、優勝にはほど遠いということになる。大会中は、制限時間もあり、4尾そろえるのも結構大変だったりして、サイズを求めるレベルに達するのすら難しい。

ちなみに、一般的に大きなシロギスのことを「尺ギス」(300ミリ以上のシロギス)と呼ぶが、250ミリといっても相当のサイズである。「貴婦人」という呼び名に似つかわしくないイカつい顔立ちに、単1乾電池ほどの太さもある胴回り。見た目の印象は、カマスとかサヨリに近いのではないだろうか。

 

そんなデカギスを4尾そろえて、合計叉長1,004ミリで2019年大会を征したのが、油壺京急マリーナにボートを置く「ランサム・ランサム」チーム。良型シロギスの釣り方は、キスマスターの優勝チームに聞くのが一番だ、ということで、早速連絡を取り、取材させていただく運びとなった。

取材は4月頭の、海の穏やかな日に実施。メンバーは、船長の川守田孝治さんと、クルーの小澤正弘さん、廣川浩一さんの3人だ。

早速だが、具体的にはどういう場所が、良型のいるポイントになるのだろうか。

「ちょっと具体的な場所についてはお話できないんですが、一般的に根が点在する砂地に良型は生息しているといわれていますよね。なので、そういう場所をいろいろとねらってみて、ここでは釣れた、あっちでも釣れたっていう感じで蓄積していきました」(川守田さん)

 

有力ポイントを根気強く

ねらい目の水深はというと、  「12メートル前後が基準で、深くても15メートル。浅いところは、危なくないところまで。だからほら、魚探がずっと警告音を出し続けています」(川守田さん)

ちなみに、考え方としては、たくさん釣って良型を交ぜるのではなく、良型にねらいをしぼって釣りをする。そのため、そういうポイントをしっかり押さえていくことが重要となる。

タックルを細かく見ていくと、全員市販のテンビン仕掛け。川守田さんと小澤さんは1本バリで、ハリスはそれぞれ50センチと120センチ、廣川さんは2本バリの市販の仕掛け(1本バリのときは自作)。ロッドは全員ダイワ・アナリスターキスM-180、リールは2000番か2500番で、PE0.8号にリーダーを接続。ハリスは1号か1.5号、ハリは9号。エサは、口から入れて少し通してからハリ先を軽く出し、1匹まるまるで使い、残りは日陰に置く。オモリは7~15号を水深に合わせて変える。

「良型が一荷で釣れることはまずないので、1本バリでいいんです。良型ねらいだと、基本的には数は釣れません。それで焦って数が釣れるところに移動して、そこで釣れちゃって楽しいから、ずっとそこにいちゃうんですね。でも、大型を釣ったことがある人なら、そのポイントでじっと待てるんです。そのうれしさを知っているから(笑)」(小澤さん)

この日は、正味3時間の釣りで、良型2尾をゲットした。特筆すべきは、釣れた2尾中2尾が良型だったこと。根の周りに身を潜め、天敵から逃れながら大きくなるまで成長したシロギスは、やはり少数だし、警戒心も強い。良型ねらいは、釣り人と魚の根比べでもあるようだ。

また、手返しのよさが釣果に直結するのはいうまでもない。エサが取られてから、再投入までの動きは全員スムーズだったし、その場で仕掛けを自作するスピードも目を見張るものがあった。ポイント移動中には、ささっとエサ付けと仕掛けの組み直しは終えて、ポイントに着いたら船長の合図とともに仕掛けを下ろす。当たり前だが、エサが海中にない限り魚は釣れないわけで、基本中の基本ともいえる手返しのよさは必須スキルだ。

以上のランサム・ランサムチームのノウハウを生かして、みなさんも良型シロギスをねらっていただきたい。
「根が点在する砂地」と「辛抱」が重要なキーワードです。お忘れなく。

 

この日は、ジャリメ(下)、アオイソメ(右上)に、たまたま見つけたので買ってみたというオレンジイソメ(左上)を用意。普段はジャリメがメインで、少しアオイソメを持っていくという

 

エサは1匹まるまるに、持ちがいいように口からハリを通す。これが食えるサイズのシロギスだけが掛かればいい、という考え方のようだ

 

それぞれの釣り座につき、ちょっと投げたり、真下を攻めたりして、シロギスのアタリを待つ。最初こそアタリすらなかったが、何度か流し変えていると、徐々にエサが取られ始めてきた

 

「いたら釣れる」ということなので、釣れないとわかれば頻繁にポイントを移動したり、流し直したりする。昼前に、川守田さんのサオ先にアタリが。ゆっくりをサオを立ててフッキングしファイトへ移行

 

この日釣れた2尾。よく見るサイズとは違って体高があり、ハリのあるような見た目だ

 

取材させていただいたのは、右から、
川守田孝治さん:「ランサム・ランサム」チームのキャプテン。貸しボートなどを経て、2014年から現在の愛艇ヤマハYF-21CCに乗艇。キスマスター歴約15年
小澤正弘さん:釣り歴約50年。ボートでのシロギス釣りを楽しんでいたのは数十年前。2019年のキスマスターに参加し、25センチ級のシロギスをゲット
廣川浩一さん:釣り歴28年。投げ釣り、シーバス(スズキ)などを経て、現在は川守田さんとボート釣りに行く仲間。1級ボート免許所持 

 

(文・写真=BoatCLUB編集部/幸野庸平) 

 

※本記事は『ボート倶楽部』2021年6月号より抜粋。バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。

 


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