リビエラグループ(以下、リビエラ)が所有し、本格的なレストアを行った大型木造帆船〈シナーラ〉が、英国の権威ある専門誌『Classic Boat』が主催する「Classic Boat Awards 2021」において、「帆船レストア・オブ・ザ・イヤー/40ft以上(Restored Sailing Vessel of the Year, over 40ft)」を受賞した。「クラシックヨットに関わるすべての人の情熱と献身を讃えて贈られる賞」である。
1927年に進水して100年近い歴史を持つ〈シナーラ〉
〈シナーラ〉は、1927年(昭和2年)に英国サウサンプトン近くの港で進水した全長96フィート(29.26m)、全幅18.7フィート(5.69m)、総重量73トンの2本マストのガフケッチ型ヨット。初代オーナーの「世界最高峰の船を造る」という意向を受け、素材集めだけに約10年を費やし、英国のCharles E Nicholson(チャールズ・ニコルソン)が設計、キャンパー&ニコルソンズ社が建造した。進水から100年近くを経て、かつ完成度の高い、クラシックヨットの中でも希少価値のあるヴィンテージヨットだ。
ここではその航跡を振り返る余裕はないが、縁あって、1973年(昭和48年)に日本にやって来た〈シナーラ〉。以来48年間、リビエラシーボニアマリーナをホームポートとし、現在はリビエラが所有している。7枚の帆が美しく優雅な〈シナーラ〉は「海の貴婦人」と称されている。
相模湾でその美しい姿を見せる〈シナーラ〉
この貴重な帆船の価値を後世に伝えるために、リビエラでは2015年(平成27年)に「CYNARAレストアプロジェクト」を立ち上げ、リビエラシーボニアマリーナの特設ドックにて、日本初となる大型木造クラシックヨットの本格修復に着手した。
世界から帆船レストア技術を持つ職人を招聘し、約6年にわたるレストア作業を実施。可能な限りオリジナルに、そして建造当時の部材を生かすことにこだわり、例えば船体のチーク材は1枚1枚をていねいにはがして磨き上げ、92%を再利用したという。日本にその技術を伝承すること、そしてそれらを記録し貴重な資料として残すことも目的の一つとした。
世界から集まった職人たちが約6年の歳月を費やして修復した
最後に、今回の受賞に際してリビエラが発表したメッセージを記載する。このような貴重な取り組みが日本のマリン界で行われたことに、惜しみない拍手を送りたい。
(文=舵オンライン編集部 写真=リビエラグループ)
「Classic Boat Awards 2021」受賞への感謝のメッセージ
2015年にプロジェクトを立ち上げ、総力を結集してレストア(完全修復)に取り組んできたリビエラ所有の歴史的木造帆船『CYNARA』。
6年の歳月を経て「海の貴婦人」と称された姿を取り戻したCYNARAが、この度、英国の権威ある専門誌『Classic Boat』主催の「クラシックボートアワード2021」において、「帆船レストア・オブ・ザ・イヤー(40ft以上)」受賞の栄に浴しました。
多大なるご声援をいただいた皆様、熱き一票を投じてくださったすべての方々に、衷心より御礼申し上げます。
約100年の歴史的価値を有するCYNARAを、ひたすらオリジナルにこだわって修復し、末長く後世に残したい――。SDGsにも通じるこのリビエラの理念に呼応して、CYNARAのホームポートであるリビエラシーボニアマリーナ(湘南・小網代Bay)の特設ドックに集結したのは、世界12カ国・50人の職人たちです。まさに“リビエラファミリー”として深い絆を築き、この「海の貴婦人」に新たな100年の息吹を吹き込んでくれた仲間たちに、心から感謝しています。
この6年を振り返れば、数え切れないほどの困難に立ち向かった日々でした。全員の創意工夫と、必ずやり遂げるという強い信念が、この度の受賞に結実しました。今、日本はもとより全世界がコロナ禍で大変な状況です。しかし、「最後まで決して諦めない」という熱い心の先には、必ず感動があります。CYNARAの優美な姿が、あらゆる人々の希望となることを願っております。ありがとうございました。
●CYNARAの公式ホームページ
https://cynara.jp/ja/news-cynara-wins-classic-boat-award-2021-2/
●クラシックボートアワードのサイト
https://awards.classicboat.co.uk/
●同アワードのデジタルセレモニー
https://awards.classicboat.co.uk/live-event/
●リビエラシーボニアマリーナの公式ホームページ
https://www.riviera.co.jp/miura
●リビエラグループの公式ホームページ
https://www.riviera.co.jp/
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