
今では貴重となった純国産セーリングヨットを手掛けるニュージャパンヨット(静岡県牧之原市)。そのベストセラーと呼ぶにふさわしいモデルが、全長26フィートの「リベッチオ」だ。
艇の大型化が進む昨今では、このサイズのセーリングクルーザーは貴重な存在。根強い人気を誇るリベッチオが、2025年秋に開催された「ヨコハマフローティングヨットショー」に展示され、大いに注目を集めていた。
ソレイユルボン、エスプリデュバン、バンドフェットといったニュージャパンヨットのヒット作と同じように、リベッチオの設計を手掛けたのは、フランスの巨匠として知られるジャン・マリー・フィノ。フィノさんは昨年、83歳にして逝去したが、その作品たちが今なお日本の海で走り、日本のセーラーたちに親しまれていることは、なんとも感慨深い。
リベッチオがデビューしたのは1983年。今回取材したのは最新の172号艇で、これだけの数が建造されたモデルというのは、日本のヨット史においても数少ない存在だ。
シンプルで奇をてらうことのないデザインは、今見ても古さを感じさせない。1人で気軽に海に出られるサイズのモデルであり、エントリーユーザーからベテランセーラーまで、幅広く愛される一艇であり続けている。
船尾にかけて幅広になったデザインが主流となった現代では、逆にこのスタイルは新鮮に映る。微風~軽風のコンディションにおいても、滑るように海面を走っていた。
美しいセーリング姿。ステアリングはティラーを採用している。
深く掘り込まれたコクピットは、操船者にもゲストにも安心感を与えてくれる。メインシートトラベラーはコンパニオンウェイの入り口の前に設置されていて、コクピットでの作業や移動時にメインシートが邪魔になることもない。一人で操船するような場合でも、コントロールロープ類やウインチが手が届く範囲にあるのはうれしい。
フォアデッキの全景。バウパルピットの金物は、マリーナのバース区画のサイズによって、短いタイプを選ぶこともできる。
試乗艇は、オプションのドジャーを装備していた。クルージングセーラーにとっては、必須の装備の一つ。ハンドレールはチーク製だ。
全長26フィートというサイズながら、必要十分なスペースを備えたメインサロン。船内にはチークがあしらわれており、ていねいな造りが見て取れる。写真右端に見えるのは個室トイレのドア。
船首側から後ろ向きで見たメインサロン。左右のベンチシートはそれぞれに大人2人が余裕を持って座ることができ、もちろん横になっても十分な長さがある。木のぬくもりにあふれた、安心感のある船内空間。
コンパニオンウェイのステップを下りてすぐ左に、ギャレー空間。こういった設備がきちんと整っているので、長期間のクルージングでも快適に過ごせるに違いない。
バウキャビンには、大人2人が横になれるスペースを有している。ヘッドクリアランスも十分に確保されていて、とても居心地がよい。
独立した個室トイレを備えていることも、リベッチオの大きな特徴の一つ。随所にチークがあしらわれるなど、この空間のインテリアの仕上げにも抜かりがない。
試乗艇のエンジンは、オプション仕様のヤンマー2YM15(15馬力)を搭載していた。標準仕様はヤンマー1GM10(10馬力)。
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取材やプライベートで、今までに何度も乗ったことのあるリベッチオ。あらためてじっくりと試乗、取材をしてみて、その変わらぬ魅力を痛感した次第だ。
このサイズのモデルは、これからヨットを始めようというエントリーユーザーにはぴったりだし、1人でのんびりクルージングを楽しみたい方にもぴったり。もちろん、艇置料などイニシャルコストの面を考えても、より多くの人に手が届きやすい一艇であることは間違いない。
日本のヨットビルダーが手がける、貴重なセーリングヨット。まさにベストセラーと呼ぶにふさわしいモデルだといえよう。
(文=安藤 健/舵社 写真=松本和久)
【SPEC】
●全長:8.00m
●全幅:2.78m
●喫水:1.50m
●排水量:1,850kg
●バラスト重量:660kg
●セール面積:メイン12.75㎡、150%LPジェノア20.40㎡
●エンジン:ヤンマー1GM10(10馬力) ※オプションでヤンマー2YM15
●標準仕様価格:1,580万円~(2026年1月現在)
(問い合わせ)
ニュージャパンヨット
TEL: 0548-54-0221
https://www.njy.co.jp/
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