環境保全活動/ボートでしか行けない場所でゴミ拾い

2021.03.01

近年、問題視されている海洋プラスチックゴミ。
海に流れ出たさまざまなプラスチックゴミが粉々にされ、5ミリ以下の大きさになったものが「マイクロプラスチック」と呼ばれていることは、すでにご存じの方も多いだろう。これらの及ぼす影響は未知数ながらも、自然界や生態系への影響の懸念は、近年特に注目されている。

この問題に真っ向から挑み続けている団体がある。その名も「E.Cオーシャンズ」といい、EはEarth、CはCleanを表しており、発足は2016年。

活動紹介画像はこちら↓

 

2016年の春、代表の岩田功次さんが、愛媛県にある人が容易には立ち入ることのできない浜辺が漂着ゴミでいっぱいになった光景を見たことがきっかけとなった。そのゴミのほとんどはプラスチックで、これまでもさまざまな環境保全活動を実施してきた岩田さんにとっては、それらが年月とともにマイクロプラスチックになってしまうことはたやすく想像できた。
「これを放っておいてはならない」と大きな危機感を抱いた岩田さんは、粉々になる前に拾おうと、ボランティアを集め、そのゴミを回収することに。

 

活動のきっかけとなった、岩田さんが見つけた浜辺。たくさんのプラスチックゴミが散乱していて、ガク然としたという

 

早速、普段は誰も行かない無人島や陸の孤島にある砂浜を中心に活動を開始した。
当初は、遊漁船やチャーターボートを貸し切り、問題の砂浜沖まで手漕ぎボートを載せて行き、人や拾ったゴミを往復させていた。このとき使用していたのは、リョービ・ボートエース・シリーズの手漕ぎボート。定員2名のため、当然のことながら、上陸したり、ゴミを運んだりするのは非常に効率が悪かった。

 

活動当初、使用していた定員2名の手漕ぎボート。これで行き来するのは大変であることは自明の理

 

また、誰も行かないということは、ボートでも容易には近づけない場所が多く、アクセス自体に困難を極めることも多かったという。
そこで最近では、各方面の協力を受け、ヤマハU-19F、カリビアン28バートラム、ボストンホエラー17モントークをこの活動のために所有。これらのボートでゴミの回収作業を行っている。

 

2020年12月のゴミ拾いで活躍したボストンホエラー17モントーク。上陸や積み込みのために浅瀬に近づくため、操船技術もそれなりに求められる

 

回収したゴミは近くの港まで運び、あらかじめ協力を依頼しておいた当該の砂浜を管轄する行政がゴミとして処分する。ただし、ここにも問題があり、行政としては協力したくとも焼却施設が対応しておらず、協力できないこともあるそうで、行政の垣根を超えた対応が求められることもあるという。
こうした協力体制は4年にわたる活動の中で培ってきたものだ。

 

2トントラックにいっぱいに搭載された、スチロバールの成れの果てのようなプラスチックゴミ

 

E.Cオーシャンズは最低でも年間100日程度は活動しているというが、毎年、年末と“ごみゼロの日”である5月30日には、イベントとして規模を拡大してゴミ拾いを実施している。
2020年12月には愛媛県伊方町の浜辺で実施。3日間で延べ80人ほどのボランティアが参加し、軽トラック3台分、2トントラック16台分のプラスチックゴミを回収した。

 

愛媛県伊方町の砂浜でゴミ拾いをしたところ、養殖イカダに使われるゴミが多かったそうだ。スチロバールはカキ養殖、黒いブイは真珠養殖によく使われているものだという

 

活動は、愛媛県の八幡浜市や伊方町、宇和島市、岡山県の倉敷市や笠岡市などで実施しており、2021年は兵庫県の家島諸島での活動も予定している。興味のある方は問い合わせてみてはいかが。

 

(文=BoatCLUB編集部/茂木春菜 写真提供=E.Cオーシャンズ)


E.Cオーシャンズ
TEL:0894-27-0877(八代サイン工芸内)
MAIL:yasirosa@bronze.ocn.ne.jp
https://ec-oceans.com/


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