ヨット、ボート、艇内AC化時代の本命現る|EcoFlowパワーシステム徹底解説

2026.03.04

車中泊が人気だ。エンジンを切った状態で、照明や冷蔵庫、電子レンジ、果てはエアコンなどの家電品を使うために「サブバッテリー」の搭載が広まっている。もともと車に設置されているメインのバッテリーを使用しないので、バッテリー上がりによるエンジン始動不可の心配がない。サブバッテリーシステムは、ボートやヨットにも利用できるシステムだ。そんなサブバッテリーシステムの一つ「EcoFlowパワーシステム」は、設置の簡略化を実現したプラグ&プレイタイプの独立型電源ソリューションだ。

◆メインカット
 photo by Shigehiko Yamagishi (Kazi) | Eco Flowパワーシステムを搭載した、エンマリン社のチャーター艇、ラグーン44。沖縄県宮古島の海を力強く走る

 

設置例。ラグーン44のギャレーテーブルの下に設置したパワーハブとLFPバッテリー

 

ラグーン44に設置されたパワーハブ

 

ラグーン44に設置されたスマート分電盤

 

タッチパネルモニター 残量、利用状況表示

 

モニター。詳細利用状況表示

 

⑥⑦の既存メインバッテリーシステムにパワーシステムを付設。さらに充電用として③ソーラーパネル、⑧陸電、⑨水力発電、⑪風力発電を付加した例

 

 

 

バッテリーは2kWh×2(6kWhセットの参考価格:¥1,164,000/税込)と5kWh×3(15kWhセットの参考価格:¥2,035,000/税込み)の2サイズのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーが用意されている。LFPバッテリーは従来のリチウムイオンバッテリーと比較して、熱安定性が高いため安全性が高いとされ、原料にレアアメタルを使わないメリットがあり、電気自動車などでも利用が進んでいる。

EcoFlowパワーシステムが容易な設置を実現している理由の一つは、EcoFlowパワーハブにある。これまで個別に準備して配線していた「充電器」、「インバーターおよびコンバーター」そして「通信モジュール(Bluetooth/WiFi)を一つの筐体に収めてオールインワンシステムとしている点だ。バッテリーとの接続も、コネクタを差し込むだけ。EcoFlowパワーハブは、2サイズ用意されたリチウムイオンバッテリーを最大3台接続することができ、組み合わせによって2~15kWhのサブバッテリーシステムを構築することができる。15kWhと言えば、「一般的な4人家族が1日に消費する電力量」だ。AC定格出力も3kWあり、電子レンジやエアコンなど利用可能だ。

EcoFlowパワーハブから電化製品へ直接接続することも可能だが、接続する電化製品が複数ある場合は、それぞれの配線にヒューズやブレーカーを設置することが望ましい。これらを1筐体に収めた「スマート分電盤」も用意されている。ブレーカ付きAC端子が六つ、ヒューズ付DC端子が12個用意されているので、すっきりと美しく配線することができる。

7インチのスクリーンを持つ、タッチパネルモニタも用意されている。バッテリー残量、入力・出力状況の表示と、システムの操作を行うことができる。EcoFlowパワーハブとBluetoothでスマホを接続し、スマホで状況モニタするアプリも提供されている。バッテリー上がりを避ける準備は万全だ。

充電はメイン電源の剰余電力を賄うことが基本。加えて、他の方法での充電も可能だ。例えば、ソーラーパネル。曲げられる柔軟性を持ったタイプが100Wタイプが用意され、平面が少ないボートやヨットでの設置の自由度が高い。他に100W・400Wの出力を持つソリッドタイプも用意されている。設置状況に応じた選択が可能だ。ソーラーパネルのみで充電を賄うのは現実的ではないが、オルタネーターの補助として、あるいは停泊中に時間をかけて充電するシーンでは活躍することだろう。いずれもIP68の防塵・防水性を持ち、船外設置が可能だ。そのほか風力発電機や、長距離航海用ヨットで普及が進む水力発電機を使うこともできる。

より簡易なシステムとして、ポータブル電源も用意されている。シガーライターからの充電も可能だが、長い時間を必要とする。エンジン稼働中に充電を済ませるためには、Alternator Chargerの利用がオススメだ。バッテリーからしっかりと配線することで、シガーライターの10倍の速度で充電できる。メインバッテリーに負荷をかけないよう、エンジン始動で充電を開始するモードを備えたモデルや、ソーラーパネル接続可能なモデルなど、各種用意されている。

ACで動作する電気製品利用を目的に、サブバッテリーシステム導入する際、検討すべき留意すべき点がいくつかある。定格出力、容量、出力波形、充電容量だ。これらについては下記のサイトで詳しく解説されているので、自艇の状況と利用したい家電との関係において選択することが必要だ。

 

 

フレキシブルタイプのソーラーパネル。ヨット、ボートの局面にも設置することができるので、設置自由度が高い

 

耐食アルミフレーム/ガラスで強化されたソリッドタイプのソーラーパネル。平面設置しかできないが、フレキシブルタイプより高い耐久性を持つ

 

防災用、キャンプなど利用シーンが広がっているポータブル電源。年々小型化、大容量化が進んでいる。DELTA 3 Max Plusは大容量2,048Wh、定格出力3,000Wを持つ、ハイエンドポータブル電源だ

 

大きな出力を持つので、あたかも家にいるときのように、多くの電気機器の同時利用が可能だ

 

ポータブルエアコンEcoFlow WAVE3は、キャビンの暑さ寒さを凌ぐための力強いツールだ。1.8kWの冷房性能を持ち、専用バッテリーで最大8時間の連続稼働が可能。ヒーターとしても2kWの暖房性能を持っている。船中泊の際など持ち込むことで、暑くて寝付けずに夜明けを迎える、あの苦痛から解放してくれる。底部に取り付ける専用バッテリーパックを使えば、1個体となり移動も容易。対応するポタ電を電源として、より長時間稼働する環境の構築することも可能だ。家庭用エアコン程のパワーは無いので、就寝するキャビンのみ冷やすとか、人に風が当たるようにするなどの工夫が必要だろう。また、本体から船外へ付属する排気ダクトの設置が必要になる

 

宮古島のトゥリバーマリーナに係留されたエンマリン社のラグーン44。Eco Flowパワーシステムにより、安心のチャータークルーズを展開する

 

 

不自由さを楽しむのも、ヨット・ボートの楽しみ方の一つだ。しかし電子レンジがあれば食のバリエーション広がるし、酷暑続く近年の夏にはエアコンや強力な扇風機は救いの神だ。サブバッテリーシステムは小型化が進み、そして価格もこなれてきている。EcoFlowは3月のジャパン インターナショナル ボートショー2026(パシフィコ会場)へ出展されるので、現物を確認するチャンスだ。来るシーズンに向けて、自艇の快適性向上を図ってはいかがだろうか。

なお、船内搭載のリチウムイオンバッテリーを船内で充電する場合は、小型船舶検査においてJISやUNに適合している書類が必要となる。EcoFlowでは書類提供の準備を進めているところだ。

 

 

長距離航海に必須のEcoFlowパワーシステム

 

(文=田口裕介 写真=エコフロー、舵社) 

 

長浜 修さん
Osamu Nagahama 
一般社団法人 日本ポータブル電源協会理事。EcoFlow Technology Japan株式会社 危機管理対策部部長・RV事業部部長。ポータブル電源の適正な規格策定、製品の安全性向上をはじめ、消費者への正確な情報提供、業界関係者との連携強化など幅広く活躍

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