10月28日(金)に東京都港区にて、電動船に関するコンサルティングや販売などを手がけるEV船販売が、電動推進船の試乗会を実施した。
試乗艇となったのは、G3ポンツーンボートV322RFにヤマハのリムドライブ「HARMO(ハルモ)」を2基掛けした、定員10名のボートだ。ハルモの2基掛けは、国内では2例目。ポンツーンボートへの2基搭載は初となる。
試乗した印象は、非常に静かなことと、操船性の高さ、意外にも力強い走りなどだ。一つずつ見ていこう。
まず静粛性。電動モーターの特徴である非常に高い静粛性は、静かな水面と相性がいい。緑が水面近くまでせり出し、鳥の鳴き声が響き渡る、湖などの閉鎖的な水域によく似合うのだ。
次に操船性の高さ。今回のポンツーンボートは、ジョイスティックでのコントロールと、一般的なステアリング&スロットルレバーの両方が選択可能。ジョイスティックでの操船は、ステアリングに比べ舵角が鋭角に取れるため、旋回径を小さくできる。その場回頭も、簡単な操作でスムーズに小さな径でできるのは見事の一言。また、2基掛けにしたことで、真横移動も可能となった。桟橋などから離れていく際に、真横に移動できるので、苦手意識を持ちがちな離着岸も楽になる。
そして、意外にも力強い走り。ステアリングを握り、スロットルレバーを倒していき最高速まで上げていくと、意外にも力強い走りを披露する。ただし、試乗した水面はベタ凪だったから感じられた走りだろう。やはり内水面によく似合う仕様なのだ。
真横移動で離岸して、その場回頭を行うポンツーンボート。非常に静かにスムーズに移動するのがわかっていただけるだろう
操船席周り。ステアリングの左上にジョイスティックが備わる。スロットルレバーは2つだが、2基のエンジンの回転数を同調させて1つのレバーで操作できる「シングルレバーモード」も使用できる
ハルモの制御部とすべてのバッテリーは船尾に収まっている。バッテリーは12ボルト2個、6ボルトが16個の計18個搭載されており、重量のバランスをとるために船首シート下に重りを載せているとのこと
なお、会場では展示艇として、電動船外機を搭載した水面清掃船も並んだ。3kWの電動船外機(トルキード製)を2基搭載した展示艇は、非接触の充電設備を搭載し、桟橋に設けられた送電設備から給電されていた。
全長6.16メートル、全幅2.40メートルの船体に、トルキードの電動船外機を2基搭載した展示艇。バッテリーは小型船舶用のリチウムイオンバッテリー(2.6kWh×2)を搭載している。定員は船長も含め4名とのこと
EV船販売では、今後、19トンの電動の交通観光船のお披露目も控えているそうだ。大阪・関西万博に向けて、フネの世界でも急速に進むEV化やFCV化。今後もどんなフネが誕生していくのか、楽しみにしつつも見守っていきたい。
(文=BoatCLUB編集部 写真&動画=舵社/宮崎克彦)
※『BoatCLUB』2022年2月号では、「ボートの未来を考える」と題し、船舶のEV化・FCV化の現状や、今後についてなどを特集。興味のある人はコチラから。
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