サンシーカー・マンハッタン55/完璧という名の高みへ

2021.03.18

英国を代表するラグジュアリー・モーターヨットビルダー「サンシーカー(Sunseeker)」。ハイパフォーマンスかつエレガントなモデルを、これまで数多く世に送り出してきた。

現在は、クーペタイプからメガヨットのカテゴリーに入る大型艇まで、バラエティーに富んだラインアップをそろえている。そのなかで主力といえるのが、フライブリッジを備えた「マンハッタン(Manhattan)」シリーズだ。

特に、2016年秋にデビューした「マンハッタン52」は、世界中で大きな人気を集めたヒット作。日本にも数艇が輸入されている。その52をベースに、さらに細部にわたって進化させたモデルが、2020年にリリースされた「マンハッタン55」だ。新型コロナウイルス禍の影響で、昨秋から欧州のボートショーイベントが中止を余儀なくされているが、それらが開催されていれば、大きな注目を集めていたことは間違いない。

 

モデルの呼び名こそ52から55へ変わっているが(全長は17.21m)、基本的に船体そのものは52をベースにしたもの。以前、筆者が52に試乗した際には、一回りも二回りも大きなボートにいるかのような感を覚えたが、ボリューミーなデザインは健在。インテリアや船内レイアウトに変更があったり、ハルサイドの後方の装飾など、細部に修正が施されている。

 

オプションのハードトップは、天井の大部分をサンルーフとして開放することが可能。実用的な面はもちろん、ボート全体の雰囲気を損なうことなく、デザイン上のよいアクセントにもなっている。

 

いかにもサンシーカーらしい、シャープな印象を受けるメインサロン。フロントとサイドのほぼ全面が大型のウインドウになっていて、非常に明るい。52ではミジップの右舷側にセティーが配置されていたが、それをなくすことで、より開放的でユーティリティーの高い空間になった感がある。

 

ハウス後部のドアを全開にし、左舷側の電動ウインドーを収納すれば、ご覧の通り、船内と船外が一体化した、実に開放的な空間が現れる。操作はボタン一つでOKだ。
キッチンスペースをロワーデッキレベルではなく、この場所に配置するのは、今や王道ともいえるレイアウト。船内、アフトコクピットのどちらにも飲食をサーブするのに便利だし、このサイズのボートであれば(ラウンジとしての)居住空間を犠牲にすることもないだろう。

 

船内のヘルムステーション周り。大人2人が並んで座れるシートが設けられている。それにしても、視界がよさそうだ。

 

ロワーデッキエリアのミジップに設けられたマスターステートルーム。4.87mという全幅をめいっぱい活用することで、ゆとりあふれる空間になっている。

 

船首に位置するのが、VIP向けのステートルーム。ボリュームがあり乾舷も高い船形が特徴だが、その効用もあって、ヘッドクリアランスも十分な広々とした空間となっている。

 

マスターステートルームと船首のVIP向けステートルームの間に設けられた、ゲスト(もしくはクルー)向けのキャビン。シングルベッド2本が並ぶ。

 

パワーユニットは、シャフトドライブの場合はボルボ・ペンタD13-800、ポッドドライブの場合はD11-IPS 950のそれぞれ2基掛け。D13-800搭載時の巡航速度は25kt、MAXで30ktとなっている。25ktで航行時の連続航行距離は250海里だ(いずれもビルダー発表値)。

「perfecting perfection(完璧な完璧さ)」というキャッチフレーズのとおり、世界中のマーケットで高い評価を得た52を、さらにもう1ランク上に昇華させた「マンハッタン55」。本年末から来年にかけては、日本1号艇がやってくる見込み。ぜひ実艇をじっくりと眺めてみたいものである。

 

(文=舵社/安藤 健 写真提供=サンシーカージャパン)

 

 


●SPEC

  • 全長:17.21m
  • 全幅:4.87m
  • 喫水:1.26m
  • 排水量:27,000kg
  • 燃料タンク:2,200L
  • 清水タンク:600L
  • エンジン:ボルボ・ペンタD13-800 / IPS900

 

(問い合わせ)
ユニマットプレシャス(サンシーカージャパン)
TEL: 046-841-2138(東日本) / 0533-76-3100(西日本)
https://www.unimat-marine.com/
https://www.sunseeker.com/japan/sunseeker-japan

 

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