今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、久しぶりの遠征で京都府宮津市のYOLO屋を訪問。最高の天気に恵まれ、しかも伊根の舟屋も見ることができて、すばらしい一日となりました。(舵オンライン編集部)
宮津にしてよかった
みなさま、こんにちはMr.ツリックです。
やったぜ、ベイビー! 今回は超久々の遠征釣行ですゾ。釣り場は京都の丹後半島にある宮津。近くに有名な伊根の舟屋群があるところですナ。
実は、前日に福井の小浜湾でリトルボート販売の田原氏と釣りをしていたので2日連続の釣り。その2日間ともにピーカンベタ凪の好天気に恵まれた。遠征したのに荒天でボートが出せないなんて悲惨な状況から比べれば、文句なんて言えるワケもないが、2日連続の酷暑日での釣りは暑すぎる。それでも、穏やかな海で楽しい時間を過ごすことができた。もうチョイ釣果があればもっとよかったけどサ。ぜいたくは言うまい。それはオノレのウデのせいぢゃ。
なお、釣り場が宮津に決まったのは若狭に行く直前。ほかにも、伊勢志摩や和歌山など候補地は何カ所かあった。風光明媚な伊勢志摩でのボート釣りはオイラにとって憧れなのですヨ。また、和歌山では十数年前に紀州ザオ(竹製のヘラザオ)を、恐れ多くもベテランの職人さんに、ガイドやリールシートを付けてもらいリールザオに作り直してもらった。それを里帰りのような感じで和歌山の海で使ってみたい……などなど、いろいろと考えていたワケなのです。
でも、宮津にしてよかった。ロケーションはもとより、ボート屋さんのサービスもボートとエンジンのコンディションも申し分なかった。こんな店が関東にあったら、ワタクシメはソッコー常連確定。
今の時代、レンタルボート店は減る一方で、新規に開業する店はなかなかない。それでも、もう数年前になりますかネ、静岡の沼津で若いオーナーが開業したのでワガハイはものすごく期待をした。しかし、開店直後に見舞われたコロナ禍の影響で閉店してしまい、とても残念な思いをしましたなぁ。
2022年にオープンした若夫婦が営むレンタルボート店。立地条件が抜群によいですナ。ご夫婦のこまやかなサービスもグッド。こんなレンタルボート店が関東にあれば確実に通う
手入れの行き届いた2馬力艇とランチャー。そして、潮位差の大きな太平洋側では考えられないほど狭い砂浜は、ミニボートの離着岸や片付けに最適な環境だよネ
手漕ぎボートのレンタルもある。2馬力ボートは釣り以外に観光用でも貸してくれる。料金はちょいとお高めですが、ロケーション、釣果、サービスを考えれば納得のプライス
舟屋群を目標にいざエントリー。初めて訪れる有望釣り場に期待パンパン。おまけに、前日も無風ベタナギの酷暑日に釣行したものだから顔も火ぶくれでパンパン
まずは、一番近場のオススメポイントで釣ってみる。水深20メートル前後。このあたりでもイロイロと釣れるらしいが、ヒイラギしか釣れなかったので移動。ヒイラギを久々に見た
ねらえる魚種は豊富
さて、お邪魔した宮津のレンタルボート店は「YOLO屋」さん。地域の地名の養老が由来でしょうか。店の前に駐車スペースがあり、店の裏はボート乗り場の砂浜に直結していてフォーメーションが完璧です。
そのうえ、砂浜の広さは15メートルくらいしかなくて、クルマから波打ち際までの距離がとても近い。関東で砂浜が狭いところは、たいがい海面から車道までかなりの高さがある。ところが、潮位の干満差が最大で40センチ程度の日本海側では、波打ち際からクルマまでの高低差がほとんど感じられない。要するに、ラクチンということですヨ。
さらに、砂浜のすぐ沖に離岸堤があるため湖面のようにおだやかな波打ち際は浅くてボートの乗り降りもラクラクでした。
店のインスタをのぞくと、ハマチ(ブリの若魚)、アジ、サゴシ(サワラの若魚)、アマダイ、イトヨリダイ、マダイ、チヌ(クロダイ)、アオリイカ、ガシラ(カサゴ)、アオハタ、アコウ(キジハタ)などが釣れているようです。この中ならば今回の本命はやっぱ旬のアコウでしょうなぁ。
あ、ここでワンポイント情報。キジハタのことを宮津では「イネズ」と呼ぶらしいです。もしかしたら、伊根の海って意味かしらん。
青島近くの本命ポイントは魚礁周り。風はほとんど吹いていないが、潮が利いていそうなので現場2号改を使ってみる。お手製のカイト型シーアンカーですゾ
ワガハイ考案の刺繍カブラ。中通しの玉オモリでもいいが、やはりカブラ用のオモリのほうが効果的。エサはサンマの干物とイカ。今回は用意できなかったが、オススメはホタルイカ
オイラ的には珍しく、1投目で本命クラスのアオハタをゲット。前日はラストの一投でアオハタを釣ったのでトータルしてみれば、アオハタの連チャンヒットですナ(ヒイラギはノーカンで)
まぁまぁサイズのガシラ。ガシラにサンマの開きは特エサだ。刺繍カブラはエサのサンマの中に漬け込んでおき、サンマの油分とエキスをたっぷりと吸わせておけば完璧
今回の釣行マップ(京都府宮津市)
「海釣図V」(マップル・オンより転載)
伊根の舟屋も訪問
伊根といえば舟屋。YOLO屋さんでは2馬力ボートを観光用としてもレンタルしている。観光では3名の乗船が可能。大型の観光船のようなガイドや説明はないけれど、ゆっくりと気ままに心ゆくまで伊根湾と舟屋を見て回れる。それに、2馬力ボートの低い視線はより舟屋を間近に実感できる。もちろん、われわれも釣りを中断してのほほんと伊根湾をひと回りしてきた。
もしかしたら、記憶に残っている読者の方がいらっしゃるかもしれませんが、実は10年前にワガハイは本誌の釣り特大号の取材で舟屋に泊まって釣りをしている。泊めていただいたのは、まだ舟屋を改装したばかりの真新しい民宿で、コロナ流行の5年前はまだ外国人観光客も少なかった。聞こえるのは静かな波音と同行した当時の担当オイマワシ君の声だけで、町の雑踏やクルマの騒音は皆無。蚊もいないものすごく静かな夜を過ごしたのでした。
そのときはレンタルボートではなくて、宿の釣り船で釣りをした。みながガシラやカレイやレンコダイ(キダイ)をワサワサ釣っているのに自分だけ沈黙。ところが、「もう終わります」と言われて仕掛けを巻き上げようとした瞬間に数キロの大ダイがヒットした。
そのときに使っていたのがアマダイテンヤ。当地では、一般的な片テンビン2本バリのアマダイ仕掛けを使うと、小型のアマダイが釣れすぎてしまう。アマダイのアタリを1尾ずつていねいに取り、小型を避けて釣るためのテンヤだと聞いた。そのテンヤが、今回も使用したワガハイ考案の刺繍カブラのルーツになっているのだ。
アマダイテンヤには、タイラバタイプのオモリとハリにタコベイトのようなスカートが付いていた。そのゴムスカートを百円ショップで購入できる刺繍糸に替えたのが、刺繍カブラです。
刺繍カブラのウリはエサの油分、エキス、においを刺繍糸に吸わせることができることです。釣行前にホタルイカやサンマのエサを用意したら、小さなタッパーの中にエサと一緒に刺繍カブラを2~3組、漬け込んでおけばいい。釣り場に着いたらオモリを付けて釣りを始め、しばらくして漬け込み効果が薄れたと感じたら刺繍カブラを交換する。
それと、比較的簡単に自作は可能ですが、ホタルイカをエサにする場合は2本バリの間隔をホタルイカに合わせること。ハリスの短いハリはイカのエンペラの先端に刺し、長いほうは目と目の間に刺す。よって、長さが合っていないと、イカがくの字に曲がり、筒と頭部が分離しやすくなるので、そこだけ注意したい。
フネが大型化したためか、使用されている舟屋は少ないが、右手の舟屋は現役で稼働しているみたい。舟屋は、海の反対側に細い道路があり、その真向かいに母屋がある配置のようだ
伊根湾めぐりの観光船もあるけれど、レンタルボートで伊根湾観光なんてぜいたくすぎる。同行のY男も舟屋には興味津々な様子。海好きな都会人は絶対にあこがれますナ
エサをイカに替えたらシロギス仕掛けにもアオハタがヒットする。それにしても、晴天で釣りができる幸運に文句をつけてはいけないが、微風ベタナギの酷暑日は暑すぎて閉口
イシゴカイのシロギス仕掛けにヒットした最凶のミノカサゴ。美しさと毒針で有名だけど、食べたら最強に美味なのです。コイツももう少し大きかったらお持ち帰りしていました
再訪したい場所
ちなみに、宮津と伊根湾は広大な若狭湾の西端にある。なので、西風に強そうな釣り場だ。そして今回釣りをした、店の真沖、青島脇の魚礁、マグロ畜養イケス西側のカケアガリの釣り場は、いずれも砂泥の海底で根掛かりがなく釣りやすかった。ホントにもう、できることなら通ってポイント探求をしたい釣り場です。何てったって、浅場から深場まで対象魚種が豊富ですからなぁ。
あと、出船前には釣り場と注意事項などのレクチャーがある。それと、2馬力ボートの操船に不慣れな人には乗船前に操船練習もさせてくれる。
とまぁ、こんな感じの伊根のんびり遠征釣行でしたが、結果はいつものように本命ゼロ。それでも、ゲストのアオハタとガシラはキープできた。なんたってアータ、釣り場の風情がヨロシイ。こんなに人気観光地と隣接しているレンタルボート釣り場はほかにはないだろう。最低でも、年に2回、イヤ3回は訪れてみたいエリアですヨ。ねぇ、編集長。
帰着時、幸か不幸かボート乗り場前の離岸堤を過ぎたところでガス欠。もちろん、予備のガソリンは積んでありますが、成り行き上ワシが漕ぐハメに。酷暑日にする労働ではない
釣りのあとはお約束の日本三景・天橋立観光。外国人観光客に囲まれてビューランドに登ってみた。オイラが眺めているのは先ほどまで浮かんでいた伊根湾ですナ
(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)
今回お世話になった貸しボート店
かの有名な観光地である伊根の舟屋にフネで訪れることのできる貴重な貸しボート店。船体やエンジンも新しくしっかりとメンテナンスされており、また、初心者でも安心して利用できるような配慮が満載。
YOLO屋
[住 所]京都府宮津市岩ケ鼻51-9
[連絡先]0772-45-1774
[料 金]2,200円~
[定休日]不定休
今回は、『BoatCLUB』2024年11月号に掲載された連載「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。
※取材は2024年8月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。