浅場のタチウオをねらっていたのにアジが爆釣!?/走水・海勇丸

2024.06.02

今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、神奈川県横須賀市の東京湾側、走水(はしりみず)にある海勇丸さんを訪問。目の前には、東京湾の有力ポイントである走水があり、沖にはタチウオやアジの船団がズラリ。貸しボートでも8月から10月の間なら浅場でタチウオがねらえるとのこと。果たして結果は!?(舵オンライン編集部)


浅場でタチウオ釣り

みなさま、こんにちはMr.ツリックです。

今回のターゲットは、運がよけりゃメーター超えも夢ではない魚だ。指6本とかドラゴンとかたまりませんナ。

ゲレンデは東京湾の走水沖。東京からクルマで1時間の距離でアクセスはバッチリである。本命のタチウオが水深約30メートルの浅場で釣れるのは、8月の中旬から10月の中旬までの2カ月間のみ。小型ボートでもねらえる貴重なチャンスである。

もともと夜行性の魚ですから勝負時は朝イチで、日中のヒット率は格段に落ちる。なので、朝の勝負時を逃すとかなりキビシイ状況となる。それでもまったく釣れないワケでもない。よって、朝イチの好機を逃したあとは、アジ釣りと同時進行でなんとか釣果ゼロから逃れる算段だ。

先に言っておくが、アジ釣りとのリレー釣りではない。ナニがナンでもタチウオを釣るためのアジ釣りなので、コマセを撒くことが重要。コマセに群がるベイトに誘われたタチウオを捕獲するってぇ寸法ですナ。コマセを振っている間は、置きザオでタチウオのアタリを待つ。

だったら、コマセカゴだけでもいいハズですが、その下にはしっかりとアジビシ仕掛けが付いております。ハナからアジを釣った写真で記事をなんとかごまかそうってナ思惑が濃厚に漂いますナ。

 

東京からクルマで1時間圏内とアクセスがいいうえに、市街地が近いのでなにかと便利なお手軽釣り場。しかも、ボート乗り場と駐車場、トイレが同じ敷地内にある

 

久々に見たビールケース桟橋。ありそうだけど今ではココ以外では見ることがないナ。足を濡らすことなくボートに乗れます。ボートはフォークリフトで運ぶ

 

ここのアンカーはチェーンの付いたダンフォース型。メッチャ重いですが、根掛かり防止のため、アンカーロープにテンションをかけつつ静かに下ろすこと

 

(左)自作のサバエサ。サバの身を薄く残して三枚におろし、1センチ幅の短冊形で、斜めにできるだけ長くなるように切り、酒に漬けて冷凍しておく
(右)タチウオのエサ仕掛け。テンビンはLTアジ用でOK。オモリは30 ~40号。ハリスはナイロン5 ~6号を1.8メートルとワイヤが20センチ。ハリはタチウオの1/0

 

ワイヤーはキンクにならないように、ハリスとハリに結ぶ。オイラは蛍光パイプを付ける。エサはエサ止めのケンのあるハリのチモトまで上げた状態でまっすぐに付ける

 

タチウオのねらい方

タチウオのタックルは、ロッドやリール、片テンビンはLTアジの流用で問題ない。オイラは置きザオするときのために、ナイロン5号ハリスにワイヤをプラスしている。ハリを飲み込まれると、ハリスがスッパリと切れちゃうからだ。

でも、終始誘う釣りをするなら7~8号のフロロカーボンラインのみでOK。ワイヤや蛍光パイプは使わないほうがナチュラルで警戒心を与えないから、ヒット率は上がるかも。どちらにせよ、ハリスの長さは2メートル。

エサは、サバやコノシロなどの切り身。自分で作るなら、三枚におろしてから、できるだけ薄くなるよう身の部分を切り取り、短冊形に切る。海中でヒラヒラするイメージね。そのため、塩漬けは身が硬くなるのでNG。硬くて変な曲がりができると海中で回転する原因になる。

ハリに付けるときもまっすぐになるように刺す。あと、ハリに刺したときに尻尾となる部分の中心に2~3センチの切り込みを入れておくと、タコの足のようになり回転を抑える効果がある。オイラはサバを使用し、日本酒に漬けて冷凍しておく。釣り場で余ったら持ち帰り冷凍しておけば再利用できる。

タナは、オモリの位置で海底から3~10メートルの間。レンジが狭いので細かい誘いが有効になる。リールチョイ巻きのワンピッチジャークって感じかな。ゴツゴツとアタリが出ても即アワセはせずに、タイラバの要領で強い引き込みがあるまでゆっくりリールを巻く。

また、アタリだけでフッキングしなかった場合でも、その場で誘い続けると追い食いしてくる場合もあるので諦めずにしばらくは粘ってみよう。

置きザオにするときは海底から5~7メートルの間にオモリを置く。底のほうにエサを置くとタチウオは反応しない。なるべく高い位置が有利だ。

あと、アジのコマセ釣りを同時にする場合、タチウオのヒット率を上げたいのであれば通常よりも高めのタナ、つまり海底から3~4メートルの位置でコマセを撒き始めよう。タチウオのレンジに合わせるためですナ。

それから、エンジン流しが可能なボート以外はアンカリングがセオリーです。特に10月すぎになると、この海域一帯にワカメ棚が設置されるので注意が必要になる。

などと、長々とタチウオ釣りのレクチャーとか書きましたが、ドラゴンどころか一尾も釣れなかったのでまったく説得力がありませんナ。書いてあることの真逆をすれば釣れるのかしら。

 

タチウオが釣れないので、いよいよコマセでベイトを集めてタチウオをその気にさせようとする姑息(こそく)な手段に変更。しかし、本音は走水のアジが食いたいだけなのである

 

LTアジ用ロッドは本命のタチウオねらいで置きザオにし、アジ釣りにはチョイとゴツイがオモリ負荷30号2.4メートルのマダイザオを使用。胴調子だからアジのアタリが取りにくい

 

今回の釣行マップ(静岡県熱海市)

海釣図V」(マップル・オンより転載)

 

魅力的なゲレンデ、走水

さて、釣行は9月の上旬。台風が9号から13号まで立て続けに発生したころである。走水周辺の海域は通年なにかしらの魚が釣れるエリアなので、若いころからよく来ていた。もう、40年はたちますかネ。特に、ボート釣りには厳しい時季の冬によく来ていましたナ。

このあたりは海岸線が北向きだから、北風が強く吹くとチョイとキビシイ釣りになる。走水方面はまだ砂浜があるのでマシだが、護岸が続く大津方面は、護岸で打ち返す波と沖からの波で三角波が立ち、ボートが短いピッチで揺れて目が回る(この日は南風だったので、そういう心配はなかった)。それでも、メバルにカレイにイシモチなどイロイロ釣れていたなぁ。

中でも、アジは一度もハズしたことがないターゲットだ。厳寒期の2月でもサビキ仕掛けで中小サイズのアジがけっこう釣れた。しかし、タチウオは釣期が短いうえに、その時期はほかの場所でも魅力的なターゲットがめじろ押しなため、なかなかタチウオを釣る機会に恵まれなかったのだ。

 

脂の乗った中アジ。この日は20センチがアベレージだった。このサイズだと包丁が不得意な人でも比較的楽にさばける。干物の腹開きや背開きの練習にちょうどいい

 

40センチのクロアジ。さすがにいいヒキで楽しませてくれます。ただ、このサイズになると氷ジメだけでなく、生けジメと血抜きもしておきたいですナ

 

クロアジはエラの下(エラブタの下の内側にあるとがった三角形の部分)が黒い。深場に行くほどより黒いような気がする。キアジは大きくなってもエラの下は白い

 

本命は現れず

そういうワケで十数年ぶりのタチウオ。いつもより気合を入れて、仕掛けやエサを自作し釣りに臨んだのであります。

ポイントに到着後、さくっと山立てをし、アンカーを入れてスタートフィッシング。するとほどなくして同行のY男が、8号リーダーを切られてルアーをロスト。ワシが「ワイヤに交換するか?」と聞いたら「もう1回切られたらそうします」との返答。まぁ、正解ですナ。ワイヤを介してルアーの動きが変わり、タチウオが追わなくなったら後悔するしネ。

ところが、アタリは私のエサ釣りを含めてその1回のみ。当日の山場はそれで終了。ホントの朝イチ勝負でありました。いちおう、オイラのサオにもコツンとアタリがあったり、置きザオのエサがとられていたりしましたが、いずれもタチウオの仕業ではない感じでした。

ということで、前回にハタねらいで久々にオデコ地獄から脱却したはずが、再びズブズブとはまってしまいました。次回はやけくそでアイナメでもねらいましょうかね。本命としてねらえなくなってから、もう何年たちますかね。

 

帰着時も直前に電話連絡をすれば、スタッフが腰まで海に入って出迎えてくれて、ボートをビールケース桟橋まで誘導してくれる。下船時も足が濡れることはない

 

釣果は、マアジ40センチ3尾に20センチ20尾。タチウオ釣りの手を抜いていたワケではないが、残念ながらタチウオの釣果はゼロ。今回もいわゆるオデコとあいなりました

 

須藤恭介(すとう・きょうすけ)
愛称、Mr.ツリック。長年、月刊『ボート倶楽部』の筆者として活躍。現在、同誌に連載中の「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、釣りだけでなく、釣果料理のノウハウを紹介している。

 

(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)

 

今回お世話になった貸しボート店

走水にある船外機付き貸しボートの専門店。今回借りた3人乗り(9.9馬力)のほか、4人乗り(20馬力)から6人乗り(30馬力)までをラインアップする。アジやタチウオ、マダイ、シロギス、カレイなどの好ターゲットがねらえるボート店として、関東のアングラーからの人気も高い。店の前に駐車場があるのもうれしい。

海勇丸
[住 所]神奈川県横須賀市走水1-2
[連絡先]046-844-1872
[料 金]11,000円~
[定休日]第2、4火曜日

 

月刊『BoatCLUB』の奇数月号で連載している「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」では、料理上手な釣り人Mr.ツリックが、関東を中心に全国の貸しボート店を巡り、その地、その季節に合った釣りを楽しむ様子をお届けしています。

今回は、『BoatCLUB』2023年11月号に掲載された「貸しボートでタチウオを釣るゾ」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。

※取材は2023年9月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。


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