ヨット乗り、ボート乗りの皆さんには、すっかりおなじみのモバイルアプリ「ニューペックスマート（new pec smart）」。あなたのスマートフォンやタブレットには、もうダウンロード済みですよね？

ナビゲーションツールも、1人1台の時代へ。クルージングにフィッシングと、プレジャーボートで海を楽しむ人ならば、安全な航海を実現するための準備は基本中の基本です。いまやほとんどの人が持っているスマートフォンなどのモバイルツールが、海の上であなたの強い味方となってくれるというわけです。

そんなプレジャーボートユーザー必携のアプリといっていいのが、「ニューペックスマート」。またご存じでない方、そしてアプリを知ってはいるけれども使っていない方のために、その機能や使い勝手を、あらためて紹介していきましょう！

＊

ニューペックとは？

ニューペックは、（一財）日本水路協会が発行する航海用電子参考図です。プレジャーボートをはじめとする小型船舶の使い勝手に即して作られたもので、当初はウインドウズPC用のソフトとして提供されてきました。

その詳細かつ圧倒的なデータの量と内容は、他の追随を許すものではなく、マリンレジャーを楽しむ方はもちろんのこと、大型船舶を含む業務船のユーザーからも高い評価を確立。さらに、国内外の舶用機器メーカーの製品にもニューペックデータが採用されるようになるなど、ますます利用者が増えています。

 

ニューペックの特徴

ナビゲーションを支えるツールとして、スタンダードな存在になったニューペック。その主要な特徴について、簡単に紹介していきましょう。

①すべてのエリアを1/5,000まで拡大することが可能

②2m／5m／10mの等深線データを収載

③定置網などの漁具や航路標識も表示

④『Sガイド（プレジャーボート・小型船用港湾案内）』の情報を閲覧可能

⑤最新版の情報へ年4回のアップデートを実施

⑥「潮汐・潮流データ」や「海底地形図データ」のオプションもあり

⑦航海計画を立てられる機能を装備

海の上で重要な情報を網羅しているうえに、ナビゲーションツールとしての機能も多数備えている点は、ニューペックの大きな魅力といえるでしょう。

 

PC版のニューペックの画面。2m／5m／10mの等深線で色分けされて表示されていたり、定置網など漁具（赤い斜線のエリア）、暗岩や浅瀬、灯台の情報など、さまざまな情報が収載されている。海図ではわからない、小型船舶にとって本当に必要な情報も少なくない

 

スマホで使えるニューペック

そのニューペックですが、パソコンでの利用を前提としていたため、実際に海の上で使うには少々ハードルが高かったということも事実です。

「ニューペックをスマホやタブレットで使いたい！」──そんなたくさんのユーザーからの熱い声に応え、2018年に待望のリリースを果たしたのが、マップル・オン社が提供するモバイル用アプリ「ニューペックスマート」です。当初はIOS版のみが提供されていましたが、2020年にはAndroid版もリリースされ、あらゆるユーザーが気軽に利用できる環境が整いました。

ニューペックスマートは、月額960円の利用料で、全国版のニューペックが利用可能。パソコン版では、全国を8つのエリアに分けてマップデータが販売されているので、かなりお得だといえます。しかも、パソコン版ではオプションとして提供されている海底地形図（全国版）や潮汐・潮流データ（全国版）も標準装備されています。

特筆すべきは、その操作感。お手元のスマホやタブレットのタッチパネルを、上下左右にスクロールさせたり、拡大／縮小させたりしても、まったくモタつくことなく動いてストレスフリー。サクサク感には感動を覚えるほどです。

また、モバイルアプリならではの使い勝手の良さも抜群。例えば、表示項目を選択したり、各種機能を使ったりということが直感的に行えるので、揺れるフネの上でも安心して使えるはずです。

もちろん、『Sガイド』情報も収載されていますし（全国で1,100図以上）、基本的にはパソコン版のニューペックのデータや機能が、そのまま使えるといっていいでしょう。

なお、詳細なマップデータは、必要なエリアをダウンロードして使う方式（全国で470ほどに分割されている）。Wi-Fi環境の整った場所で事前にダウンロードしておけば、通信量を心配する必要もありません。いったんダウンロードしたエリアのデータは、オフライン環境でも使えるので安心です。

 

ニューペックがスマホで使える！ いつでもどこでも必要な情報が見られる便利さは、やはりモバイルアプリならでは

 

出航前に航海計画を立てたり、海の上で情報を見たりと、一度使うと手放せなくなってしまう。タブレットを使えば、より大きな画面で情報を見ることができる

 

航海計画の作成画面。おおまかなコースを引いたあと、簡単に修正ができるので使いやすい。上の画面は、最初に引いたコースでは定置網にかかってしまっていたので（左）、定置網を避けるようなコースに修正したところ（右）

 

マリーナや海の駅、漁港などの詳細情報を知りたいときには、『Sガイド』の詳細な情報が見られるのは心強い。全国で1,100図以上を収載している

 

ニューペックスマートならではの機能

さらに、モバイルアプリ「ニューペックスマート」ならではの機能を、多数備えていることも見逃してはなりません。一例を挙げると・・・

●現在地付近、あるいは潮汐観測地点の1時間ごとの天気予報（最大72時間先まで）と週間予報（海上の場合は3日後まで）を表示

●毎時更新、1時間ごと最大72時間先までの風速・風向情報を表示

●3時間更新、3時間ごと最大72時間先までの波高・波向・波周期の予報を表示

●毎日更新、1日ごと最大30日先までの日本近海の海面水温の予報を表示

●陸上の地図情報を表示

●国土交通省 海事局が展開している「マリンチック街道」と連携。全国23エリアのおすすめクルージングコースがダウンロード可能

いろいろな情報を、一つのアプリで同時に閲覧・利用することができるので、非常に使い勝手がよいことこの上なし。いちいち別のアプリを立ち上げたり、ウェブサイトを見にいく必要がないのは便利です。

 

天気予報（左）や潮汐・潮流データ（右）も、ワンターンで利用できるのが便利

 

風速・風向（左）や波高・波向・波周期（右）の予報の閲覧も可能。ニューペックスマートは、プレジャーボートユーザーが知りたい情報が詰まった濃厚なモバイルアプリだ

 

国土交通省 海事局が進めている「マリンチック街道」の取り組み。ここで提案されているクルージングルートを、マップ上に表示して利用することも可能だ

 

自分が走った航跡を記録し、保存することも可能だ。マップ上の赤いラインが、横浜ベイサイドマリーナから、みなとみらいエリアまで走って帰ってきた際の航跡。あとで参考にもなるし、何よりも休日の思い出にもなる。写真やコメントを保存しておくこともできる

 

AIS表示機能を搭載！

昨今はプレジャーボートへの導入も進んでいる「AIS（船舶自動識別装置）」。一定の基準を満たす大型船舶には、世界的に搭載が義務付けられているもので、船名、大きさ、速度、針路、目的港といった情報をリアルタイムに把握できるため、安全航行に大きな役割を果たしているシステムです。

東京湾や大阪湾など、大型船舶の航行量が多いエリアでは、プレジャーボートの側からしても非常に有効な情報であることは言うまでもありません。なんと、ニューペックスマートには、このAIS船舶の情報をほぼリアルタイムに表示することができる機能が搭載されているのです！

画面に表示されるのは、自船の現在位置から最大で半径10海里内にいる船舶の動向（表示範囲は、半径2海里／5海里／10海里の中から選択可能）。夜間や霧が発生しているときなど、視界不良時には、とても役に立つ情報です。このAIS表示機能も、もちろん標準で装備されている機能となっています。

 

マップ上に表示される△マークがAIS船舶。情報を知りたい船舶をタップすると、上の画面のように、そのAIS船舶の詳細情報が表示される

 

安心と信頼のモバイルアプリ

最後に、ニューペックスマートの信頼性を裏付けるかのようなエピソードを紹介しましょう。

2021年9月現在、ニューペックスマートは、「沿岸小型船舶に備える"海図"の代替設備」として、日本小型船舶検査機構（JCI）が定める要件を満たしています。

つまり、海岸から5海里までを航行する「沿岸区域」の小型船舶であれば、法定備品として搭載が義務付けられている「海図」の代わりに、「ニューペックスマート」を利用することが可能なのです（※ニューペックスマートを法定備品として利用する場合には、JCIによる臨時検査が必要となる場合があります）。

 

ニューペックスマートは、沿岸区分の小型船舶の法定備品である「海図」の代わりに利用することが可能。アプリでは、上の画面のような船検用証明書を表示できる

＊

ニューペックスマートの実力を、あらためて知っていただくことができたでしょうか。今すぐにでも使えるモバイルアプリですので、まずはダウンロードしてみていただき、実際にあれこれ触って使っていただくことが、使い勝手を感じてもらうための近道かと思います。

でも有料だから・・・という方もご安心を。現在、初回登録から30日間無料で利用できるキャンペーンを実施中です。新型コロナウイルスが収束していない状況ですが、ニューペックスマートであれこれ航海計画を立ててみるのもオススメですよ。

 

（文＝舵社／安藤 健　写真＝舵社／宮崎克彦）

 

---

 

「ニューペックスマート」のダウンロードはこちらから