【水路を航く】#1愛知県・堀川/江戸時代掘削の運河

2020.12.19

日本各地にある海峡や運河などを巡る、『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
初回は、『ボート倶楽部』2020年3月号に掲載された、愛知県・堀川を取り上げる。
※本記事の取材は2019年12月に実施しました。

 


 

徳川家康の命を受け、名古屋城の築城が始まったのが慶長15年(1610年)。家臣の福島正則が築城に必要な木材や石材を運ぶための水路として、堀川の開削工事をしたとされている。当時は、海岸線であった熱田の浜までを結ぶ約6キロメートルの川だった。現在も名古屋市の中心部に流れる川として、市民イベントが行われたり、クルージングができるように、日々整備が行われている。

名古屋城築城の際にも使われた長い歴史を持つ堀川。江戸時代には、人が泳いだり食用の魚が取れたりする清流であったらしい。名古屋の町が近代化していくと共に川は汚染され、「死せる川」と呼ばれたこともあった。現在では環境整備が進められ、水質は年々向上している。

 

そんな「川」をまちづくりに活用する動きがある。名古屋城近くの朝日橋や五条橋近くには船着き場があり、観光用のフネが発着しているほか、名古屋駅につながる広小路通りにかかる納屋橋周辺では、遊歩道が完備され、川沿いには親水公園やオープンカフェもできた。低い橋もあるため、上流部への航行は小型のボートに限られるが、マイボートやレンタルボートでも都市型リバークルーズを楽しむことができる。

 

堀川の掘削とともに架けられた、江戸時代からある納屋橋。風のなかった撮影日、鏡のような水面に、街の明かりがきれいに反射していた

 

熱田記念橋から堀川の上流(北)を向くと、名古屋駅周辺にある高層ビル群がよく見える。このあたりは川幅も広く、航行しやすい

 

橋脚などの工事の際に浮かばせて足場にする木材と、それを曳航する作業船。木材の上には、ヘルメットをかぶった作業員が、危なげなく立っていた

 

取材したのは12月だが、川沿いの桜が季節はずれに咲いていた。春になると満開の桜を見に大勢の人でにぎわう

 

上品なコシ餡が包まれた、納谷橋饅頭万松庵 大須万松寺通店の「納屋橋まんじゅう」、1個140円(税込み)。ほのかに酒の香りがする

 

ボートの展示も行うマリンショップ「海蔵(ダイイチ名古屋支店)」。レンタルボートもあり、堀川のリバークルーズの拠点に最適

 

 ※本記事は、『BoatCLUB』2020年3月号に掲載された記事を一部抜粋したものです。最新刊およびバックナンバーもぜひご覧ください。なお、この記事の情報は、誌面掲載当時のものです。

(文・写真=舵オンライン編集部/山岸重彦)


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