
【水路を航く】#62/穏やかなる内海、浦ノ内湾の春
~高知県須崎市、土佐市・横浪半島、浦ノ内湾~
高知県の須崎市と土佐市にまたがる横浪半島は、東西に約19キロ続き、その内側にある浦ノ内湾は静寂に包まれた水路となっている。
湾の入り口は東端1カ所のみで、半島の断崖に守られた穏やかな海面が湾奥まで約12キロ――“横浪三里”と呼ばれることもあるとのこと。
水路を挟んで目の前に見えている場所であっても、陸路で行こうとすると数時間かかるなど、陸伝いでの往来は非常にしづらく、同地では古くよりフネが活用されてきた――かの弘法大師が青龍寺へ出向く際、渡し船を利用したという言い伝えもあるほどに。
(トップ画像説明)
浦ノ内湾湾口に架かる宇佐大橋。昭和48(1973)年の開通までは、渡し船が横浪半島の先端と対岸を結んでいた。徐々に明るくなる夜明け前の色彩が空を染める時間帯
◆日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『BoatCLUB』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
◆第62回は、『BoatCLUB』2024年3月号に掲載された、高知県・横浪半島の風景をお届けする。
(※本記事の取材は2023年の9月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)
細く、長く延びる浦ノ内湾は、内海の穏やかな水面が続く。曳き波の波紋を作りながら巡航船が湾の奥へと進んでいった
一日上下各3便、須崎市営の巡航船はこの地域の貴重な交通手段。朝夕は登下校に使う児童の姿が。湾口から湾奥までは約1時間で、浦ノ内湾をのんびり観光するにもうってつけ。無人の場合は着岸せずに次の船着き場へ進むことも。事前予約で貸し切り運航も可能
湾口からほど近い下中山エリア。高校野球で有名な明徳義塾高校の野球部のグラウンドがこの地域にある。春の穏やかな気候の中、多くの人が釣りを楽しんでいた
浦ノ内湾の奥にある鳴無(おとなし)神社。社殿が海に向かって立てられ、海から入れるよう鳥居が水上に突き出している。みこしを載せた船団が奉納する「志那禰(しなね)祭」が毎年8月に開催される
横浪半島の西部にある甲埼。リアス式海岸が続く横浪半島の外洋側では、切り立った崖で囲われた絶好のアンカリングポイントになっている場所も
(文・写真=山岸重彦/舵社)
