特定操縦免許制度が変わりました!

2024.08.29

小型旅客船や遊漁船など、人を輸送する事業用小型船舶の船長になろうとする人に必要な「特定操縦免許」の制度が、船舶職員及び小型船舶操縦者法の改正により、令和6年4月に改正されました。

平成15年から始まった特定操縦免許の制度ですが、それ以前に小型資格を取得した者にはすべて付与されており、以降の資格取得者に対しては「小型旅客安全講習」と称する救命講習を受講することで付与されています。

まだ記憶に新しいですが、令和4年の知床での旅客船事故を受け、海難発生時の対処だけでなく、事故を未然に防ぐという観点から、資格取得のための講習も船長の知識・技能の向上を目指した内容となり、名称も「特定操縦免許講習」と変わりました。

 

これから特定操縦免許を取得しようと考える人、すでに特定操縦免許を受有している人は、今後の講習内容などが変更となりましたので、以下でご確認ください。

 

 

【これから特定操縦免許を取得する方】

〇特定操縦免許講習について
・講習の内容は、現行の小型旅客安全講習の内容である救命に関する科目(7時間以上)に、小型旅客船の船長の心得に関する科目(学科4時間以上)及び小型船舶の取扱い、基本操縦及び応用操縦に関する科目(実技4時間以上)を加えた、合計15時間以上の講習課程となります。
・また、特定操縦免許講習では、新たに修了試験が導入され、科目毎に行う修了試験に合格した者に対してのみ修了証明書が交付されます。

〇履歴限定制度の導入
・新たな特定操縦免許では、一定の乗船履歴(注1)がない場合、小型旅客船・遊漁船に船長として乗船できる航行区域が平水区域に限定されます。
・沿海区域以遠を航行する小型旅客船・遊漁船の船長となるためには、一定の乗船履歴を積むことにより限定解除を行う必要があります。
(注1)必要な乗船履歴:沿海区域以遠を航行する総トン数200トン未満の船舶において1年以上船長、航海士又は甲板部員として乗り組んだ履歴

 

 

 

【すでに特定操縦免許を受有している方】

令和6年3月31日までに特定操縦免許を取得した方は、経過措置として令和8年3月31日までは特別な手続きをすることなく、引き続き小型旅客船・遊漁船に船長として乗船可能です。

〇移行講習
・移行講習(特定操縦免許講習の課程のうち、今回追加された学科講習及び実技講習)を受講し、修了試験に合格することで、新しい特定操縦免許を受けることができます。また、乗船履歴(注2)がある方は、実技講習が免除されます。
(注2)移行講習時の乗船履歴:小型旅客船・遊漁船の船長として3ヶ月以上乗船した履歴。履歴限定解除に必要となる履歴ではないことに注意
・経過措置期間中であっても、移行講習の受講で新しい特定操縦免許に切り替えた場合は履歴限定制度の対象になります。沿海区域以遠で船長業務を行う場合は、必要な乗船履歴を満たす状態になれば免許切り替えの申請ができます。

〇経過措置期間中に切り替えをせず、操縦免許証の更新のみを行った場合
・令和6年3月31日以前に特定操縦免許を取得した方の操縦免許証は、「特定」資格欄の背景が灰色ですが、経過措置期間中に移行講習を受講せずに操縦免許証の更新を行った場合には、資格欄の背景は赤色に変わります。赤色であっても経過措置期間が満了する令和8年3月31日までは、引き続き小型旅客船・遊漁船に船長として航行区域の制限なく乗船可能です。

〇操縦免許証の更新時機が経過措置期間の満了日以降で、経過措置期間内に新しい特定操縦免許に切り替えを行わなかった場合
・旧特定操縦免許は抹消され、令和8年4月1日以降は小型旅客船・遊漁船の船長として乗船することはできません。
・操縦免許証の「特定」資格欄は、背景が灰色のままで残りますが、記載があっても無効となります。

なお、経過措置期間に移行講習を受講しなかった旧特定資格受有者が、改めて新たな特定操縦免許を取得する場合は、特定操縦免許講習の内、現行の小型旅客安全講習の内容である救命に関する科目(7時間以上)が免除されます。

 

(文=日本海洋レジャー安全・振興協会)

 

参考 国土交通省 特定操縦免許


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