東京2020オリンピック・セーリング競技7日目。本日(7月31日)から最終日の8月4日まで、毎日2種目ずつメダルレースが実施される。
今日は49er級、49er FX級が予選のオープニングシリーズ最終日、男女混合ナクラ17級とフィン級は引き続き予選が行われる予定だったが、朝から風が弱く、4種目とも11時前にAP旗が掲揚された。
12時30分に男女混合ナクラ17級とフィン級のD旗が掲揚。約30分後には49er級、49er FX級のD旗も掲揚され、選手たちは沖合へ向かった。風は南西6kt程度。
逗子海面で実施された男女混合ナクラ17級
14時40分にスタートした49er級の第10レース(今日の1レース目)。スタートは本部船寄りから出た高橋 稜(レオ)/小泉維吹は1上マークをトップ回航! しかし、1下マークでクロアチアに先行され、フィニッシュは8位に終わった。
この時点で、総合成績は11位まで浮上。続く第11レースも3位とし、メダルレースを狙える位置に。しかし最終の第12レースで16位と沈み、総合成績は10位と4点差の11位で、惜しくもメダルレース進出を逃した。
ダウンウインドレグを走る高橋/小泉
ミックスゾーンに現れた2人は、悔しい気持ちもありながら、この5日間のレースを楽しめた様子だった。「どこかでその4点を拾えたんじゃないかって思うこともありますが、それもヨットレース」と小泉は話した。軽風での強さも示すことができたし、パリ五輪ではさらなる成長が期待できるだろう。2人は日本セーリング連盟の齋藤愛子コーチに感謝の意を示し、それに対して齋藤コーチは「一番手がかかりました」と微笑んだ
49er級の注目チームの一つ、シメ・ファンテラ/ミホビル・ファンテラ(クロアチア)。兄のシメ(35歳)は男子470級のヘルムスマンとして、北京五輪9位、ロンドン五輪6位、リオ五輪では金メダルを獲得。2017年に49er級に転向し、弟のミホビル(31歳)とペアを組む。今大会はメダルのチャンスはないが、8位でメダルレースに進出した。「2017年に種目を転向して、これまでのところ、それは素晴らしい旅でした。だから私たちは最善の選択をしたつもりです」とシメ
49er FX級の山崎アンナ/髙野芹奈も、今大会3回目となるシングルで最高位の4位フィニッシュを第10レースで決めた。「今日はタクティクスの面で、風下艇をカバーしたり、マークと相手艇の間に入ったりと、ちゃんと守りの走りをできました」と山崎は振り返った。総合18位。
レースの合間に笑顔を見せる山崎/髙野
さて、本日よりメダルレースが始まり、男子RS:X級と女子RS:X級が実施された。メダルレースは全種目とも江の島海面で行い、ターゲットタイムは、男女470級/レーザー級/レーザーラジアル級/フィン級は25分、49er級/49er FX級/男女混合ナクラ17級/男女RS:X級は20分と、短めの設定になる。なお、メダルレースは1位が2点、10位が20点というように得点が着順の倍になるため、オープニングシリーズの点差が少なければ逆転のチャンスも生まれる。しかし、オープニングシリーズで1位と2位に19点以上の差がある場合は、レースが始まる前の時点でメダルの行方はほぼ確実となっている(メダルレースでリコールや失格となった場合はこの限りではない)。
男子RS:X級のオープニングシリーズ終了時点のトップ3は、キラン・バドルー(オランダ)が33点、トマ・ゴヤール(フランス)が52点、マティア・カンボニ(イタリア)が54点。メダルレースでは、バドルーは中盤から徐々に追い上げ2位でフィニッシュし、37点で金メダルを獲得。ゴヤールとカンボニはまさかのリコールで、下マークを回航後にレースから排除された。その際のゴヤールは、信じられないといった様子で天を仰いだ。4着の畢焜(Kun Bi/中国)が75点で総合3位となったことで、OCSで22点加わったゴヤールは74点の総合2位となり、銀メダルを守りきった。
男子RS:X級のメダルレースフィニッシュ直後のバドルー。コーチと抱き合う
バドルーの歓喜の雄叫びが、江の島海面に響き渡った。青いヘアスタイルの理由はこちらから
男子RS:X級のメダルセレモニーの様子。左からゴヤール、バドルー、畢焜
photo by Sailing Energy / World Sailing
女子のRS:X級のオープニングシリーズ終了時点のトップ3は、盧雲秀(Yunxiu Lu/中国)が30点、エマ・ウィルソン(イギリス)が34点、シャルリーヌ・ピコン(フランス)が36点。3位と4位の差が22点のため、メダルレースの結果次第でメダルの色が決まるという状況だった。この3人がメダルレースも3位以内で展開し、金メダルは盧雲秀、銀メダルはピコン、銅メダルはウィルソンとなった。
女子RS:X級のメダルレースフィニッシュ直後。海に飛び込んだメダリスト3人。左からピコン、盧雲秀、ウィルソン
photo by Sailing Energy / World Sailing
女子RS:X級のメダルセレモニーの様子
photo by Sailing Energy / World Sailing
8月1日は、男子470級、女子470級、男女混合ナクラ17級、フィン級の予選レースと、レーザー級、レーザーラジアル級のメダルレースが実施される。
選手のコメントおよびその他の種目の成績、明日の予定は記事末でご確認ください。
■49er級 高橋 稜/小泉維吹
高橋「(第10レースの)1位から8位はちょっとひどいですね、格好悪い(苦笑)。最終レースも、2人とも最後まで頑張って順位を上げようとしたんですけど無理でした。悔いはなくて、ちょっと悲しいですけどシングルを二つ取れたので、次、頑張りたいと思います。パリ五輪にも2人とも出たい気持ちはあるので、ちょっとオフを過ごして考えます」
小泉「(第10レースは)あれは風が左に変わって、自分たちは右にいたので、ごっそり抜かれちゃいました。(印象深いレースは)上マークを1番で回れた第9、第10レースです。世界のトップ選手たちと軽風でいいレースができたので、よかったと思います」
■49er FX級 山崎アンナ/髙野芹奈
山崎「(前半の)2回のUFDは『これで出てるの?』と思うくらい、(リコールの基準が)今回は厳しく感じました。(初の五輪は)緊張よりワクワクした気持ちのほうが大きかったです。(レースが始まってからは)いろいろな感情が出てきて、良かったり悪かったりで、そのコントロールが難しかったです」
髙野「リオ五輪よりは精神的にも肉体的にも技術的にも成長を感じて、そこに関してはハッピーです。2人でもっと高いところを目指してここに来たけど、初日から沈したりUFDを取ったりで、気持ちをだいぶ揺さぶられた状態から始まった五輪でした。最終日の今日は、2人で支え合いながらいいレースができました。完璧ではないけど、4日間のなかで一番良くて、いい締めくくりだったと思います」
■男女混合ナクラ17級 飯束潮吹/畑山絵里
畑山「(風が弱かったけど)予定通りレースをこなすことができてよかったと思っています。風が弱い分、特にマーク際は艇と艇の距離が近くて、ヒヤヒヤする場面もありました。アップウインド、ダウンウインドともにスピードが悪くなくて、しっかりと走れていたので、思い切ったコースが引けました」
■フィン級 瀬川和正
「今日の1レース目は風がすごく落ちてしまって、潮の影響を受ける難しいレースになって、風のシフトと逆に行ってしまいました。2レース目はいいスタートができて、もう少し左奥まで行っていれば、2〜3位で回航できたであろうところにはいたのですが。この風だとスピードも悪くないです。明日は最後の最後なので、シングル2本取りたいと思います」
DAY7 RESULTS(暫定)
■49er級
高橋 稜/小泉維吹 総合11位/19艇(17-11-13-11-15-11-4-12-4-8-3-16)
■49er FX級
山崎アンナ/髙野芹奈 総合18位/21艇(7-16-UFD 22-17-16-UFD 22-9-19-11-4-13-15)
■男女混合ナクラ17級
飯束潮吹/畑山絵里 総合15位/20艇(12-18-15-12-15-16-14-6-14)
■フィン級
瀬川和正 総合16位/19艇(18-16-17-12-15-16-19-12)
最終成績
■男子RS:X級
1位 キラン・バドルー(オランダ) 37点
2位 トマ・ゴヤール(フランス) 74点
3位 畢焜(中国) 75点
■女子RS:X級
1位 盧雲秀(中国) 36点
2位 シャルリーヌ・ピコン(フランス) 38点
3位 エマ・ウィルソン(イギリス) 38点
DAY8(8月1日) スタート予告信号(予定)
■男女混合ナクラ17級 江の島 12:00
出場:飯束潮吹/畑山絵里
■女子470級 逗子 12:00
出場:吉田 愛/吉岡美帆
■男子470級 逗子 12:10
出場:岡田奎樹/外薗潤平
■フィン級 藤沢 15:00
出場:瀬川和正
■レーザー級 江の島 14:30 メダルレース
■レーザーラジアル級 江の島 15:30 メダルレース
●成績表
https://tokyo2020.sailing.org/results-centre/
●トラッキング(日本セーリング連盟 オリンピック応援サイト内)
https://www.jsaf.or.jp/tokyo2020/
●東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/
(レポート=Kazi編集部/森口史奈 写真=矢部洋一)