■1艇リタイア、舞台は南半球へ
単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は、スタートから2週間が経過。フランスをスタートしてから、サザンオーシャンを目指して大西洋を南下する参加艇の多くが赤道を越え、南半球へと入った。
現在トップに立っているのはトマ・ルイヤンの〈LinkedOut〉。8艇エントリーしている最新世代IMOCAのうちの1艇だ。僅差で優勝候補のアレックス・トムソンが乗る〈HUGO BOSS〉が追っている。
スタートした33艇中、ニコラ・トルセルの〈CORUM L’Épargne〉がディスマストでリタイア。有力な優勝候補艇だった〈CHARAL〉(ジェレミ・ベユー)がラダーとリグのトラブルでスタート地に引き返して大修理を行い、9日遅れで再スタートを切っている。
優勝候補の〈HUGO BOSS〉を逆転してトップに立ったトマ・ルイヤンの〈LinkedOut〉。
photo by Jean-Marie Liot / Alea
トップとの差はわずか。2位につけているアレックス・トムソンが乗る〈HUGO BOSS〉。
photo by Jean-Marie Liot / Alea
スタート地点に逆戻りして大修理を行い、再スタートを切ったジェレミ・ベユーの〈CHARAL〉。
photo by Olivier Blanchet / Alea
■白石康次郎、ついに戦線復帰!
白石康次郎が乗る〈DMG Mori Global One〉も大きなトラブルに見舞われている。
11月14日、オートパイロット不調により35ktの風の中で数度のワイルドジャイブを起こしたことが原因で、メインセール上部が破断。翌日に軽風域に入ったところでメインセールを降ろすことに成功した。
白石は、陸上のショアチームやセールメーカーと状況を共有しながら綿密に修理方法を検討。その後1週間かけて、洋上でセールを縫う作業や貼り付け作業、接合作業、カーボンパーツの作成、破損したバテンの修理などを行った。そして現地時間の20日、ついにメインセールを再びアップ。戦線復帰を宣言した。
セールは破れた部分を重ねて貼り合わせる方法で補修したが、船にあるスペアパーツや接着剤が限られていたため、非常に難易度の高い作業だったという。
photo by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One
トラブルから1週間。再び揚がった〈DMG Mori Global One〉のメインセール。
photo by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One
11月21日に公式チャンネルにアップされた動画。
photo by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One
動画内のコメント抜粋:
「やっとメインセールが揚がりました。上のほうが完全に伸びきって不格好ですが、このセールで新しい冒険が始まります。これが僕のヴァンデ・グローブです。この(メイン)セールとよれよれのJ2で果たして世界一周できるか、それがテーマになってきています。船が沈むわけではないですし、マストも立っています! このセールでどこまでいけるかチャレンジしたいと思います。よろしくお願いします!」
白石康次郎はアジア人初の完走という目標に向かって、再スタートを切る。
(文=Kazi編集部/中島 淳)
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