■白石康次郎は喜望峰を通過!
単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は、スタートから36日が経過。すでにリタイアした6艇を除く27艇のレース艇団は、世界一周のメインステージといえる高緯度海域、寒風吹きすさぶサザンオーシャンで奮闘している。トップ集団はようやく全航程の半分近くにやってきた状況で、まさにレースは中盤戦。
白石康次郎が乗る〈DMG Mori Global One〉は、11月14日にメインセール上部を大破、12月4日にバウスプリットが破損する大きなトラブルに見舞われたが、ショアチームと相談しながら補修作業を行って両トラブルを克服、レースを続行している。
12月11日にはアフリカ大陸南端の喜望峰(の真南にあたる経度)を越え、12月14日現在、21位というポジションでオーストラリア大陸の南側を目指している。以下は、レース艇上から配信された白石のコメントを抜粋したもの。
「今日、喜望峰を越えました。ありがとうございます。奇跡ですね。喜望峰を越えたのはこれで4回目なんですが、本当に長く長く感じました。スタート後の嵐でメインセールが真っ二つになったときには本当にがっくりして茫然自失だったんですけれど、ここまで来られました。奇跡だと思っています。まずは(陸上にいる)クルーたちに感謝したいと思います。そして応援していただいている皆さん、ありがとうございます。僕一人の力ではここまで来られません。こんな僕でも、ビリでも皆さんが応援してくれると力がわいて、ここまで来られました。次の目標はオーストラリアですね。ちょうど日本の真下(真南)を通過したいと思います。」(12月11日)
大会公式ページのトラッキングを見ると、喜望峰を通過後も周囲の船と変わらないか、やや早い平均スピードで航行しているようで、トラブルの応急処置はうまくいったようだ。12月13日にも白石は、ポートタックでリーチングを走っている様子の艇上から動画を配信した。
コメント抜粋「今日は穏やかないい天気です。(修復した)メインセールも、ちょっとへたってきましたが、しっかり風をとらえて進んでいます。順位は少しずつ上がっています。それはうれしんですが、とにかく安全に(スタート/フィニッシュ地の)レ・サーブル・ドロンヌに帰れるように、これからも1マイル1マイル大事に走っていきたいと思います。まだ先は長いです。落ち着いて、このヴァンデ・グローブを楽しみたいと思います。これからもがんばります」(12月13日)
白石のコメント通り、トラブルで大きなおくれをとっている〈DMG Mori Global One〉にとって、ヴァンデ・グローブはまだ序盤。世界一周の総距離の30%を走ったところだ。アジア人初の完走に向けて奮闘を期待したい。
■シャルリー・ダランの〈APIVIA〉がトップ
現在、フリートの先頭を走ってインド洋の南側を走っているのはシャルリー・ダランの〈APIVIA〉で、もう2週間以上トップをキープしている。2位はトマ・ルイヤンの〈LinkedOut〉で、左舷のフォイルに亀裂が入り、フォイルの先端から2mを切断するという大工事を行ったが、トップ集団から遅れることなく追走している。
トップ艇〈APIVIA〉は、オーストラリア大陸の南西端、ルーイン岬の通過時間で、前回大会の優勝艇からおよそ6日間遅れており、今大会は気象条件によってスローペースで展開していると言えそうだ。
photo by Charlie Dalin / Apivia
3位に上がってきたのは、ヤニック・ベスタベン〈Maître CoQ IV〉で、ここまで3艇は後続から頭ひとつ抜け出してトップグループを形成、オーストラリアの南側を航行している(写真はスタート時のもの)。
photo by Jean-Marie Liot / Alea
(文=Kazi編集部/中島 淳)
●Vendée Globe公式サイト
https://www.vendeeglobe.org/en
●レースのトラッキングサイト(現在位置)
https://www.vendeeglobe.org/en/tracking-map