■三つ巴トップ集団の明暗
単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は、スタートから50日が経過(2020年12月28日)。リタイアした6艇を除く27艇のレース艇団はサザンオーシャンを東に進んでいる。サザンオーシャンは荒れることで知られる高緯度海域で、過去の大会で多くのリタイア艇を生んできたが、今回の大会ではそれほど荒れていない様子。このところ新たなリタイアもなく、各艇順調な航海を続けている。
トップ争いは、ヤニック・ベスタの〈Maître CoQ IV〉、シャルリー・ダランの〈APIVIA〉、トマ・ルイヤンの〈LinkedOut〉の三つ巴状態が約2週間続いてきたが、12月23日以降、3艇はそれぞれの思惑を胸に大きく南北に分かれた。その結果、最新の状況ではトップは変わらず〈Maître CoQ IV〉、80マイル差で〈APIVIA〉が追っている。〈LinkedOut〉は大きく北上したコースが外れ、トップから300マイル以上離された上に、混戦の4~10位集団に飲み込まれてしまいそうな状況だ。
12月28日現在、全航程のおよそ6割を走った時点でトップに立っている〈Maître CoQ IV〉のヤニック・ベスタ。
photo by Yannick Bestaven / Maitre Coq IV
スタート直後の〈Maître CoQ IV〉。
photo by Yvan Zedda / Alea
女性スキッパーで唯一のフォイリング艇〈MACSF〉を駆るイザベル・ヨシュクは、現在8位で奮闘している。
photo by Isabelle Joschke / MACSF
スタート直後の〈MACSF〉。イザベル・ヨシュクは今回がヴァンデ・グローブ初参戦。
photo by Olivier Blanchet / Alea
■白石康次郎は現在21位
白石康次郎の乗る〈DMG Mori Global One〉は、12月4日に船の先端のバウスプリットにあるヘッドセールのタック部分が破損。その修理を行って以降、大きなトラブルもなく、3週間以上順調な航海を続けている。12月25日の艇上からの動画レポートでは以下のように話している。
「無事にオーストラリア(南西端)のルーイン岬を越えて、だいたい(世界一周の)半分くらい終わりました。まだ海は荒れています。サンタクロースに、新しいメインセールとかいろいろお願いしたいものがあるけれど、何より最高のプレゼントは、ここまで無事に来られたことです。奇跡だし、サンタクロースの大いなるプレゼントだと思っています」
11月14日にメインセール上部を大破した〈DMG Mori Global One〉。破れた部分を重ねて貼り合わせて補修したため(写真のDMG MORIロゴの「I」の文字の上部)、常にワンポイントリーフ(縮帆)をしたような状態になっている。
photo by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One
12月27日の白石。12月28日現在の順位は27艇中21位(参加33艇。すでに6艇がリタイア)で、全航程のちょうど50%を走り、世界一周レースもいよいよ折り返しだ。
photo by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One
(文=Kazi編集部/中島 淳)
●Vendée Globe公式サイト
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