ヴァンデ実況/11艇がフィニッシュ、白石の到着は10日後!?

2021.02.02

■25艇中11艇がフィニッシュ

昨年11月にフランスからスタートした単独無寄港世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」は、スタート時に33艇だったフリートのうち、すでに8艇がリタイア。

先週、シャルリー・ダランの〈APIVIA〉がトップフィニッシュして、その後、他艇の救助活動による救済タイムによってヤニック・ベスタベンの〈Maître CoQ IV〉が、劇的な逆転優勝を決めた。

それから5日がたち、これまでに25艇中11位までが約28,000マイルの地球一周旅を終え、フランスのレ・サーブル・ドロンヌ沖のフィニッシュラインを横切った。

 

80日間、28,000マイルの激闘の痕跡が残る、優勝したヤニック・ベスタベンの〈Maître CoQ IV〉の船体。
photo by Bernard Le Bars / Alea

 

昨年11月末に、大波の中で船体が大破して遭難・艇体放棄した〈PRB〉のケビン・エスコフィエを救助したヒーロー、ジャン・ルカムの〈Yes We Cam!〉も4位でフィニッシュ。62歳の大ベテランが、フォイル(水中翼)のない艇で最上位となり、今大会のMVP的な大活躍を見せた。
photo by Olivier Blanchet / Alea

 

ケビン・エスコフィエ(左)は、命の恩人、ジャン・ルカム(右)を笑顔で出迎えた。
photo by Yvan Zedda / Alea

 

■白石康次郎は残り2,300マイル

アジアから唯一の参加艇である〈DMG MORI Global One〉を駆る白石康次郎も順調に大西洋を北上し、1月27日から28日にかけて赤道を通過。心配された赤道無風帯の影響も大きくなく、大規模な補修をしたメインセールをいたわりながらも船足を延ばしている。2月1日現在の暫定順位は16位で、1週間前から三つ順位を上げた。

 

ついに北半球に戻ってきた白石康次郎。
photos by Kojiro Shiraishi / DMG Mori Global One

 

1月28日の艇上からの動画レポートでは、優勝したヤニック・ベスタベンに祝福のコメントを寄せた。

「ヤニック、優勝おめでとうございます。すばらしいです。実はヤニックとは練習仲間でした。ローラン・ジョルダンというコーチが同じで、優勝艇の〈Maître CoQ IV〉で一緒に練習したりしました。ヤニックのチームはチームワークがすばらしく、もちろんヤニックの情熱や能力も高くて、船も完璧に仕上がっていました。友人の優勝は心からうれしいです。僕もがんばります。これからいろんなスキッパーがフィニッシュすると思いますけど、僕も続きます」

 

また、公式ウェブチャンネルのスタジオと中継をつないでの1月31日のインタビューには以下のように答えている。

「元気でやっています。最優先はこのセールを保ってフィニッシュすることです。(今後は)アゾレス諸島を北に回り込むので、かなり長い距離を走ることになります。(フィニッシュ地を真っすぐ目指すわけではないので)ナビゲーションもけっこう難しいですね。早くフィニッシュして、バターたっぷり塗ってクロワッサン食べたいです(笑)」

白石の表情や話しかたには余裕が見え、アジア人初のヴァンデ・グローブ完走に向けて、次第に自信を深めているようだ。フィニッシュは2月10日前後が予想されている。

 

(文=Kazi編集部/中島 淳)

 

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