2020年11月8日にスタートした単独無寄港無補給世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ2020-2021」。アジア人選手として唯一出場する〈DMG MORI Global One〉白石康次郎が、日本時間の11日(木)の午前中にフィニッシュする見込みだ。
2020年11月8日、自身2度目のヴァンデ・グローブのスタートを切る白石康次郎と〈DMG MORI Global One〉
出場選手は過去最多の33人(男性27人、女性6人)。ディスマストに、フォイルやラダーのトラブルで、現在までのリタイアは8艇(男性6人、女性2人)に及んだ。
白石は、スタートからわずか6日でメインセールを破損するという大きな試練に見舞われた。陸のショアクルーやセールメーカーとの協議を重ね、修理に約1週間を費やし、順位は31位まで後退。破損部分を重ねて修理したため、その後はメインセールをフルには展開することはできず、最大でも1ポイントリーフ(縮帆)した状態でレースを続行した。
フルパワーのセーリングは難しかったが、白石は大西洋を南下し、赤道を通過して先行艇を追う。12月11日には、前回大会(2016-2017)でディスマストして悔し涙をのんだ喜望峰(南アフリカ)を通過。順位は23位まで上げていた。
ルーイン岬(オーストラリア。12月24日)、ホーン岬(チリ。1月14日)を越えるたびに、順位もじわじわとアップ。再び赤道を通過した1月27日には17位。万全ではない状況下で順位は二の次かもしれないが、やはりレースという面で考えれば、順位が上がることはファンにとってもうれしいものだ。日本の、そして世界の"コージロー"ファンが、〈DMG MORI Global One〉と白石の奮闘を喜んでいる。
新艇でのヴァンデ・グローブ再挑戦という悲願をかなえた白石。写真はトレーニング時のもの
UTC(協定世界時)2月9日(火)4時時点のトラッキングマップ。下の黒い艇が〈DMG MORI Global One〉で16位。残航は約560マイル
©Vendée Globe
かねて「目標は完走」と話した白石。ついに、その完走が成し遂げられようとしている。それは白石にとっても初だが、アジア人としても初の快挙だ。ヴァンデ・グローブ史上に、そして日本とアジアのセーリング界に、新たな歴史の1ページが生まれようとしている。その瞬間を、ぜひ見逃さないでもらいたい。フィニッシュの様子は大会公式サイト、Facebook、YouTubeなどでライブ配信される予定だ。
(文=Kazi編集部/森口史奈 写真=矢部洋一)
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