
今年で30周年を迎える横浜ベイサイドマリーナ(以下、ベイサイドマリーナ)では、マリーナ運営と並行して環境活動にも力を入れてきた。文字通り「海とともに生きる企業」として、現在「ブルーカーボン創出プロジェクト」を推進している。
これは、「ベイサイドマリーナ」、「八千代エンジニアリング株式会社」、「東亜建設工業株式会社」と、横浜港の港湾管理者である「横浜市港湾局」が連携し、港湾の脱炭素化に向けて行っているプロジェクトだ。
ブルーカーボンとは、沿岸に生育する海草・海藻などの海洋生態系が光合成によってCO₂を取り込み、海底や深海に長期間蓄積される炭素のことを指す。陸上の森林による炭素吸収と並ぶ、新たな地球温暖化対策の選択肢として近年注目が高まっている。
ブルーカーボンの主要な吸収源は、藻場(海草・海藻)、干潟、マングローブ林などで、その創出・保全がもたらす効果はCO₂吸収にとどまらない。水質浄化機能の向上、水産資源の回復・活性化、さらには市民への教育・体験の場の提供など、生態系の再生が地域の暮らしに与える恩恵は多岐にわたる
ベイサイドマリーナで2025年から取り組んでいるのが、「わかめで脱炭素?」と題する、直立護岸を活用したワカメ育成実証実験だ
護岸壁面に設置したロープにワカメを育成し、成長した段階で一部を収穫。ブルーカーボン量を算定するとともに、ワカメの胞子が周辺護岸に飛散・定着するかどうかを検証している。さらに2026年から、種付け体験や収穫・食育といった体験イベントも実施しており、来場者が海の恵みと環境保全を身近に感じることのできる機会も提供している。
今年の12月ごろにも、実験及び体験イベントの実施を計画しているとのこと。
ブルーカーボン創出プロジェクトを通じてベイサイドマリーナが目指しているのは、豊かな「海の森」の再生であり、得られた知見や成果を広く社会と共有することで、海洋環境保全への認知と理解を広めていくことにある
環境への取り組みはこれにとどまらない。ベイサイドマリーナでは、非食用米や粉砕米など飼料としても転用できない「お米」を原料としたバイオマスプラスチック製の「YBM専用ゴミ袋」を導入している。焼却時のCO₂排出量削減が期待できる素材であり、廃棄物処理の面でも環境負荷の低減を図っている
「YBM専用ゴミ袋」は2024年の同社のハーバー内美化プロジェクトから発足した社内チーム「ゴミ部」が行っている活動で、定期的なゴミの分別状況の確認に加えて、テトラポットの清掃、ゴミ置き場の美化にも取り組んでいる
マイクロプラスチックによる海洋汚染への対策として、船体と桟橋の間に設置する緩衝材「フェンダー」についても見直しを行った。従来使われていた「発泡スチロール製の俵型フェンダー」を「樹脂製のドックフェンダー」へと切り替える「セイフティ&クリーンキャンペーン」をおこない、オーナーへの協力を求めている。発泡スチロールの破片が海中に流出し、マイクロプラスチック汚染の一因となることを踏まえた実践的な取り組みだ。
今回取り上げたベイサイドマリーナだけでなく、多くのマリーナが環境問題に取り組んでいる。マリーナは海と陸をつなぐ接点として、環境保全の意識と行動を発信できる場でもある。同じ海を共有する者として、こうした取り組みへの理解を深め、海洋環境の保全に少しでも意識をもって関わっていきたい。
横浜ベイサイドマリーナ
〒236-0007神奈川県横浜市金沢区白帆1
TEL:045-776-7590
ホームページ:https://www.ybmarina.com
(文=谷川壱星/舵社 写真=横浜ベイサイドマリーナ、環境省、舵社)