2馬力ボート釣行記/神流湖の“メガサギ”をねらう

2024.06.01

2馬力ボート釣行記。今回は神流湖(かんなこ)のワカサギ釣りへ。数は釣れないが、釣れると大きいという神流湖のワカサギは、軟らかく美味しいと評判だ。さて、どんな釣行になるのか。

※本記事の取材は『BoatCLUB』2024年3月号に掲載した記事を再編、2023年12月末に取材したものです

 

ボートが持ち込めるダム湖はそれほど多くない。特に、エレキならまだしも、船外機付きとなるととても少ない。ただ、群馬県の湖はそのほとんどで船外機付きボートが出せるのだ。中でも、奥利根湖や藤原湖が有名だが、今回は埼玉県と群馬県の県境を流れる、利根川の支流である神流湖を訪れることに。ダムの名前が下久保ダムというので、地元の人たちは神流湖と呼ばず、下久保と呼ぶことが多いのだとか。

細長い神流湖はもともとV字谷の渓谷だったために地形が複雑だ。湖に流れ込む神流川の水がきれいなので、ワカサギを含めサクラマスやヤマメ、イワナなどの渓流魚が大きく育つそうだ。それはワカサギも同様で、神流湖のワカサギの特徴は釣れれば大きいこと。小さいものでも10センチ、レギュラーサイズで13センチ、ジャンボになると16センチというから、とにかく大きい。神流湖の最大レコードは17.5センチと、特大シシャモ級である。

さらに、神流湖のワカサギは大きいのに骨が軟らかくておいしい。通常のワカサギであれば、大きく育つと骨が硬くなるのだが、神流湖のワカサギは大きくても骨が硬くならないのだ。その理由は水質がアルカリ性だからといわれる。神流湖のワカサギ釣期は例年、10月上旬から3月いっぱいで、最盛期は解禁当初よりも水温が下がって寒さが厳しくなる12月末から2月中旬だ。

ボートの受け入れは群馬県側にある神流湖観光ボートで、ボートの大きさによって持ち込み料は異なるが、15フィート未満であれば2,000円/日で、遊漁料は1人1,000円/日。

 

神流湖観光ボートの受付は桟橋にあるので、そこで手続きをする。レンタルボートもあれば、桟橋での釣りも可能だ。飲料の自動販売機やトイレもある

 

神流湖はトレーラブルボートの持ち込みが多く、スロープでのエントリーとなる。インフレータブルボートの場合は、邪魔にならないような場所で準備する。まだ日が上がりきっていないので寒い中準備をする

 

いつも使っているホンデックスのポータブル魚探「PS-611CNⅡ」の振動子をワカサギパック用の「TD08」に変更して使うことに(本体のバージョンアップが必要)。周波数を150~300kHzの間で7段階切り替えることができる

 

ワカサギ釣りのための釣り座は、ビーエムオージャパンのコンパクトレールシステムを活用してセットする

 

準備を終えて出艇する。例年ならばたっぷり水があるのだが、夏から秋にかけて雨が少なかったため近年にない減水だそうで、かなり水位が低い。いつもならば水中に没しているはずの景色を眺めながら、上流へと向かう

 

神流湖のポイントは、地形変化が激しいので、ちょっとしたフラットな場所にワカサギが居着きやすいそうだ。昔の道や段々畑のような場所である。また、水の状況に応じた水深選択がポイント選びのカギとなる。

例えば夏から秋にかけて大雨が降ると、湖水が白っぽく濁る。濁ったまま解禁を迎えると、水深8~10メートルなどの浅いところでよく釣れるそうだ。水温が下がるとワカサギは深いところに落ちるので、30~40メートルの深場を探る。

シーズンごとの好ポイントとしては、初期は農協ワンド、峰ワンド、犬目ワンドといった広くて釣りやすいところ。後期は上流の柚木沢ワンド、安房沢ワンドなどの狭いポイントへと移っていくのが例年のワカサギの動きとのこと。「今年は水位が下がっているので、どこで釣れるかわからないよ」と神流湖観光ボートの方に言われた。

神流湖のポイントは各ワンドにロープが張り巡らされているので、そのロープにボートを係留しての釣りとなる。出艇するときに、神流湖の主と呼ばれる釣り人、江口 清さんのトレーラーがあったので連絡してみた。すると、かなり上流にある大栃ワンドで釣りをしているという。来てもいいよと行ってくれたので、そこを目指すことに。

 

江口さんのマリンモーター・ネオ74に横抱きさせてもらうと、すでに10尾もワカサギを釣っていた。大きいものは13センチを超えている。相変わらず神流湖のワカサギは大きい。ちなみに、神流湖では10センチ以上をデカサギ、13センチ以上をメガサギ、16センチ以上をレアサギと呼ぶそうで、目指せメガサギだ

 

神流湖のワカサギ釣り仕掛けは、他の湖とはまったく違う仕掛けを使う。一般的な釣具店では置いていない仕掛けなので、自作するか、高崎市の釣具店「つりピット!」で購入するかだ。これは事前に「つりピット!」で購入しておいた神流湖用の仕掛け。これに江口さんがおすそ分けしてくれたジャンボサシを付けて使う

 

江口さんが「つりピット!」に卸している最新の穂先。細い金属線を曲げて作られていて、バネの力で小さなアタリを増幅させるようにできている。その名も「ワカバネッサ」

 

先に釣りを始めていたM嬢に待望のアタリがあったのだが、アワセを入れていなかったのでバラしてしまった。その直後にアワセを入れて釣れたのがこちら。デカサギだ

 

小生の1尾目はゲストのオイカワ。神流湖はワカサギのほかに、オイカワ、ウグイ、モロコ、ハス、ヤマメ、イワナなどが釣れる

 

M嬢が3尾目をキャッチしているのを横目に焦りが出たが、やっと待望の本命ワカサギの1尾目をゲット。だが、サイズはデカサギ以下だ

 

続けて掛かるようになるが、ワカサギが小さい。この日は底のほうでワカサギが掛かることが多く、一番下のハリによく掛かっていた

 

最後に小生にきた待望のデカサギ!M嬢とともに6尾ずつの釣果となった

 

小生たちがポイントに着いてからの江口さんの釣果。こんなに丸々としたメガサギも交じっている。結局この日の江口さんの釣果は23尾!さすがである

 

最後に江口さんと。なんと江口さんが釣ったワカサギを全部小生たちにくれた。たくさん持ち帰ることができてうれしい。江口さん、ありがとうございました!

 

(まとめ・写真=BoatCLUB編集部/M嬢)

 

丸山 剛(まるやま・つよし)
1962年生まれ、神奈川県在住。海、山、川、湖とフィールドを選ばず全国を飛び回るプロのアウトドアカメラマン。可搬型のボートを各種乗り継ぎ、現在は2馬力ボートに落ち着いた。

 

※本記事は『BoatCLUB』2024年3月号より抜粋。誌面では、筆者の視点により、より詳しい仕掛け、ポイント、釣り方などの解説が掲載しているので、気になる人は、バックナンバー電子版最新刊も、ぜひご覧ください。


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