神奈川県・江の島ヨットハーバーで開催された第49回 全日本470級ヨット選手権大会(11月11日~15日)が、15日、最終日を迎えた。86艇がエントリーし、東京五輪日本代表の岡田奎樹/外薗潤平(トヨタ自動車東日本/九州旅客鉄道)、吉田 愛/吉岡美帆(ベネッセホールディングス)も出場した。
最終日まで、暫定トップの証である黄色いビブスを誰にも譲らなかった岡田/外薗
この日の風は、昼ごろ北から南に回る予報。午前中に予定されていた11位以下のチームを対象にしたラストレースは、微風のためノーレースに。その後、南風が入り始め、10位以上のチームだけで行われるメダルレースは定刻通り実施された。今大会はメダルレースを2本行った。
前日までの成績は、1位から岡田/外薗(13点)、2位 土居一斗/木村直矢(アビームコンサルティング|23点)、3位 市野直毅/松尾虎太郎(JFE商事/早稲田大学|29点)、4位 高山大智/盛田冬華(ヤマハセーリングチーム'レブズ'/法政大学・ヤマハセーリングチーム'レブズ'|31点)、5位 吉田/吉岡(33点)。
「男子のダウンウインドにも追いつけるようになった」と話した吉田/吉岡は、総合5位
予選シリーズと決勝シリーズでは、トップを7回、2位を3回、1回だけ取った3位がカットレースという圧倒的な成績の岡田/外薗が主役だった。しかしメダルレースの主役は、2本ともトップフィニッシュを飾った市野/松尾に移った。
メダルレース前、「(松尾)虎太郎くんとは、この大会の1レース目で初めて一緒に乗りました。レースの順位自体は考えていません。点差を気にすることなく、シンプルにレースをやります」と市野。松尾は「市野さんは自分でヨットを無理に動かすのではなくて、“ヨットの声”を聞くセーラーだと思います。セッティングも何cm単位で考えています」と、市野のセーラーとしての特徴を話した。
1レース目は右のシフトを捉え、1上マークからトップを維持。2レース目はO旗が揚がるコンディションになり、1上マークは3位だったものの、2上でトップに。見事なレース展開でトップフィニッシュ。岡田/外薗を逆転するには至らなかったが、初めて組んだペアでの全日本で2位とは、市野/松尾の健闘はお見事だった。
2本目のメダルレースでもトップフィニッシュし、喜びを爆発させた市野/松尾(photo by Katsuhiko Miyazaki / Kazi)
昨夏まで東京五輪代表選考を争った6人のセーラーが表彰台を独占。1位 岡田/外薗、2位 市野/松尾、3位 土居/木村(photo by Katsuhiko Miyazaki / Kazi)
女子チームの成績のみ抽出して争われる第34回 全日本女子470級ヨット選手権大会の表彰。1位 吉田/吉岡、2位 鴻上ひかる/坂井友里愛(日本大学)、3位 伊藤七瑠/和田 萌(法政大学)(photo by Katsuhiko Miyazaki / Kazi)
来年の全日本選手権は、香川県高松市で開催される予定だ。東京五輪が終わり、2024年パリ五輪を目指す世代が台頭してくるのだろうか? 今から楽しみだ。
(文・写真=Kazi編集部/森口史奈)