4回目を迎えたKazi YACHT AWARD。
月刊『Kazi』誌2023年3月号(2023年2/5発売)から、2024年2月号(本号、2024年1/5発売)の1年間に、誌面で紹介したセールボートを対象とし、アワードを決定するものだ。
今回は、まるで未来からやってきたようなクルーザー/レーサー、ベンテ28が大賞を獲得した!
大賞のほかに、「クルーザー/レーサー部門」、「デイセーラー部門」、「マルチハルそのほか部門」の各部門賞も決定。
その詳細を舵オンラインでお届けします。
まずは、大賞のベンテ28をご紹介!
なお、3月21日(木)~24日(日)に開催される「ジャパン インターナショナル ボートショー2024」でも、横浜ベイサイドマリーナ会場にベンテ28が展示される。ぜひ実艇もチェックしていただきたい。(編集部)
【SPEC】
■全長:8.65m ■全幅:2.99m ■喫水:1.60m ■排水量:3,200kg ■バラスト重量:995kg ■セール面積:アップウインド55.2m2、ダウンウインド105.2m2 ■燃料タンク:60L ■清水タンク:60L ■エンジン:ボルボ・ペンタD1-13(12.2馬力) ■価格:問い合わせ
[輸入元] ウインクレル
TEL: 045-681-0104
https://yacht-w.com/
対象記事と選考方法
舵社発行の月刊誌『Kazi』2023年3月号から2024年2月号までに紹介した、艇紹介および、艇の性能を取材し分析した記事を加えた28艇が対象。上記4人の識者に加え、植村浩志(舵社社長)と、安藤 健(同営業部)、山岸重彦(同写真部)にKazi編集部員4人を加えた11人で選考。それぞれ1~10位を決め、1位30点、2位29点……10位11点を加点、識者と植村の5人以外は1位20点からスタートした。
コードセールをセットして大阪湾を快走するベンテ28
ドッグハウスの屋根と側壁が透明なアクリル板になっており、船内はサンルームのような明るさだ
個性的な外観デザインが目を引くが、万人受けするヨットとして誕生したモデルではない。
ヨットを所有したいという欲求を若い世代に覚えさせるために開発されたヨットだという点に、特に感銘を受けた。いわば、まだ存在していない未知のユーザー層をターゲットにしたヨットだ。
ビジネス的には大冒険だが、その一方で、造船設計と建造設計については、世界でトップクラスの人気も実績も信用も誇るユーデル/フローリクが担っているという点が、ただの「キワモノ」とは大きく異なる。
このモデルが、ヨットオーナー層の高齢化という業界が抱える課題を救うブランドとして成長していけるのか、興味を持って見守りたい。
Kazi YACHT AWARDの大賞をいただきまして、ありがとうございます。
弊社は、コロナ明けの2023年度からBente Yachtsディーラーとなり輸入販売を開始しました。
このベンテ28は、ユーデル/フローリクデザイン事務所で設計されました、とてもユニークでモダンデザインを有した艇です。その特徴的なハードドジャーの恩恵をうけ、船内は28ftとは思えない広さと明るさに驚かされます。
デイセーリングから、クラブレースやファミリークルーズまでを楽しんでください。
☆世界も注目するKazi YACHT AWARD!!
ベンテ28がKazi YACHT AWARD2023大賞を受賞したニュースは、本国ドイツにも届いた! 大賞受賞を知らせるBENTE YACHTS社の記事
西村一広さん
Kazu Nishimura
連載「Kazu Impression」などを執筆するプロセーラー
同時多発的に発生する地球規模の社会不安と、それらに影響される経済的インパクトの中で、2023年も日本に多くのセーリングヨットが輸入された。それらのうちの何隻かに試乗できたが、皆それぞれに魅力的なモデルだった。優秀な日本製キールヨットの復活も、願い続けています。
永井 潤さん
Jun Nagai
ボートデザイナー。日本ボート・オブ・ザ・イヤー選考委員
私は「自分の力で動かしている」と感じられるボートが好きだ。それも、ショートハンドで大海原を闊歩?疾走? するような・・・。そのようなテイストが感じられるボートを上位に選ばせてもらった。とはいえ、最近のプロダクションボートの完成度の高さには驚くばかりだ。
松本和久さん
Kazuhisa Matsumoto
数多くのセールボート紹介記事を担当する写真記者
クラシカルで気品あるデイセーラーは所有欲を刺激する。残念ながら実際に購入する機会はなさそうだが、所有したことを夢想しつつあれこれと想いを巡らすのは楽しい。ラグーン55はその対極の理想。極上の居住空間とともに海上を自在に行き来する贅沢は、凡人には想像することすら拒む頂点。
本吉夏樹さん
Natsuki Motoyoshi
連載「セールボートトライアル」を執筆するプロセーラー
選考艇の半数がデイセーラーと、国内でもこのジャンルのボートを多数見かけるようになってきた。セーリングを気軽に楽しむというスタイルが浸透してきたことは大変うれしいことだ。レースボートもミドルクラスからオフショアレーサーまで候補が出てきたことは、良いニュースと言える。
選考委員会総評
ベンテ28 のインパクト、そしてトフィノ8 の強襲
(文=Kazi編集部/中村剛司)
2023年10月号の特集「相棒は、デイセーラー」があったため、今回のノミネート28艇中、14艇がデイセーラーとなった。
全体を振り返ると、コロナ禍による輸入艇制限の影響を最も受けたのが2023年だったと感じる。
前回のノミネートは40艇、前々回は54艇あった。昨年のサフィア勢2連覇の記憶も新しく、今回同ジャンルであるデイセーラー優勢の選考かと思われたが、大賞はクルーザー/レーサーのベンテ28。まるで未来からやってきたような斬新なこの1艇のインパクトは非常に強かった。
しかし、11人の選者のなかで1位にベンテ28を選んだのは3人のみ。1番ではないが印象に残った、という選者が8人。そういった意味でも今回の選考は票が割れた。
2位は幻となったオリンピック外洋セーリング競技の採用艇候補、デヘラー30OD。3位に、マルチハルの代名詞、ラグーンの55ft。4位のベネトウ・ファースト27、5位のM.A.T.1220も印象深いレーサーだ。
乱戦となったデイセーラー部門を制したのは、トフィノ8(総合でも6位)。サフィア一強の牙城を見事に崩す形となった。今回の28艇はいずれも個性的な艇が多かった。各選者も選考に際し楽しくも苦戦したようだ。今年もハイレベルなアワードとなった。
(構成=中村剛司(Kazi編集部) 写真=松本和久)
※関連記事は、月刊『Kazi』2024年2月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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