進化を続ける超定番セーリングヨット|ベネトウ・オセアニス34.1

2024.05.09

今年、創業140周年を迎えたフランスの名門ビルダー「ベネトウ(Beneteau)」。セーリングヨットのみならず、パワーボートも含め、タイプの異なる大小さまざまなモデルをラインアップ。また、ラグーンジャノーエクセスといったブランドを傘下に収めており、世界でも屈指の規模を誇るプロダクション艇ビルダーとして、その名を知られている。

 

そんなベネトウのセーリングヨットのラインアップにおいて、長く主役を務め続けているのが「オセアニス(Oceanis)」シリーズだ。今さら多くを語るまでもない世界的な人気シリーズであり、モデルチェンジを繰り返すたびにさまざまなアイデアを取り入れ、最新のトレンドを生み出してきた。

そのオセアニスシリーズの最新世代(なんと第7世代!)から、「オセアニス34.1」を紹介することにしよう。

全長10.77メートル(約35フィート)という、日本では人気の高いサイズレンジ。そして、その大きさを忘れてしまうかのような圧巻の船上空間には、オセアニスシリーズの"進化"をまざまざと見せつけられた。セーリング写真、そしてディテール写真もじっくりとご覧いただきたい。

 

チャインが長く入った現代的なスタイリング。バックステイを排していることも特徴の一つで、コクピットより後方の空間では、頭上がストレスフリーとなっている

 

船首エリア付近には、たっぷりとしたボリュームがある。サイズを超えた居住空間を実現しているだろうことを予想させる

 

シンプルでオーソドックスなレイアウトだが、マスプロダクションヨットビルダーであるベネトウだからなしえる細かなアップデートが、随所に施されている。非常に完成度の高いセーリングクルーザーだといって間違いない

 

これが35フィートクラスの艇のコクピットとは、にわかには思えない。ステアリング周りにコントロールロープ類も集められていて、ゲストがくつろぎの時間を過ごすコクピットと、操船のためのスペースが、完全にセパレートされている。ブームも高く、居心地がよく安全性にも配慮した空間となっている

 

テーブルを開いたところ。ベンチシートには、専用のクッションを敷くことも可能だ

 

トランサムを手動で下ろすと、大きなスイムプラットフォームが現れる。海水浴などマリンアクティビティーを楽しむには、最適な空間となるはずだ

 

コクピットのベンチシート(左舷側)の下には、大きなストレージが設けられている。深さも十分にあり、係留用品などを収納する場所として、非常に重宝しそうだ

 

アンカーベッドを兼ねたバウスプリットを装備。このバウスプリットを除くハル長は9.96メートル

 

取材艇はオプションのセルフタッキングジブを装備していた。少人数でのセーリングも問題なくできるはず

 

メインサロン。3.57mという全幅をフルに生かし、ゆとりの空間を実現している。白を基調とした内装は明るく、そして清潔感にあふれている

 

右舷(写真左)船尾側にはL字形のギャレー、その反対側にはトイレ&シャワールームという配置。トイレのすぐ前のスペースには、折り畳み式のチャートテーブルが格納されている

 

L字形のギャレーは大きなサイズ。特にこのカウンターは、調理中の食材や出来上がった料理を一時的に置く際に、とても重宝しそうだ

 

船首にはマスターステートルームを備えている。外から見た際にボリュームを感じた通り、広さ、高さとも、このサイズの艇とは思えない。ドアを全開にすると、メインサロンと一体感のある空間が生まれる

 

右舷側のクォーターバース。ここも十分な広さがある

 

メインサロン、ギャレーの反対側(左舷側)トイレ&シャワールームが設置されている。しっかりとセパレートされているので、トイレの床が水びたしなんてこともないはず

 

取材艇は、左舷側のクォータールームを大きなストレージとするオプションを選択。船の外側(コクピットのベンチシート)からのアクセスすることができ、容量もかなり大きいので、とても使い勝手がよさそうだ

 

取材艇のエンジンは、ヤンマー3YM30(30馬力)をチョイス。ご覧の通り、メンテナンス性もよさそうだ

 

さすがベネトウとうなってしまう、オセアニスシリーズの最新世代。サイズ的にも、少人数で操船できる上に、保管場所のメリットも大きい。それでいてベテランセーラーでも「これが35フィート?」と驚いてしまうに違いない、ゆとりあふれる居住空間は大きな魅力となっている。

興味のある方は、日本総輸入元のファーストマリーンまで、お気軽にお問い合わせいただきたい。

 

(文=舵社/安藤 健 写真=舵社/落合明人 協力=横浜ベイサイドマリーナ)

 

【SPEC】
●全長:10.77m
●ハル長:9.96m
●水線長:9.50m
●全幅:3.57m
●喫水:2.00m/1.50m/1.25~2.55m
●軽荷排水量:5,470kg
●セール面積:メイン31.40㎡、セルフタッキングジブ17.10㎡、コードゼロ50.40㎡
●燃料タンク:130L
●清水タンク:231L
●エンジン:ヤンマー3YM30(30馬力)※取材艇の場合
●価格:問い合わせ

(問い合わせ)
ファーストマリーン
TEL: 046-879-2111
https://www.firstmarine.co.jp/

 

舵社公式YouTubeチャンネル「Kazi Movie」の解説動画もチェック!

 

月刊『Kazi』2024年6月号に、プロセーラー/本吉夏樹氏によるレポート記事を掲載。こちらもぜひご覧ください。


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