PHEVの心臓を得た究極の英国サルーン｜ベントレー
2023.02.06「ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド」。ベントレーが、SUVのベンテイガに続いて発表したPHEVモデルは、日本市場でも高い人気を誇る、4ドアサルーンのフライングスパーをベースにしたモデルだった。それは長い同社の歴史上、最も高いエネルギー効率を誇るクルマだという。もちろん、ベントレーの超高級車ブランドとしての価値観は変わらない。そのファーストインプレッションを報告しよう 。
自動車の電動化に向かっての動きは、もはや一般的な常識になりつつあるようだ。実際に最もシンプルなHV（ハイブリッド）のほかにも、外部電源からの充電が可能なPHEV（プラグイン・ハイブリッド）、さらには BEV（電気自動車）、FCV（燃料電池車）といった、何らかの動力源としてエレクトリックモーターを使用するモデルが、急速にその市場を拡大している。
超高級車ブランドのベントレーにとっても、この電動化への取り組みは例外ではなく、まず第一弾として誕生したのが SUVの「ベンテイガ・ハイブリッド」、そしてそれに続くモデルとして、今回紹介する4ドアサルーンの「フライングスパー・ハイブリッド」が登場した。車名はいずれもシンプルにハイブリッドとされているが、実際にこの両車にはPHEV のシステムが搭載されている。
カットクリスタルを散りばめたヘッドランプなど、多くのハンドメイドのプロセスが残るベントレー。そのクラフトマンシップもまた、ベントレーがカスタマー、そして世界に誇るものでもある
スタート時にはエレクトリックモーターの駆動力を使用するモデルが増えてきたことも大きな理由なのだろう。最近ではスタートボタンを押しても何のサウンドも車内に伝わらないことにさえ、自分の体は慣れてしまった。フライングスパー・ハイブリッドもまた同様。バッテリーの残量が少しでもあれば、スタートからしばらくの距離、満充電からの最大距離では41キロメートルのゼロエミッション走行が可能になる。マリーナに向けて、まだ夜も明けきらぬ早朝に住宅街を出発しなければならないときなど、この PHEV独特のEV走行は、大きなメリットとなってくれることは間違いない。
今回の試乗車のインテリアは、明るい色調で幅広い年齢層に好まれそうなフィニッシュだった。実際にはレザーカラーだけでも15色が用意される
フライングスパー・ハイブリッドに搭載されるパワーユニットは、2.9リッター V型6気筒ガソリン・ツインターボエンジンと、エレクトリックモーターを組み合わせたもの。システム全体での最高出力は544馬力、最大トルクは750Nmというスペックで、これはV8モデルのそれとほぼ同等の性能である。燃費性能ではベントレー史上最も効率が高く、燃料を満タンにしてから800キロ以上を走行できるという足の長いモデルでもあるのだ。
デフォルトの「B」モードのほかに、「コンフォート」「スポーツ」「カスタム」のドライビングモードを選択することが可能
卓越した運動性能と高効率。ベントレーは、それと伝統的な定評ある豪華さを見事に妥協することなく融合してみせた。走行中の車内は実に静寂な世界で、これはベントレーに乗るといつも感じることだが、そのキャビンだけが世界から切り離された、特別な中にも特別な空間であるかのように感じられる。インテリアには豊富な仕様が設定されており、標準で5色、オプションで10色のレザーカラー、8タイプの化粧板が用意されるほか、さらにカスタマーのリクエストで独自の仕様を完成させることもできる。
リアシート周りのスペースにも十分な余裕がある。ここにパッセンジャーを迎えるときには、やはり「コンフォート」モードがベストだ
2.9リッターの V 型6気筒ツインターボエンジンにエレクトリックモーターを組み合わ せるPHEVの心臓部
エレクトリックモーターの採用で、ターボラグなど微塵も感じることがないフライングスパー・ハイブリッド。それは、ときにはいつもとは違うルートで目的地に向かってみたい。そんな意識さえ芽生えさせてくれる、走りの楽しさをも十分に感じさせてくれる一台だった。
リアから見るスタイルでは、リアフェンダーの造形が印象的。フットワークの力強さを巧みに演出している
（文＝山崎元裕 写真＝村西一海 協力＝リビエラシーボニアマリーナ）
ベントレー・フライングスパー・ハイブリッド
○全長：5,316mm
○全高：1,483mm
○車両重量：2,505kg
○エンジン：Eモーター + 2.9L V6ツインターボ
○最高出力：544ps
○最大トルク：750Nm
○加速：0〜100km/4.3秒
○最高速度：285km/h
（問い合わせ）
ベントレーコール TEL：0120-97-7797
https://www.bentleymotors.jp
※本記事は、海のライフスタイルマガジン『シー・ドリーム』vol.35に掲載された記事を再構成したものです。
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