大海原にカヤックで漕ぎ出して、自分で魚を見つけ、自分で釣る。安全面も、釣れるも釣れないも、すべてが自分の責任。それがカヤックフィッシングです。
「このカヤックフィッシング入門講座」は、カヤックフィッシングのビギナーに向けて、有益な情報やノウハウをお届けしていきます。
4回目となる今回は、「再乗艇とその練習-01」です。
(文=赤澤克哉/Kayak55.com 写真=舵社/宮崎克彦)
シットオントップカヤックはオープンデッキなので、落水すれば艇と人間が離されます。落水した場合は、まず「艇の確保」がもっとも重要です。そして艇を起こして乗り込んでいく一連の動作の間は、「絶えず艇をどちらかの手で掴んで一度も離さない」ということを意識しでください。
次に大切なことは、とにかく落ち着くこと。
艇の復原の動作では、体にパドルリーシュコードなどが絡んでいると、艇が起こせなくなってパニックに陥ります。もし絡んだりしていたら、最初に冷静にほどきます(無理ならば最終手段としてレスキューナイフで切断します)。
パドルリーシュをしていない場合は、パドルホルダーやバンジーコードにパドルを収め、両手がフリーの状態を作ったほうが圧倒的に乗りこみやすいです。このときにパドルを流出する可能性もあるので、スペアパドルを積載するのがベターです。
③ 艇を確保したまま体に絡まったパドルリーシュコードなどをほどきます。タックル類など、リーシュしていると沈した際に絡むので要注意です。
④ 裏返った艇の奥側のサイドハンドルに下から手を回して掴み、さらに手前側のサイドハンドルも持ちます。
⑤ 再度ハンドルを掴んだ手(写真では右手)を引き寄せなら、手前側の手(左手)でサイドハンドルを押し上げて艇を起こします。
⑥ 艇が起上がったら、そのままビート板のように艇に捕まって少し腕を伸ばして体を水平にします。
⑦ 腕で艇を引き寄せながら、足のキックも使って一気に乗り込みます。PFD前面に、いろいろなものを装着していると引っ掛かるので注意しましょう。
⑧ 低い体勢を維持しながら体をひねってシートにお尻を入れていきます。ここで起き上がり、重心を高くすると再度ひっくり返るので焦らないようにしましょう。
⑨ 再乗艇完了。パドルリーシュをたぐってパドルを回収します(パドルリーシュをしていない場合は、再乗艇前に艇にパドルを収めておきましょう)。
今回は、フィッシングカヤックのセルフレスキューの手順をご紹介しました。
次回はグループレスキューの手順をご紹介致します。
※本記事は『カヌーワールド』VOL.25の連載「カヤックフィッシング虎の穴」から抜粋したものです。併せてバックナンバーもぜひご覧ください。
※カヤックフィッシング入門講座/#01
「カヤック、PFD選びについて」
※カヤックフィッシング入門講座/#02
「パドル選びとアクセサリー類について」
【筆者プロフィール】
赤澤克哉(ホエール)
千葉県市川市のカヤックフィッシングショップ「kayak55.com」スタッフ。カヤックから釣れる魚種ならなんでもねらう、アラフィフアングラー。JSPA(日本セーフティパドリング協会)シットオンアドバンストインストラクター。Bifarrテクニカルアドバイザー。Palmフィールドテスター。Bluestormフィールドテスター。
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