■世界初から60周年のチャレンジ
1962年に世界で初めてヨット〈マーメイド号〉による単独太平洋横断航海をなしとげ、映画化された航海記『太平洋ひとりぼっち』で世に知られた堀江謙一さんが、その航海から60年にあたる来年、当時の航海と同じ19ft艇での太平洋横断航海に挑戦する。成功すれば83歳での快挙となる。
11月24日、東京都港区のサントリーホールでの記者会見に臨んだ堀江さんは、「来年、太平洋ひとりぼっち60周年という節目に、到着したサンフランシスコから〈マーメイドIII〉で単独無寄港太平洋横断にチャレンジします。全力を尽くしてがんばりますので、応援よろしくお願いします」と宣言した。
ルートは1962年の航海とは逆のサンフランシスコ出発、新西宮ヨットハーバー(兵庫県)ゴールで、スタートは2022年3月の予定だ。
■使用艇はエンジンなし19ft
気になる使用艇〈マーメイドIII〉は、エンジンなしの19ftセーリングクルーザー。長さは5.83mで、1962年の〈マーメイド号〉と同じ。ヘッドセールを展開するためのバウスプリット部分を合わせた全長は6.05mになる。航海計器の電源を確保するため、大型のソーラーパネルを搭載する。
■挑戦艇スペック
船体長:5.83m
全長:6.05m
全幅:2.15m
喫水:1.50m
重量:990kg
キール重量:300kg
バルブキールとストラットを合わせた重量は300kgで、総重量の約30%を占める。大きめのハードドジャーも特徴的だ。堀江さんのこだわりで、キャビン内の就寝バースから寝たままの状態でセールが確認できる小窓が設置された。
追い風が多くなることを想定した船型は、スターンがあまり絞られていない砲弾型に近く、リーチングでヒールした状態での直進安定性を増すためのチャイン(船底の角)が長く設けられている。
船体設計は、堀江さんとのタッグは4回目となる横山一郎さん。1962年の〈マーメイド号〉の設計は、父親の横山 晃さんである。
全航程、帆走で挑む堀江さんの挑戦。所要期間は2カ月半から3カ月を想定している。オートパイロットも積むが、基本的にはウインドベーンでの針路保持を計画している。
今後も月刊『Kazi』ならびに『舵オンライン』では、ほかのメディアでは絶対取り上げない、セーラー目線の情報をお届けしていく予定です。
(文・写真=Kazi編集部/中島 淳)
また、1962年の最初の太平洋横断の様子を綴った航海記『太平洋ひとりぼっち』、主演の石原裕次郎など豪華キャスト、市川 昆監督で映画化されたDVDも、好評発売中です。
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