最終日を迎えた第88回 全日本学生ヨット選手権大会(団体戦。以下、インカレ)。もともとこれまでの3日間より予告信号が30分前倒しの予定となっていたが、できる限りレースを実施するため、さらに30分早められ、8:30から470級D旗、8:40にスナイプ級D旗掲揚となり、このインカレ最後の出艇となった。
レースエリアの端では南風5〜6ktが吹くも、本部船まではその風が到達せずに消えてしまい、コースは設定できない。3時間の風待ち後に北風が入り始め、12:30にAP旗がついに降下。31分にクラス旗、32分にU旗を掲揚するも、風が振れて延期に。13時のリミットが近づく中、350°設定に変更し、ゼネリコ1回の後に最後のレース(第4レース)が始まった。
470級は、1マークを10番前後で回航した同志社大学の大石駿水/後藤すずが、意地の追い上げでトップフィニッシュ。続いたのは関西学院大学の林 玄/伊藤はるか。林/伊藤は第1レースこそ32位と中盤に沈んだが、以降5-7-2とまとめ、このレガッタで関学の470級を牽引してきた。
昨日までクラス首位だった関学を、30点差で早稲田大学が追いかける。1マークこそまだ関学が優勢だったが、ダウンウインドレグで早稲田が逆転。早稲田の3艇ともが、関学の2番艇より前を走る展開を見せ、早稲田が13点差でクラス優勝に輝いた。
スナイプ級では、8月の全日本スナイプ級選手権を制した同志社大学の内貴航路朗/秋田一樹が、4レースでわずか13点と他を圧倒。しかし個の力で早稲田勢を抑えることはできない。順位を着実に上げながら走る早稲田のスナイプチームは、最終レースも3艇で48点と叩くことなく、初日からのクラス首位を維持し続けた。
470級、スナイプ級ともに、優勝は早稲田大学の手に。これで、インカレ史上2校目(1校目は同志社大学で1985~1988年)の総合4連覇を成し遂げた。昨年の琵琶湖インカレで3度目の3連覇を達成した早稲田大学にとって、4連覇は喉から手が出るほど欲しかったに違いないタイトルだ。しかし部内では、なるべく「4連覇」という言葉は使わないようにしてきたという。
早稲田の関口功志監督は、「『4連覇』という話は、私のほうからは全くしませんでした。学生たちは使いたがるんですけどね。インカレではもう少しいい風を想定していて、両クラスともボートスピードを高める練習に特に取り組んできました」と話す。最終日を終え、「470級はできすぎでしたね」とホッとしたように笑顔を見せた。
「4年生は負けを知らない。でもそれが気の緩みにつながらないようにチームを作ってきました」と話すのは、早稲田のスナイプ級チームリーダーの白石誉輝。スナイプ級も2020年のインカレから4連覇達成となり、レースメンバーは口々に「史上最高のチームです」と言う。
「チームがバラバラになった時もあったんですけど、4年生からしっかりチームを作っていこうと動きました。活発な1年生が多く入部して上級生も刺激を受けて、雰囲気も明るく、良くなりましたね」とは、早稲田の藤倉 廉主将の言葉。「(私自身は)初めてのインカレで、選手として出たからこそ、サポートメンバーの有り難さを実感しました」と感謝の思いを噛み締めた。
来年と再来年のインカレは、神奈川県・江の島にて開催される。相模湾は、早稲田にとってはまさに“ホーム”だ。5連覇、6連覇も夢ではないだろう。
12月5日(火)発売の『Kazi1月号』では、インカレ特集を予定している。
全日本学生ヨット選手権大会レース 2023.11.1〜5 福岡県・福岡市(小戸)ヨットハーバー
◼️470級(参加24校/72艇)
1位 早稲田大学(174点)
2位 関西学院大学(187点)
3位 同志社大学(245点)
4位 慶應義塾大学(261点)
5位 京都大学(299点)
6位 立命館大学(310点)
◼️スナイプ級(参加24校/72艇)
1位 早稲田大学(183点)
2位 同志社大学(217点)
3位 日本大学(259点)
4位 関西学院大学(290点)
5位 慶應義塾大学(310点)
6位 関西大学(313点)
◼️総合(参加18校)
1位 早稲田大学(357点)
2位 同志社大学(462点)
3位 関西学院大学(477点)
4位 慶應義塾大学(571点)
5位 日本大学(573点)
6位 京都大学(700点)
(文・写真=森口史奈/Kazi編集部)
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