今年で89回目の開催となった、全日本学生ヨット選手権大会(以下、全日本インカレ)。神奈川県の江の島ヨットハーバーを舞台に、全国の水域予選を勝ち抜いた強豪校が熱戦を繰り広げた。
11月4日、最終日となる大会4日目の最大の焦点は、優勝争いの行方。総合4連覇中の早稲田大学が、全日本インカレ史上初めての総合5連覇を達成なるか。
また、470級とスナイプ級のクラス優勝争いと、各入賞争いも佳境に。
規定により12:00以降のスタートが行われない最終日。安定した風が入るまで待機となり、両クラスともレースは1本のみの実施となった。
この日は前日までのレース実施数が少ないスナイプ級が先にスタート。6~8ktほどの軽風で、コース選択が難しい展開となったが、このレースで早稲田大学は第1マークを3艇全てが10位以内で通過と圧倒。この時点でスナイプ級と総合優勝をほぼ確実にし、王者の強さを見せつけた。
本大会を主催した関東学生ヨット連盟は、レースの運営を神奈川県ヨット連盟に委託。東京五輪2020のセーリング競技の運営を担当したプロフェッショナル集団の采配のもと、470級は8レース、スナイプ級6レースを実施。特に大会前半は風に翻弄されることが多く、難しいコンディションとなったが、大会を通じて全体的にフェアなレースが実施された
最終レースでも好ポジションからスタートを決めた早稲田大学スナイプチーム。同レースでクラス、総合優勝への勢いを加速させた
スナイプ級個人成績1位の服部陸太/畠山 翔(早稲田大学)。全6レースを5-1-1-10-8-2の27点、1レース平均4.5位と圧倒。クラス5連覇を達成した早稲田スナイプのリーダーとして、大一番でチームを力強くけん引した
同レースでは日本大学が4-7-8の19点と爆発。6位までのクラス入賞には届かなかったが、総合で同校を3位に押し上げる大きな力に
470級では首位を走る早稲田大学を、46点差で追う日本大学が猛追。
第1マークを2艇がシングル(9位以内)で通過した日本大学に対して、早稲田大学は2艇が40番台での回航とシリーズで最も苦しい展開に。
逆転の可能性も十分に感じさせたが、そこから挽回してくるのが早稲田の底力。日本大学の2-7-28(37点)に対して、5-27-34(66点)でまとめて追撃を振り切った。
470級の最終レースは、今大会で早稲田大学が最も苦戦した展開となるも、安永昴生/植屋日志は第1マークから上位を走りチームの勢いを保った
同レースは、フィニッシュまで早稲田大学と日本大学の接近戦が繰り広げられた。序盤で出遅れた飯田 澪/高田 澪(早稲田大学、写真手前)も最後には27位にまで順位を上げて、前日までのリードを死守
最終レースも2位、チームを引っ張り続けた池田海人/福田拓斗組(日本大学)。8レースで45点(1レース平均約5.6位)、470級の個人成績1位はお見事
これで早稲田大学は470級(325点/8レース)、スナイプ級(216点/6レース)で両クラスを制する完全優勝を達成。
そして総合で2位の同志社大学に90点差を付けて、総合5連覇の大会新記録を打ち立てた。
1年間チームをけん引した大野誠真主将は「(総合優勝と5連覇について)5連覇という記録は意識しないようにしていましたが、この結果については本当にうれしいですし、同時に安堵しています。お世話になった多くの方々に恩返しができたという気持ちです」と、重責を果たして胸をなでおろし、喜びを噛みしめた。
470・スナイプ級の両クラス優勝「完全優勝」は早稲田大学として4度目で、インカレ史上最多を更新。また、昨年に引き続き2年連続の完全優勝となり、こちらは1983~1984年の日本大学以来、2度目の快挙だ
1985~1988年の同志社大学が達成した総合4連覇の記録に、昨年の福岡大会で並んだ早稲田大学。大会史上初の総合5連覇を、地元水域である江の島の海で見事に成し遂げた
舵オンラインでは大会4日目の様子と、3日目の陸上写真を公開します!
(文=川野純平/Kazi編集部 写真=落合明人/舵社、川野純平/Kazi編集部)
※2日目、3日目の写真は下記からご覧いただけます
早稲田が逆転首位浮上!史上初の5連覇に前進|江の島全日本インカレ2024 DAY2
偉業達成に王手! 同志社・日大の猛攻を早稲田が跳ね返す|江の島全日本インカレ2024 DAY3
各クラス上位成績
●470級(参加24校/8レース)
1位 早稲田大学 325pt
2位 日本大学 342pt
3位 同志社大学 368pt
4位 慶應義塾大学 572pt
5位 日本経済大学 691pt
6位 関西学院大学 741pt
●スナイプ級(参加24校/6レース)
1位 早稲田大学 216pt
2位 同志社大学 263pt
3位 慶應義塾大学 332pt
4位 関西学院大学 371pt
5位 京都大学 441pt
6位 中央大学 449pt
●総合(参加17校)
1位 早稲田大学 541pt
2位 同志社大学 631pt
3位 日本大学 820pt
4位 慶應義塾大学 904pt
5位 関西学院大学 1112pt
6位 中央大学 1219pt
※全体リザルトは関東学生ヨット連盟公式サイトからご確認いただけます
今年も多くのドラマが生まれた全日本インカレ。本大会の詳細と、舞台の裏側を紹介するレポートは12月5日(木)発売の月刊『Kazi』2025年1月号に掲載予定。ぜひそちらもご覧ください!