シーマンシップの大会「 アトランティックチャレンジ」に挑む、カイ&エリこと、山本 海さんと絵理さん。無人島で暮らしながらの練習、大会へ向けた準備を終え、米メーン州のベルファストへ上陸。ついに、 アトランティックチャレンジが開幕する!(編集部)
◆メインカット
photo by Kai Yamamoto | ついに開幕したアトランティックチャレンジ。米メーン州のベルファストに世界中から集まった9チーム。ずらりと並ぶバントリーベイギグ。圧巻の光景だ
華やかなパレード風景。ハイスクールから港までバントリーベイギグに楽団を乗せて街を練り歩き、港についてから船で海上パレードを行った
各チームのフラッグが舞う!
バントリーベイギグの模型を持ち込んだ、僕ら国際チーム
大会のある米メーン州、ベルファストに運び込まれた僕らの〈ロイヤリティー〉。各チームは船を40フィートコンテナに収納して開催国へ送る。現地で借りることもできる
フェリー港に到着すると映画で見たような黄色のスクールバスが僕らを迎えにきてくれた。このバスで2時間ほど北に行ったところが今回の大会が開かれるベルファストの街だ
ライバルたちの体格
2週間を過ごした米メーン州のグリーンズアイランドを後にし、僕とエリ(山本絵理)はフェリーに乗り込んだ。船内に響くエンジン音も、キンキンに効いているエアコンもなんだか懐かしい。
島での生活同様に、フェリーのデッキではインストラクターや楽器のできるメンバーがバイオリンでダンスミュージックを奏でてくれる。僕の心はすでに街の人になっているようで、その楽しさとは裏腹にほかの乗客から珍しい目で見られていることに、少しの恥ずかしさを感じていた。
同じくメーン州のベルファストの街に到着し、これから10日間過ごすことになる街のハイスクールに荷物を下ろした。オフィスビルのような佇まいのアメリカのハイスクール。広い運動場と室内には観客席のあるバスケットコート。海外ドラマでよくあるやつだ。
すでに到着しているほかのチームは、海で練習に出ていて夕方に帰ってくるそうだ。どんな人たちと出会えるのだろう。明日から始まる大会に期待が膨らんだのも束の間、夕食の時間にほかのチームが帰ってくると食堂にいた僕らのチームは開いた口が塞がらないほどに驚いた。
OPENING DECLARATION
開会宣言の場では、参加者全員が1本のロープを持ち大きな輪になり、チームとしての影響を感じるアクティビティーを行った。
グリーンズアイランドでも行ったアクティビティー。1人が手を離すと全員が崩れる・・・
僕らの倍はある体格に筋骨隆々の体、女性のクルーもまさにスポーツマンといった風格で、2週間のトレーニングでちょっとついた自信がみるみる萎んでいく。
僕は食堂に集まるほかのチームにも目を向けてみた。カナダチームはおじさんばかりだし、アイルランドチームは緑のユニフォームで体格が一番でかい。ベルギーのチームは紺のユニフォームに全員サングラス、携帯型のスピーカーからは、ギャングが好きそうな重低音の音楽を鳴らしながら近づいてくる。カナダのケベックチームやフランスチームはフランス語でなんだかいつもガヤガヤ話してる。それぞれチームの伝統というかカラーが出ていて面白い。
彼らは練習を重ねたスポーツチームの雰囲気があるが、僕らインターナショナルチームとUSAチームは毎年チームメンバーが変わる急造のチームなのでなんだか若くてちょっと頼りない。各チーム、メンバー全体の50%に15歳から25歳までの若者が入らなくてはならないルールがあり、特に発祥の地であるUSAチームは若者の参加を大切にしている。
今回の大会はコロナの影響で6年ぶりの開催、例年よりも少ない10カ国の参加、ギグは合同のチーム6艇となった。
〈ヒューマニティー〉のフラッグを持って疾走するUSAチーム
開会宣言が行われたハイスクールの運動場。手前の緑のテントが僕らの家(笑)
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和船帽子の陽気なダグラスさんとの出会い/カイ&エリが挑戦・シーマンシップ大会1-1
(文・写真=山本 海/スピリット・オブ・セイラーズ 写真=ディラン・ラッズ、山本 海、山本絵理/スピリット・オブ・セイラーズ)
※本記事は月刊『Kazi』2025年6月号に掲載されたものを再編纂しています。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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山本 海
Kai Yamamoto
セイルトレーニング帆船〈海星〉勤務後、国内外の数々の帆船で活躍。2015年スピリット・オブ・セイラーズを設立。ISPA公認スクールを開講(沖縄、三重など)。「DIY無人島航海計画」を主催。マリンジャーナリストとしても、活躍中。現在、マリーナ河芸やシーガルヨットクラブを拠点に活動中。 https://spiritofsailors.com