Kaziヨットアワード 2024大賞はフィガロ・ベネトウ3! 水中翼装備のプロダクション艇、という時代へ/Kazi YACHT AWARD 2024

2025.03.17

Kazi YACHT AWARDの季節がやってきた。国内唯一のセールボートとパワーボートの専門誌、月刊『Kazi』誌2024年3月号(2024年2/5発売)から、2025年2月号(2025年1/4発売)に紹介したセールボートを対象とし、アワードを決定するものだ。

今回は、なんと外洋フォイル(水中翼)艇! フィガロ・ベネトウ3が大賞に輝いた! 

フィガロ・ベネトウ3は、両サイドに装備した水中翼によって、艇体を浮かせて走るフォイリング艇。2019 年からシングルハンド外洋ヨットレース「フィガロ・ソロ」の制式艇として君臨し、外洋レーサーの頂点を極めるヨットのひとつとして、世界的に注目されたヨットである。

白石康次郎さんが3回出場した単独無寄港無補給世界一周レース「ヴァンデ・グローブ」の採用艇IMOCA 60もフォイリング艇。

夢物語のようなフォイリング艇が、一般のユーザーに手が届くプロダクション艇として販売されているという事実に驚愕を禁じ得ない!

 

◆メインカット

photo by Kazuhisa Matsumoto | 史上初めてのモノハ ルワンデザイン量産艇、フィガロ・ベネトウ3。水中翼で艇体を浮かせ、スキミングモードで翼走する

 


Kazi YACHT AWARD 2024 大賞

Figaro BENETEAU 3
フィガロ・ベネトウ3

[問い合わせ]
ファーストマリーン
TEL: 046-879-2111

 

【SPEC】
■全長:10.89m ■ハル長:9.75m ■水線長:9.46m ■全幅:3.48m ■喫水:2.50m ■軽荷排水量:3,175kg ■バラスト重量:1,111kg ■セール面積:メイン40.9m2、J2 31.9m2、J3 25.7m2、ジェネカー 59.2m2A2 121m2、A4 80.6m2 ■燃料タンク:40L ■エンジン:ナンニN3(21馬力) ■価格:問い合わせ

 

 

 
Kazi YACHT AWARD 2024 Result

 


Boat Review 
西村一広さん(選考委員)

満を持しての日本登場!

海外メディアでは、すでに5、6年前にアワードを取りまくっていたモデル。ようやく日本の海に来るや否やの栄えある受賞。皆が日本登場を待ち構えていた感もある。ベネトウとVPLPが総力を挙げて開発し建造しているモデルだけあって、まるで上質なワンオフ・レーシングヨットのように、細部にまでこだわって丁寧に造り込まれている。しかも、リグを含めた艇全体の仕上がりが、とても硬く、頑丈なのである。船の硬さはオーシャンレーサーにとってのキモ。そして頑丈なヨットは、荒海を走らざるを得ない日本の外洋ヨット乗りたちが古くから最も好むヨットだった。次代を担う若い日本人セーラーにも、ぜひ乗って欲しいモデルである。

 

Dealer’s Comment
関口徹夫さん(ファーストマリーン)

このたびは大賞受賞、誠にありがとうございました。日本初のフォイル艇です。ノンフォイル艇はブローが入るとヒールしますが、フィガロ・ベネトウ3は、ブローが入りスピードが増すと、風下のフォイルの揚力が増しヒールが抑えられ、さらにスピードがアップ。本国ではこのフォイルを「アクアティック・スタビライザー」とも呼ぶようです。この感覚を、ぜひとも多くのセーラーに味わっていただきたいと思っております。

 

 


対象記事と選考方法

 2024年3月号から2025年2月号までに月間『Kazi』で紹介した、艇紹介および、艇の性能を取材し分析した記事を加えた38艇が対象。上記4人の識者に加え、植村浩志(舵社社長)と、安藤 健(同営業部)にKazi編集部員・写真部を加えた11人で選考。それぞれ1~10位を決め、1位30点、2位29点・・・10位11点を加点、識者の4人以外は1位20点からスタートした。

 

Kazi Yacht Award 2024選考委員

 

 


Kazi YACHT AWARD 2024 選考委員会総評

セーリングシーンをけん引するジャンル

 (文=Kazi編集部/中村剛司)

 

今回は2024年5月号のクラシカル艇特集、10月号デイセーラー特集があったため、古き良き船型の艇が多くノミネート。また、毎回7艇ほどあるマルチハルが今回は2艇のみ。スポーツボートはフィガロ・ベネトウ3の1艇のみ。同時にC / R(クルーザー/レーサー)艇も4艇と少なかった。 そんななか16艇がノミネートされたクルージング部門を制したのは、なんとマルチハルのエクセス14。たった2艇のマルチハルながらその存在感を見せつけた。10艇がノミネートされたデイセーラー部門の1位は、サフィアSC8mキャビン。2021年、2022年と連覇したシリーズの地力はさすが。また、デイセーラー&ディンギー部門には自作艇も含まれ、その5位にヘレショフ16’8’’ヨール〈コキーナ〉が入ったことは面白かった。なんとこの艇はまだ完成していない(笑)。進水が待ち遠しい。 現実と乖離しすぎたアメリカズカップやヴァンデ・グローブの知見は、プロダクションボートには降りてこない。そんな批判をはね除けるように登場した、フォイル艇、フィガロ・ベネトウ3と、それを選んだ今回の選者たち。セーリングシーンをけん引するのも、やはりこのジャンルということであろう。

 

(文=Kazi編集部 写真=松本和久)

※関連記事は月刊『Kazi』2024年2月号に掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ

 

月刊『Kazi』2025年2月号、ぜひご一読ください。

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