和歌山県の名前の由来となったといわれる風光明媚な和歌の浦は、多くの芸術や文化を育み、日本遺産にも認定されている。その和歌の浦に浮かぶ人工島に、今回訪れた和歌山マリーナはある。恵まれた立地で、多方面へのアクセスもよく、釣れる魚の種類も豊富、周辺施設も充実しており、海遊びを満喫するのにもってこいの和歌山マリーナに、潜入取材してきました!
※掲載情報は、取材当時(2024年5月)のものです。
和歌山県和歌山市
和歌山マリーナ
(トップ写真説明)
美しい景勝地として知られる和歌の浦だけあって、海の美しさもさることながら、雄大な陸の自然にも圧倒される。そんな好立地に恵まれた和歌山マリーナの魅力に迫った(写真提供:和歌山マリーナ)
日本遺産にあるマリーナ
紀伊半島の南西部にある和歌山県は、黒潮の影響を受けるため、年間を通して温暖な気候が特徴だ。和歌山という地名は、『万葉集』で詠まれるほど風光明媚な海辺の和歌の浦からきており、その和歌の浦は、豊臣秀吉や徳川頼宣らを魅了した美しい絶景で知られ、2017年4月に「絶景の宝庫 和歌の浦」として、日本遺産に認定された。
和歌の浦の南に浮かぶ人工島、和歌山マリーナシティには、ヨーロッパの街並みやアトラクションが楽しめる「ポルトヨーロッパ」、マグロの解体ショーを毎日開催する「黒潮市場」などがあり、休日ともなれば多くの人でにぎわっている。
今回訪問したのは、その人工島の西側にある和歌山マリーナ。1998年7月にオープンし、2022年10月から岡山マリンボートセンターが管理運営を任されている。「30フィート台が一番多くて、一番小さいサイズだと20フィートですね。ほとんどのオーナーさんが釣りをメインに楽しまれていますよ」(ハーバーマスターの平田裕司さん、以下同)
ちなみに、人工島内にはほかに和歌山マリーナシティヨット倶楽部があるが、これは民間のマリーナで、和歌山マリーナとは別の施設だ(和歌山マリーナは和歌山県が整備した公共マリーナ)。
和歌の浦に浮かぶ人工島、和歌山マリーナシティ内にある和歌山マリーナ。クラブハウス内には、オーナーズサロン、シャワー室、ロッカールーム、会議室などがある
上下架用のクレーンは、15トンと4.8トンの2基。クレーンが2基あると、朝夕の上下架待ちの時間が短縮されるというメリットがある
マリーナ内にはヤードがあり、サービススタッフも常駐する。定期メンテや、思わぬトラブルにもすぐに対応してくれる
マリーナの魅力
北に走れば全国的にも魚影が濃いことで知られる友ヶ島水道があり、南は串本、西に行けば徳島県と、さまざまな海域を楽しむことができる立地が魅力。もちろん、淡路島も至近なので、クルージング先にも事欠かない。
「でも、やっぱり人気なのは釣りですよね。マダイやタチウオ、青ものなど、さまざまな魚がねらえます。ルアー釣りも、エサ釣りも満遍なくされている印象です。串本では、ビッグゲームも有名ですよね」
ビジターの受け入れもしている(利用料は2,200円~)が、受け入れ可能かどうかはそのときの状況次第とのことなので、寄港される際は事前に確認が必要だ。とはいえ、隣接する和歌山マリーナシティヨット倶楽部が「わかやまマリーナシティ海の駅」として登録されているので、そちらを検討することもできる。
独自のレンタルボートシステムを有しており、まだ稼働し始めたばかりということもあって予約も取りやすく、人気があるそうだ。ヤマハのYFR-27HMEXやファスト23など人気艇種が借りられ、航行範囲も広く、利用者からは好評だという。
また、和歌山マリーナシティから見える夕日は、「日本の夕陽百選」にも選ばれた絶景で、それを目当てに当地を訪れる人も少なくないそうだ。
指定管理者が変わってまだ2年ほどしかたっておらず、これまではさまざまな地盤固めに多くの時間と労力をかけてきたそう。今後は、釣りダービーの開催やイベントの拡充などに注力していきたいとのことなので、今後の和歌山マリーナの発展が楽しみだ。
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充実した周辺施設、魅力的なゲレンデ、好立地と、ボートオーナーを満足させる要素にあふれた和歌山マリーナ。まだボートは収容可能とのことなので、関西圏で良質なフネの置き場を探している人は、検討してみてはいかがだろうか?
独自のレンタルボートシステムは、若年層に人気。左からYFR-27HMEX、YFR-24EX、ファスト23、ベイフィッシャー23(すべてヤマハ)
海上係留エリアは、大型の堤防に囲まれて水面は平穏。バースの間も広々としていて、操船に自信のない人でも、余裕を持って出入港できそうだ
クラブハウスからポルトヨーロッパを見た様子。至近距離に遊び場や食事所、温泉施設などがあり、アフターフィッシングの時間も充実できる
(文・写真=幸野庸平/ボート倶楽部編集部)
月刊『BoatCLUB』で連載中の「突撃! マリーナレポート」は、全国のマリーナを巡り、その特徴や素晴らしさを読者諸氏にお伝えする連載。舵オンラインでも、その一部をご紹介しています。