堀江謙一さん、MJCマリン大賞受賞! 全受賞者紹介

2023.04.07

今年も、MJC(マリンジャーナリスト会議)が選定する、その年最もマリンシーンの普及に貢献した個人および団体に送られる「MJCマリン賞」の授賞式が、ジャパン インターナショナル ボートショー2023のメインステージで開催されました。

2023年の大賞は堀江謙一さん。史上最高齢で単独無寄港太平洋横断達成はもちろん、ギネスブック、ブルーウオーターメダル受賞など輝かしい功績を称え、大賞となりました。

大島商船高等専門学校 PWC レスキュー隊、29er級世界選手権銀メダルの市橋愛生さん/後藤凛子さん、世界大会プローンディスタンス女子部優勝の堀部結里花さん、そして特別賞は故 石原慎太郎さんとなりました。

それぞれの受賞内容を紹介します。 

 

●MJCマリン賞2023大賞 
堀江謙一さん

〈史上最高齢で単独無寄港太平洋横断達成〉

単独無寄港太平洋横断チャレンジの記者会見の様子

 

 

MJC会長の田久保雅己(左。舵社)からトロフィーを受け取る堀江さん

 

 

堀江謙一さんは、83歳となった2022年、ヨットで単独無寄港の太平洋横断を敢行。3月26日にアメリカ・サンフランシスコを出航。6月4日未明、約8,500 キロ、69日間の航海を経て、紀伊水道に設定したゴールに到着し、世界最高齢での記録を達成した。堀江さんはこれまでにも単独無寄港世界一周、 足こぎボートによるハワイ・沖縄間航海などに挑戦してきた海洋冒険家。今回の最高齢での記録達成をしても「生涯チャレンジャーでいたい」と、既に次の航海を見据え、「今が青春の真っただ中。大器晩成を目指して頑張ります」と語っている。 

 

 

●MJCマリン賞 
大島商船高等専門学校 PWC レスキュー隊

〈水上オートバイを活用した水辺の安全教育&学生による活動〉

大島商船高等専門学校のPWC レスキュー隊のみなさん

写真提供=幸田三広

 

 

同校の幸田三広教授(左)と、PWC レスキュー隊代表(現役生)。

山口県の大島商船高等専門学校のPWCレスキュー隊は、2011年に結成。2014年に同校の正式な「部活」として認められた、全国で唯一の学生によるレスキュー隊。レスキュースキルの向上はもちろんのこと、PWC 操船時の遵守事項や利用水域の航行ルール、安全知識を習得し、ながら地域イベントでのパトロールやレスキュー支援、デモなどを行っている。発起人は同校の幸田三広教授。2005年にプロジェクトチームを発足させ、練習船「大島丸」を活用した防災教育プロジェクトをスタート。自身でPWC レスキューライセンスを取得後、ハワイに滞在し、PWCレスキュー及びハワイアンライフガードの活動を研究した。2010年、商船学科学生9人が集まり、3人の教員とともに活動を開始、継続してきた。 

 

 

●MJCマリン賞 

●市橋愛生さん/後藤凛子さん

〈ハイパフォーマンスディンギー「29er」世界選手権で女子2 位の快挙〉

スペイン・バルセロナで開催された29er 級世界選手権での後藤さん(左)と市橋さん

photo by Laura Carrau | CN El Balis

 

 

「大谷翔平選手のように活躍し、セーリングを多くの人に知ってほしい」と後藤さん(右)。

2022年8月にスペイン・バルセロナで開催された29er 級世界選手権で、日本から唯一出場した市橋愛生(早稲田佐賀高校3年)/後藤凛子(横浜市立南高校3年)のペアが日本チームとして初のメダル獲得となる女子2位という成績を残した。男子、女子、ミックスを合わせた総合順位では14位という成績。2人は7月中旬、オランダでのユース世界選手権にも出場。同種目で23艇中3位の成績を収め、銅メダルを獲得した。帰国せずそのままスペインへ移動して、今回のクラス別ワールドに出場。女子1位(総合6 位)のチームは20歳と22歳のペアだったことから、2005年生まれの市橋/後藤ペアは、ユース世代の世界トップとなる。 

 

 

●MJCマリン賞 
●堀部結里花さん

〈2022 年の世界大会プローンディスタンス女子の部で優勝〉

プエルトリコで開催された世界大会プローンディスタンスでの表彰式の様子

photo by Pablo Franco 

 

 

愛娘とともに登壇し、会場を湧かせた堀部さん。

堀部結里花(旧姓・三井)さんは、2022年10月にプエルトリコで開催された「ISA World SUP & Paddleboard Championship2022」の「Prone Distance Race Women」(ボードにうつ伏せでパドリングする長距離レース)の部で、日本人として初めて優勝を果たした。日本大学でライフセービングに出会い、人々が安全に海を楽しめるようにと、卒業後もライフセーバーとして活動。高校で保健体育を教えながら、「ライフセーバーが必要とされない海」の実現、一人一人が自分の身を自分で守ることができる環境づくりを目指し、競技にも2019年には、全日本ライフセービング選手権で9連覇という輝かしい結果を残した。2020年はコロナで大会が中止になり、その後妊娠・出産を経験。ブランクの時期を経た中で、産後まもなく競技の練習を再開後の成績だった。 

 

 

●MJC特別賞
●MJC特別賞 石原慎太郎さん

〈作家として海とヨットを愛し、日本での本格的なオフショアレース開催に尽力〉 

愛艇〈コンテッサ〉でレースに参戦する、ありし日の石原慎太郎さん

 

 

慎太郎さんの長男・石原伸晃さんが代理で受賞した。

2022 年2 月1日、89歳で逝去した石原慎太郎さんに、生前の功績に敬意を表し特別賞を授与することとなった。東京都知事、運輸相、旧日本維新の会共同代表などを務めた元衆院議員であり、作家であった石原慎太郎さんは、一橋大在学中の1956年、若者の無軌道な生き方を描いた『太陽の季節』で芥川賞を受賞。その後、保守の立場からの評論活動を展開するとともに、国会議員、都知事としても活躍したが、海とヨットの愛好家として、また、作家として日本のセーラーたちに敬愛された。NORC(日本外洋帆走協会/現・日本セーリング連盟)会長等を歴任し、日本での本格的なオフショアレースの開催にも尽力。海を題材とした作品や言動を通して、海やヨットとの関わり方、その生死観に至るまで、多くの愛好家、海洋ファンに影響を与えた。 

 

 

MJCマリン賞2023を受賞したみなさん。マリン界を盛り上げてくださり、本当にありがとうございました!

 

MJCマリン賞2023の授賞式動画はコチラ

 

(文=Kazi編集部/中村剛司 写真=舵社)

月刊『Kazi』5月号に関連記事掲載予定。バックナンバーおよび電子版をぜひ 

 

 

MJC(マリンジャーナリスト会議)とは?

マリンスポーツ専門誌の編集長など、マリンスポーツ&レジャーの現場で活動するマリンジャーナリストと、マリンに関心を持つジャーナリズム関係者・有志の集りです。

 


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