今回は、孤高の釣り人Mr.ツリックが、神奈川県葉山町の葉山釣具センターを訪問。前回に引き続き、またもやウキ釣りで勝負を挑む。いつアタリがくるのかドキドキするのが魅力的なウキ釣りだが、そうはいっても釣れないのはやはり寂しいものです。(舵オンライン編集部)
またまたウキ釣り
みなさま、こんにちはMr.ツリックです。
さて、今回ものんびりとウキ釣りをしたいと思います。前回は発泡ウキと生きエサとの組み合わせで泳がせ釣りでしたナ。その前は、大型発泡ウキでのコマセカゴ(片テンビン)釣り。そして今回はウキフカセ釣り。今までのウキ釣りよりチョイト繊細ですかネ。
そして、ターゲットはメジナをメインに考えているので、使用するウキは小型円すいウキが一般的。しかし、視点が低いボートからのウキ釣りではウキトップの高いクロダイウキが見やすいのであります。
場所は湘南の葉山。この周辺にもかつてはもっと多くの貸しボート屋があったのですがねぇ。それでも、あいかわらず海沿いの景色には独特の趣がある。
葉山の森戸海岸沖に浮かぶ菜島の先端にあるテゴ島の先が今回の釣り場。ここには磯の先端から少し離れただけで水深が20メートルになる急なカケアガリが存在する。レンタルボートエリアの一番沖のエンドラインぎりぎりで、ウキ釣りをするには穏やかな南風の吹く日に釣行したい。北風が吹くとアンカリングしても沖に流されてしまうし、肝心の付けエサが磯際のポイントへ流れてくれない。うねりがあれば磯際は危険すぎるし。とにかく、ナギの日限定の釣りなのですヨ。
ねらいはメジナですが、ぜいたくをいえばオナガ(クロメジナ)を釣りたい。初夏にはこの釣り場でもよく釣れるから問題ないハズ。それに、夏はメジナよりオナガのほうがおいしいしファイトもいい。ゲストにはアジ、クロダイにイナダ(ブリの若魚)やシイラなどの青もの。
店を建て替えてから三十数年たちますかネ。昔は年に数回は来店していたけど、最近はさっぱり。以前は予約なしでも問題なかったが、今や予約は必須。オイラは思い立った日に行きたい派
乗船場所は店から少し離れた砂浜。荷物が多いときはキャリアがあると便利だけれど、結局砂浜で苦労する。波打ち際は穏やかなので冬でも長靴があれば大丈夫
レンタルした船外機艇は、湘南高圧タンク工業のパーフェクター13。3、4年前まではグラグラながらも、バウのオリジナルチェアは存在していたが今はナシ
How to ウキメジナ
手順としては、目標のテゴ島付近に着いたら、沖の風上へ向かってボートを移動させてアンカーを下ろす。このボートに積んであるアンカーロープはこのポイントではギリギリの長さしかない。あまり沖へ行かせないようにロープの長さを設定してあるのだろう。でも大丈夫、降下直後にアンカーが届かなくても磯に向かって流れるうちにアンカーが着底しボートは止まる。
そこからウキを流す。磯の先端沖をかすめるように流れてくれれば完璧である。もちろん、このシチュエーションは南寄りの風が吹いていることが大前提ですゾ。
使用するロッドは4.5メートル、2号の磯ザオ。2500番のスピニングリールにはPE1号が巻いてあり、先イトとしてナイロン2号が10メートル。もちろん、ナイロン2号だけを巻いておけば結び目もなく使い勝手はスムーズだけれど、このリールはほかの釣りにも使うのでPEラインが巻いてあるのだ。
以前はウキフカセ釣り専用にナイロンラインを巻いたリールもあったのですが、ナイロンラインは常に使用していないと、巻き癖がついてしまってウキの滑りが悪くなる。なので、しかたなく釣行のたびにナイロンラインを先イトとしてPEラインに結んでいるのです。
また、風と潮の抵抗を受けにくいPEラインのみを使用する手もあるけれど、ハリのないPEラインはロッド先端のガイドに絡みやすい。狭いボート内では厄介なことこのうえないトラブルになる。
あとは、1号のクロダイウキに、ハリはグレ6号とハリスはフロロカーボン1.5号を2メートル。まぁ、だいたいこんな感じです。
今回の釣りはウキフカセ釣り。コマセはアミで付けエサはオキアミ。コマセのアミにグレ用の集魚剤を混ぜればより効果的なのだろうが、ここではアミだけでも十分釣れる(はず)
買ったオキアミが大きかったので回転しないよう真っすぐに付ける。オイラは小さいエサを丸くハリ付けするのが好みだ。エサをゆっくり沈めたいときには、腹を外側に丸める
小型ボートでは棒ウキが見やすいので、オイラはメジナねらいのときでもクロダイウキを使うが、当日のような高いうねりと強い風のある日は円すいウキのほうが効果的である
岩礁帯でダンフォース型のアンカーを使用するときは慎重に。アンカー降下時はテンションをかけてゆっくりと、着底後にロープを延ばすときも常に張った状態で送りだすこと
今回の釣行マップ(静岡県伊東市)
「海釣図V」(マップル・オンより転載)
天気に泣く
釣行日の1週間前の天気予報では降水確率60%。でも、梅雨は小雨程度ならば海上は穏やかなハズと楽観していた。それが、2~3日前の予報は曇りで前日には晴れの予報になった。
その後、詳しい天気予報もチェックすることなく釣行当日を迎え、葉山を目指して高速湾岸線を走っていると、横浜ベイブリッジから垣間見える東京湾はベタ凪。こりゃ、今日は楽しい釣りになりそうだという予感でいっぱいであった。
そのあと、東京湾を離れるとボート乗り場の砂浜に着くまで海を見ることはできない。そして、ボート乗り場に来て、ざわつく海にあぜん。沖に出ると2メートルはあるうねりと満潮でテゴ島は水没。
こりゃ、〝のんびりウキ釣り〟なんて状況ではない。たぶん、アンカーも効かないし、うねりにウキがあおられて釣りにならないだろう。コイツは小型ボートの掛かり釣りには最悪な海況だ。ぼうぜんとギザギザな水平線のかなたを見渡し思ったこと──高い磯からの
釣りにはイイ感じのうねりだな。幾度となく通った八丈小島での磯釣りをほうふつとさせる光景ではないか。あぁ、エース(八丈島でオナガメジナのこと)の酢みそ和えと島ずしが食いてぇ。
狭いボートの中で長い磯ザオは確かに扱いづらいが、細いハリスで大物に対応するにはやっぱ磯ザオがベストだ。4 5メートル、1~2号がボート釣りにちょうどいいサイズだ
うねりと風でオモリ調整が難しい。オモリが軽ければ風でトップが倒れ、重ければうねりで沈んでしまう。ちなみに、ラインはPE1号に先イトとしてナイロン2号を結んだ変則タイプ
岸寄りのポイントで釣り始めるが、ボートもエサもねらいとは真逆に流れて釣りにならない。やっと釣れたのはチャリコ(マダイの幼魚)。こんなサイズでもコツンと小気味よいアタリでウキが沈んだ
アタリはあれど
とりあえず、うねりを避けるために群島の中ほどまで戻って釣りをするが、テゴ島の先端以外では釣れる気がまったくしない。一応、ジギングとエギングタックルを持ってきてはいるが、アミコマセを使わずに持ち帰る気にはなれない。コマセとして使えばコマセだが、そのまま海へ投入すればゴミの不法投棄になる。
しかたなく、付けエサを投入する前後のタイミングでコマセをいつもより多めに打つ。すると投入のたびに付けエサがなくなる。しかし、エサの取られ方が小魚のジャミな感じ。余計なエサ取りばかり集めてしまったようだ。
その後、浅場のシロギスポイントに移動しても意地のウキ釣りは続行。Y男はワームとオキアミでシロギスをねらうも、アンカリングしているためか、エソ1尾の釣果のみ。
というわけで、今回は本命どころかゲストもゼロのサイテーな結果となりました。あと、この号が発売されているころ、葉山はアオリイカ禁漁期ですヨ~。
シロギス釣り場でもウキ釣りを敢行していたオイラに今日イチのアタリがきた。重みはあるがメジナのような突っ込みはなく、さかんに首を振るのでこれもエソかと思っていた
フグでした。イイ感じでロッドが曲がってそれなりのファイトでチョイト楽しくなってしまいました。その後のフグ地獄を危惧したが、幸か不幸かこの1尾だけでした
(文=須藤恭介[Mr.ツリック] 写真=幸野庸平/舵社)
今回お世話になった貸しボート店
過去にも何度か登場した貸しボート店兼釣具店。船外機付きのボートもあるが、多くが2人乗りの手漕ぎボートをレンタルしているもよう。手漕ぎには、砂浜から手漕ぎで行くのと、曳船する2タイプがある。シロギスやアオリイカ、マダイ、クロダイ、ヒラメ、青ものなど多種多様な魚をねらうことができる。
葉山釣具センター
[住 所]神奈川県三浦郡葉山町堀内363
[料 金]4,000円~
[定休日]不定休
今回は、『BoatCLUB』2024年9月号に掲載された連載「孤高の釣り人Mr.ツリックの ふらっと貸しボートに乗りにきた」を一部再編集したダイジェスト版をお届けしました。
※取材は2024年6月に実施。記事内に掲載されている写真の内容などは、取材当時のものです。