堅牢な船体にタフな走り、クラフトマンシップあふれる木工。そんな北欧フィンランドボートの王道を行くのが「ノードスター(Nordstar)」だ。
今年1月から、ユニマットプレシャスが日本でのインポーター業務を開始。本格的な展開が始まったばかりのこのブランドに注目しよう。
ノードスターを建造するリネックスボート社(Linex-Boat Oy)の創業は1920年と、実に100年以上にわたる歴史を持つ。木製の漁船やワークボートの建造からスタートし、1940年代後半からはプレジャーボートも扱うようになり、1984年には最初のFRP艇をリリースした。ノードスターのブランド名を使い始めたのは1990年代後半から。
創業当時の様子(上)と、同社が1940年代から手掛けるようになった木造プレジャーボート(下)
現在のラインアップは、26から49まで7モデル。基本的にはスターンドライブ仕様だが、小型艇では船外機、大型艇ではボルボ・ペンタのIPSの選択肢も用意されている。
ラインアップ中、最大モデルとなる「ノードスター49+」
同社の現在のCEOを務めるのはサイモン・リンドクビスト氏で、創業者のシバート・リンドクビスト氏から数えて4代目にあたる。長年にわたって堅実に家族経営を続けており、その製品には揺るぎないポリシーが見えてくる。
例えば、強靭なハルにはこだわりがあり、ハンドレイアップによる積層は15層と厚めで、硬化には必ず3週間をかけるなど、ていねいなモノづくりも特徴の一つ。北欧艇らしいぬくもりとモダンな感覚にあふれる船内空間、そしてタフな走りが安心感を与えてくれるに違いない。
コッコラという町にある造船所。現在100人ほどの従業員が働いており、年間70隻ほどのボートを建造している。冬季は完成した艇を水に浮かべることができない土地柄とあって、工場内にはプールを備えている
(上写真2点提供=ユニマットプレシャス)
さて、今年3月23日(木)~26日(日)に開催される「ジャパン インターナショナル ボートショー 2023」では、横浜ベイサイドマリーナ会場のユニマットプレシャスのブースに、「ノードスター31+」と「ノードスター28+」の2艇が展示される。
どちらも、もちろん国内1号艇。ぜひ会場で実際にご覧になっていただきたい。
(文=舵社/安藤 健 写真提供=Linex-Boat Oy)
NORDSTAR 31+
抜群の航走性能とゆとりの居住空間を両立した「ノードスター31+」。ボルボ・ペンタD4-320 DPI(320HP/235kW)の2基がけの場合の最高速度は50ノットに達するという。
一目見ただけでノードスターとわかる、定番のスタイリングを継承し続けている。アフトコクピットの大半をカバーするひさしも、デザイン上のポイント。
広々としたアフトコクピットとスイムプラットフォームは、くつろぎの時間を過ごすにも、マリンアクティビティーを楽しむにも、使い勝手がよさそうだ。
パイロットハウスは360度が大型の窓とドアで構成されているため、操船中の視界もよく、採光性も抜群。テーブルトップは昇降式になっている。
長期クルージングにも対応した居住空間を持つことも31+の特徴。船首にはマスターステートルームを備えている。
ミジップにもステートルームがあり、左舷側のシート最後部を跳ね上げると、出入り口が現れる。こちらはシングルバース2本という構成になっている。
SPEC
〇全長:10.05m
〇全幅:3.15m
〇乾燥重量:5,500kg
〇燃料搭載量:520L
〇清水搭載量:117L
〇ドライブ方式:スターンドライブ
〇エンジン:ヤンマー4LV250(250HP/183kW)×2
※他に1基掛け、船外機仕様など各種あり
NORDSTAR 28+
ラインアップ中、最も人気があるという「ノードスター28+」。パワーユニットは、スターンドライブ仕様のほか、船外機仕様も用意されていて、3月のボートショーで展示される日本1号艇は、ヤンマー8LV370(370HP/272kW)の1基掛け。輸入・販売を手がけるユニマットプレシャスの担当者が、現地で船外機仕様の同モデルに試乗した際には、最高速度42ノット、巡航速度34ノット程度で、波のたたきも柔らかく、乗り心地のよさが印象に残ったということだ。
「パトロール」というモデルも造っていたノードスターだけに、精悍な印象を受ける。乗り心地を向上させるため、ハルのストレーキに変更が施された。
ギャレーをロワーデッキに移すこと(ダウンギャレー)で、パイロットハウスには、余裕たっぷりの居住空間が実現した。後部のウインドーは開閉式で、心地よい風を取り入れられる。
パイロットハウス前方にヘルムステーション。航海計器の大型のディスプレーも設置可能だ。左舷側にはナビゲーターシート、左右にスライドドアを備える。
パイロットハウス前方に向かって階段を下りると、左側にギャレー、右側にトイレ&シャワールームが設置されている。
ナビシートを跳ね上げると、ミジップのステートルームへの出入り口が設けられている。限られた空間を上手に使うアイデアが満載だ。
SPEC
〇全長:9.5m
〇全幅:3.1m
〇乾燥重量:4,500kg
〇燃料搭載量:585
〇清水搭載量:135L
〇ドライブ方式:スターンドライブ
〇エンジン:ヤンマー8LV370(370HP/272kW)
※他に2基掛け、船外機仕様など各種あり
(問い合わせ)
ユニマットプレシャス
●関東営業所(浦賀)
TEL: 046-844-2111
●中部営業所(豊川)
TEL: 0533-76-3100
●関西営業所(西宮)
TEL: 0798-31-5066
https://www.unimat-marine.com/
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