自分好みの理想のヨットを造る──そんな特別な楽しみ方を実現することのできる一艇、岡崎40デッキサルーンを紹介しよう。
いまや日本では唯一といってもいいヨットビルダーである岡崎造船(小豆島)の手に成る、この岡崎40デッキサルーン。大橋且典氏(ヴァンデスュタット大橋)が設計を手掛けた純国産クルージングヨットである。同社の大きなセールスポイントの一つが、可能な限りユーザーのリクエストに応えるという小回りのよさにもあるが、この艇もそんなオーナーの思いが存分に具現化したヨットだといえるだろう。リタイアを機に、国内、そしてその先は海外へのクルージングをも視野に入れて造られ、とても魅力的な一艇に仕上がっている。
(文=舵社/安藤 健 写真=松本和久)
奇をてらわないオーソドックスなスタイルが目につく。デッキにはフレキシチーク(チーク調デッキ材)が施され、高級感を醸し出している。
全長40ftではあるが、シングルホイールを採用。このエリア全体にビミニトップを展開することが可能になっており、ロングクルージング中も快適に過ごせるようになっている。
メインシートはドッグハウス上にあり、シート類は手元でコントロールすることができるようにリードされている。テーブルの形状も独特で、金物部分はつかまる場所の役割も果たしている。
取材艇のオーナーは、シングルハンドでのセーリングを楽しんでいる。ヘルムスマンシートの脇に増設された金物は、体をしっかりホールドしてくれるとともに、テザーをかける場所としても具合がいい。
メインセールはセルデンのマストファーリングシステムを採用。ひと昔前のものと比べると、ドラム自体もコンパクトになり、マストもすっきりしたものとなっている。
取材艇の電動ウインチ(オプション)は、マストファーリングとも連携しており、適度なテンションをかけながら出し引きができるようになっている。電動ウインチで引き込みすぎて、セールやドラムにトラブルを起こすリスクが大きく回避されているシステムだ。
ヘッドセールはセルフタッキングジブを採用。シングルハンドでのセーリングを意識した艤装となっている。
メインサロン。岡崎造船らしい美しい木工が目につく。この艇の木材は、マホガニーが使われている。採光部も多く、船内はとても明るい印象があった。
デッキサルーン艇では、船内にもヘルムステーションを置くケースが多いが、こちらの艇はステアリング等は設置せず、航海機器のモニターのみというシンプルな構成。ここでオートパイロットも操作できるので、荒天時も船内で快適に艇を走らせることが可能だ。
なお、イスは移動式になっていて、テーブルを囲めるようになっている。左舷側のソファと座面高さもそろえられている。
メインサロンから前方に進むと、通路の右舷側には大きなギャレー。コンロに加えて、その下のレンジもジンバル式になっている点にも注目。洋上でも安心して調理をすることが可能だ。
通路の左舷側、ギャレーの反対側は本来はバースが設けられているのだが、取材艇はシングルハンドでのセーリングを前提としているため、広々としたトイレ&シャワールームに変更した。写真中央に設置されているのは洗濯機。省水タイプで水をさほど使わず、クルージングの際には重宝しているそうだ。
バウキャビン。ここは荷物置き場兼ゲスト向けのバースとして活用しているそうだ。木の香りが今にも漂ってきそうな圧巻の仕上がり。
こちらはクォーターバース(左舷側)。十分な広さがあり、オーナーズルームとして活用されている。
エンジンはボルボ・ペンタD2-75セールドライブ(75馬力)を搭載。機走力の高さも、このモデルの魅力の一つとなっている。
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岡崎造船の人気モデルの一つとなっている岡崎40デッキサルーン。オーナーのやりたいことに合わせて、細かなカスタマイズの相談にも乗ってくれるとのことだ。
自分の理想のヨットでのロングクルージング──そんな夢をかなえてくれる一艇だといえるだろう。
舵社公式YouTubeチャンネル「Kazi Movie」の解説動画も是非ご覧ください。岡崎造船の須加田裕司さんによる面白トークに加えて、オーナーコメントもあり。見逃せません!
OKAZAKI 40 DECK SALOON
●全長:12.20m
●全幅:3.70m
●喫水:2.00m
●排水量:8.03t
●バラスト重量:3.30t
●燃料タンク:250L
●清水タンク:350L
●エンジン:ボルボ・ペンタD2-75セールドライブ(75馬力)
(問い合わせ)
岡崎造船
TEL:0879-67-2016
E-mail: info@okazakizosen.co.jp
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