船酔いしてしまうボーターにとって、“揺れ”は大きな問題だろう。
そのボートの揺れを大幅に軽減してくれる「アンチローリングジャイロ」は、これまで大型艇用のものがほとんどだったが、最近では小型艇向けの製品も登場している。
ササキコーポレーションが取り扱っている、東明工業の「アンチローリングジャイロ50T(ARG50T)」もその一つ。
サイズは大型クーラーボックス程度なので、30フィートクラスならば、艇のレイアウトによっては無理なく収まるサイズといえる。
また、DC12ボルト電源に対応しているのもうれしいところ(24ボルトにも対応)。発電機(AC100ボルト)を積むスペースがないような小型のボートでも、ジャイロの搭載が現実的なものになる。
その実力を、まずは動画で見ていただこう。
このオーナーさんは、自身は船酔いしないのだが、一緒に行く仲間に船酔いしやすい人がおり、その悩みを解決するためにジャイロを搭載した。
思惑通り、その悩みは大幅に改善されたが、思わぬ誤算があった。
それは、ボートから降りたあとの疲れ方が違うこと。
「慣れないときは不思議な感覚がするものの、慣れたら楽で、酔いにくいだけでなく、釣りもしやすいし、安心してキャビンで熱い飲み物も飲める。長時間ボートに乗っていても疲れないし、逆に、これまでいかに踏ん張って乗っていたのかわかる。これに慣れると、ジャイロが搭載されていないボートにはもう乗れなくなる」などは、そのオーナーさんの感想。
沖で15キロほども続く長大な瀬を延々と流す釣りをするというこのオーナーさんは、ジャイロを搭載したことで、非常に大きいメリットを感じたようだ。
ARG50Tのメーカーである東明工業は、航空・宇宙機器関連製品を主力に取り扱うメーカー。ARGは、まさに“宇宙品質”で作られたアンチローリングジャイロなのだ。
ARG50Tは、本体のほか、インバーターと、本体の制御を行うモータードライバーのみで構成され、取り付けも比較的容易。
ヤマハDFR-33の搭載例(下写真)を見ると、エンジンルームに本体とモータードライバーを、キャビン内左舷側シート下にインバーターがセットされていた。
実際の施工例。キャビン内床下のエンジンルームにおさまる本体
「エンジンが小型化したおかげで、ルーム内のスペースに余裕があり、うまく収めることができました」とは、施工担当者のコメント。
左舷側シート下に設置されたインバーター。すべて見えないところに設置できている
このボートでは、ジャイロを使うためにバッテリーを2個増設。もともとエアコンなどを搭載していたこともあり、ジャイロを積む前から8個搭載していたが、全部で10個になった。
船酔いに悩まされているオーナーさん、アンチローリングジャイロの搭載を検討してみてもいいのでは?
搭載には、ボート自体の浮力、重量、強度、スペースなどを総合的に検討する必要があるので、販売店であるササキコーポレーションに要相談だ。
ササキコーポレーション
ARGの販売・施工を請け負う。中国・九州エリアでマリーナ運営、ボートの販売・修理など、事業を幅広く展開している。問い合わせ先は、同社が運営するUBEマリーナ。
山口県宇部市港町1-13-7
TEL:0836-32-0656
(文=舵オンライン編集部 写真・動画=舵社/宮崎克彦)