5月17日、出航から39日目を迎えた辛坊治郎さん。
サンディエゴまでの航程は後半戦に入ったが、まだまだ長い道のり。風の力で進むヨットに乗って、太平洋を横断する・・・やっぱりなかなか壮大なチャレンジなのである。飛行機なら1日もかからずに行けますから。
古野電気の特設サイト。こちらは、5月18日0:21(日本時間)現在の位置情報だ。紆余曲折の前半戦を終え、いよいよ後半戦に突入。この時点で、出航から38日と15時間21分が経過している。
このところ天候は落ち着いているようではあるが、逆に天候が穏やかすぎてしまい、無風、微風に悩まされている模様だ。
5月17日のニッポン放送のラジオ番組「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」の番組内での定時連絡では、衛星電話を通じて、辛坊さんの現状について本人の生の声を聴くことができた。
(※電話がつながったのは5/17 17:00ごろ。辛坊さんの現在位置では5/16の21:00くらいということになる)
「満点の星の上に月が上ってきて、海面に光の帯を引いてロマンチックです。あ、でも海面に光の帯を引くってことは、海が穏やかすぎるってことなんですよ。昨日も今日も風がなかったから、海面を漂っています。この調子だと永遠に着かないから、(辛坊さんの代わりにパーソナリティーを務めている立川志らくさんに対して)ずっとやっててくださいよ」
「あ、でもこの時間になって少し風が出始めました。
(ちゃんと食べてますか?の問いに対し)
「今日はね、アンコ持ってきてたんで、おしるこ食べました。でも、餅を食べようとして、のどに詰まらせてしまったどうしようと危険を感じて、食べるかどうか悩んでます」
このところ、全然進んでいないようで、古野電気のサイトで辛坊さんの現在位置情報を見ている皆さんも心配していると思う。
今日(5/18)以降は、少しずつ風が吹いてくる予報。
©Windy
いまは海は穏やかでも、相手は自然。まだまだこれからどうなるかわからない。いまのうちに、しっかり体力を温存しておいていただきたい。
(文=舵社/安藤 健)
辛坊治郎さんの太平洋横断チャレンジを応援しよう!
古野電気の特設ウェブサイト
https://www.furuno.com/special/jp/shinbo-challenge/
あわせて読みたい!
2025.03.25
【水路を航く】#51/東京都大田区・海老取川/運河の桜とお稲荷さん 東京都港区田町付近から神奈川県・横浜の大黒ふ頭まで続く京浜運河の途中に位置する海老取川。 全長約2キロと短いその川は、、河口部で多摩川と合流し、東京湾へと注ぎ込む。 川の東側には日本の空の玄関口、羽田空港があり、西側には、京急沿線の駅周辺を中心とした昔ながらの町並みが続く。 川沿いは水辺の散策路になっており、特に桜の木々が花を咲かせる春は、合流する多摩川の土手とともに気持ちのいい散歩コースとして人気がある。川の西側、多数のキツネ像と狭い間隔で連なる鳥居が特徴的な穴守稲荷神社は“羽田空港から最も近い神社”として、航空業界の人々も多く参拝に訪れる。 (トップ画像説明) 海老取川にある都営の係留施設にて、塀を乗り越えて張り出す枝に咲き誇る桜たち。移ろう季節の華やかな一瞬を切り取ることができた 羽田空港と都心を結ぶモノレールが川沿いを走る。モノレールから眺める水路と桜の景色もいいものだが、川岸からの桜と水路とモ ノレールも秀逸な構図。長い一脚を使い、 高めの目線から撮影した 江戸時代に羽田一帯の治水のために建立された穴守稲荷神社。京急空港線、穴守稲荷駅の駅名の由来にもなっている。敷地内の稲荷山から撮影した ■穴守稲荷TEL:03-3741-0809 朱色に塗られた鳥居が幾重にも重なっている奥之宮 の千本鳥居。くぐった先には小高い稲荷山がある 境内にはキツネがたくさん。この地に飛行学校があっ た大正時代、練習生が油揚げを献じていたとのこと 神社にお参りしたら、江戸前料理に欠かせぬ アナゴとともに地酒を一杯としゃれこもう。 穴守稲荷駅近くのろばた焼きの店「千世(ちよ)」。全国の珍しい地酒をうまい肴(さかな)とともに楽し める同店人気の一品は、東京湾でとれたアナゴを使った「江戸前穴子の天ぷら」 ■千世 TEL:03-3744-1590 日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。 第51回は、『ボート倶楽部』2023年4月号に掲載された、東京の水路で見た桜の景色をお届けしました。 (※本記事の取材は2022年の3月と2023年の1月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください) (文・写真=舵社/山岸重彦) --------------------------------------------------------------------------------
続きを読む2025.03.15
グリーンランドの悪魔の親指を出発した一行は、ジョン・フランクリン率いる北極海探検隊、129人が失踪したとされる、ビーチェイ島近くのエレバス湾とテラー湾へ入った。自設計によるデッキ長43 フィートの木造カッター〈インテグリティ〉を建造し、2012年に進水させたウィル・スターリングの北西航路横断の冒険隊は、氷に覆われたリゾルートを目指す。 ◆メインカット photo by Will Stirling | 氷河の先の流氷を飛び立つ、ミツユビカモメの群れ 【短期集中連載】北西航路を走破した43フィート木造ヨット〈インテグリティ〉の大航海 ①北西航路の歴史 ②砕氷帆船の建造 ③アイスランドでの5年間 ④冒険の準備 ⑤ルネンバーグからグリーンランドへ ⑥最初の夜間航海 ⑦グリーンランドの野生動物たち ⑧悪魔の親指で過ごした1週間 〈Integrity〉諸元 デッキ長:43フィート 水線長:37フィート 喫水:7.6フィート メインセール:675平方フィート 第2レグのおおまかな航程 アイスバーグ(氷塊)に乗り移り、クライミング。氷は信じられないほど硬かった -------------------------------------------------------------------------------- Transit of the North West Passage(北西航路横断) ジョン・フランクリンが失踪した海 気象条件と流氷の分布をにらみながら機を待つ内に、ようやく北西航路の始点へと渡る好機が訪れた。北極海を横切ってカナダに向かう私たちの航路は、流氷にできるだけ近づかないようにするため、かなり蛇行したものとなった。マストのてっぺんには青空が見えているのに、海上には濃霧がずっと立ち込めた中での3日間は、かなり長い時間に感じられた。それから、疑う人に言っておくが、霧虹(にじきり)は確かに存在する。 この横断航海中、われわれはコンパスをチェックするために、現地時間の真夜中に太陽高度を測った。通常は、太陽が南中する現地時間の正午に行うことなのだが、われわれが進んでいる極北の海では、太陽は常に水平線上にあるため、真夜中に真北になる太陽を測るのだ。少しばかり余計に計算をしなければならないのは仕方がない。われわれが北へ北へと進むに従って、磁北と真北との差(磁気偏角)は大きくなり続け、40度近くに達した。ある海図には「この海域では、方位磁石は使いものにならない」と記載されていた。 ランカスター海峡(Lancaster Sound.74°13’00”N / 84°00’00”W)に沿って西に後退する流氷の後端を追うように進む間に、われわれは強さを増す強風から一時避難するために、ビーチェイ島(Beechey Island)近くのエレバス湾とテラー湾に入った。その島は、1845年にフランクリン遠征隊(ジョン・フランクリンが率いた英国の北極海探検隊。129人が失踪する結果に)が越冬したところだった。氷上を北に向かって吹き抜ける風の冷たさは強烈だった。フランクリンの石塚まで登って島の高台に立つと、西方の氷の状態を調べることができ、カナダ・コーンウォリス島(Cornwallis Island)のリゾルート(Resolute)へのルートを選ぶことができた。一方、人生のほとんどを船上で過ごしてきた船乗り、ヒュー・カールソンは、海上に広がる流氷の隙間を見事にとらえて、デッキ上から指示を飛ばしてわれわれを安全に導いてくれた。 ジョン・フランクリン John Franklin 王立地理協会員、イギリス海軍将校。1847年の北西航路開拓探検の途上で、消息を絶った。1859年の捜索で死亡が確認された リゾルート湾に錨泊してから6時間も経たないうちに風向きが変わり、氷が湾内に流れ込んできて船を取り囲み、岸に向かって船を押す形になった。つかの間、われわれが陥ったこの窮地の結末が危ぶまれた。なんとか氷の塊から抜け出すことを得たものの、続いて我々は同じように不適切な錨泊地を選んでいた。しかし幸運にも地元のハンターが、部分的に遮蔽された入り江に私たちを導いてくれたため、危険極まりない流氷からボートを遠ざけることができたのだ。 氷に囲まれ、風の状況も変わりやすいため、安全な泊地の選択肢はごく限られていた。私たちは地元の人々にアドバイスを求めてそれに従い、近くの入り江に船を移した。そこでは、リゾルートRCMP(王立カナダ騎馬警察)の分遣隊が親切にも、次のレグに乗り組むクルーの交代要員まで手配してくれたのだった。 (次回へ続く) ある日の食事風景。毎食、巨大でジューシーなロブスターがテーブルにあがる 人魚の髪の毛(海藻、デスマレスティア)を収穫。マーメイドになってみた 風上航を力強く帆走(はし)る〈インテグリティ〉。晴天のデイセーリングはマイルをかせぐチャンスだ マストの頭上には青空が広がるが、海面は濃霧。この海域での3日間はことさら長く感じた。ときに現れる霧虹(きりにじ)が心を癒す ウィル・スターリング氏のHP Stirling and Son (文・写真=ウィル・スターリング 翻訳=矢部洋一) text & photos by Will Stirling, translation by Yoichi Yabe ※関連記事は月刊『Kazi』2025年2月号に掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ 『Kazi』2025年2月号を購入する! --------------------------------------------------------------------------------
続きを読む2025.03.10
ボートで日本一周したい! けど実際には色々難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は沖縄県内の宮古島から多良間島と水納島の両方へと寄港すべく向かった。さて、今回はどうしよう? 【これまでの内容】 ・どんなボートで、どんな航程で、日本一周しよう? ・ボートで日本一周⑲|さらに西進!宮古島→多良間島・水納島へ -------------------------------------------------------------------------------- 多良間島も水納(みんな)島も、とんでもなく美しい海に囲まれた、ものすごくのどかな島で、ヤギもめちゃくちゃかわいかったし、なんだかとても癒やされた。つい長居してしまいそうになる魅力がある(妄想)。まぁ、長居したくなるのは、どこの港もわりかし同じだけど。 さて、次は何度か行ったことのある石垣島と西表(いりおもて)島だ。どちらも個人的に縁のある島。セールボートで海外を3年くらいかけて周っていたことがあるのだが、日本に帰国(帰港?)したのは石垣島だった(縁その1)。そして、大学のときの他大学のヨット部の先輩が西表島でカタマランのセールボートを使って観光業を営んでいる(縁その2)。以上のことから、どちらの島もセールボートで入港したことがあるし、空路で遊びに行ったこともある。 最近の島事情は変わってないかなと、件の先輩に連絡したところ、「実際に来てみればいいじゃん」って。えぇ、妄想で寄らせていただきますとも! とか言いつつ聞いてみた結果、特に港などに変更はないそうだ。 石垣島は南部にある石垣港(広い)一択。港内北部にある八重山ヨット倶楽部の桟橋に留めればいい。西表島は、いくつか港がある。フェリーが出入りするのは南東部・大原地区にある仲間港か、北部にある船浦港上原地区だ。この二つは留められないわけではないと思うが、フネの出入りが多いし、スペースが限られている。そのため、一番問題なく停泊できるのは白浜港内港で、ここに大きな公共岸壁があるのだ。白浜地区は少し町中から離れているので、静かで穏やかな港である(北西の風には弱いけど)。石垣港と白浜港の間は30マイルくらいだから足を延ばすにもいいだろう。 というわけで、あとは行くだけ! 二つの島だけでなく、以前は行けなかったほかの島にも行ってみたい。特に行ったことのない、小浜島、黒島、新城(あらぐすく)島、鳩間島なんかは行きたい。西表島の南にある波照間(はてるま)島にも行ってみたいな~。西表島では酒豪の先輩と飲み明かそうっと♪(二日酔い必至!) 一度入ったことがあるとはいえ、それは2012年のこと。もうあんまり覚えてないかも。滞在期間は長かったから島内は覚えているけど。思い出しながら行こうっと。日本には出入国できる港が指定されていて(どの国もそうだけど)、石垣島はその一つだ 八重山ヨット倶楽部桟橋は、浮桟橋。入港前には要連絡なので、サイトより問い合わせするといいだろう 石垣島最北端にある平久保埼灯台。だいたい行く観光スポットだ。私も例外なく訪れた。何度行っていい魅力があるから、また行きたい 石垣島で有名な川平湾。懐かしい!いつもグラスボートなどの観光船がたくさんいる。石垣島のビーチは、歩いていると野良ネコが寄ってきてなでさせてくれるのだ 西表島の公共岸壁の一部。結構な長さの岸壁のため、空いているところに着ければいい。ただし、しっかりしたフェンダーなどが必要。写真の人は件の先輩たちの若かりしころ 西表島では、こんな色の海が出迎えてくれる。なんだかゼリーみたいでおいしそうと思ってしまう。潜っても走っても釣りしても楽しめる海だ 日本一周を想定するボート〈BC〉の主な仕様 ●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット (文=茂木春菜/BoatCLUB編集部、写真=山岸重彦/舵社) ※当記事は月刊『BoatCLUB』2021年2月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。 月刊『BoatCLUB』の最新号はコチラから --------------------------------------------------------------------------------
続きを読む2025.03.07
ボートで日本一周したい! けど実際には色々難しいので、妄想ですることになった当企画。前回は沖縄県内の久米島から宮古島へと向かった。さて、今回はどうしよう? 【これまでの内容】 ・どんなボートで、どんな航程で、日本一周しよう? ・ボートで日本一周⑱|針路は南西!久米島→宮古島へ -------------------------------------------------------------------------------- 初めての宮古島! ここの平安名埼(へんなさき)灯台に登りたかったのだ。登れる灯台というのは、全国で16あって、その中でも南端にあるのが、宮古島の南東端にあるこ の灯台なのだ。私の友人も大好きな灯台で、絶対に島を訪れたら、行きたかったところだ。 そして、宮古島といえば、ダイナミックな地形変化を楽しめると人気のダイビングスポットでもある。地形派の私としては、非常に魅力的な場所なのだ。ということで、ダイビングも楽しめ、島を満喫できた(ハイ、全部妄想です)。 さて、次は石垣島か西表(いりおもて)島かな~、両方セールボートで行ったことあるし、問題ないな、とか思って海図を見てたら、なんと間に多良間島と水納(みんな)島があるではないか。どんな島か調べてみよっと。 だが、古い港の資料が見つかるばかりで、航海記のようなものは探しても出てこない。もしかして……と思ってお隣の編集部に聞いたら、いましたいました、行ったことある人。やったーい! というわけで、2018年夏の港の情報も写真もある♪ さっくりと寄ることに決まったのでした。 多良間島は“ヤギの島”らしい。人よりヤギが多くて、闘牛ならぬ、闘ヤギが見られるという。また、黒糖は沖縄の中でも特に美味なようで、ぜひ食べてみたい。 対して、水納島は、住人3人に対して、ヤギが300頭くらいいるらしい。行くにはチャーター船くらいしかないみたいなので、マイボートで行けるこの機会を逃すものか! 多良間島は、南北に港があって、南の多良間港普天間地区が宮古島の平良(ひらら)港との間をつなぐフェリーが入港する港。北の多良間港前泊地区は普天間に入れないときにこちらに入るための補完港のようだ。両方の島に行きたいから、まずはこの前泊の港に行こうっと。入港は、防波堤に沿っていけば問題ないらしい。 一方の水納島は、港は一つだけ。その名も水納港。入航路はすごく狭いようだけど、小さなブイ二つを右手に見ながら進めば大丈夫とのこと。 両方の島とも平坦で、5マイルくらいまで近づかないと陸地の判別がつかないらしいので、注意して行こうっと。美しい海とヒージャー(ヤギ)にまみれようではないか♪ 宮古島からほぼ西に約35マイル。多良間島のすぐ北側には水納島が。どっちも行きたいな 多良間港前泊地区の様子。きれいなところだ。普天間地区に比べて、前泊地区のほうが店などがいっぱいあるようなので、ぜひともこちらに留めたい 多良間港前泊地区のそばにはこんなきれいなビーチもあるというので、ぜひとも行かねば! 水納港に入っていくところ。この手前、右舷側に小さな白とオレンジのブイが二つ打ってあって、それを右手に見ながら入港する こんなかわいいヤギに出くわしたい♪ 日本一周を想定するボート〈BC〉の主な仕様 ●全長:8.2m ●全幅:2.7m ●搭載船外機:115馬力×2 ●燃料タンク:400L ●巡航速度:約20ノット ボートで日本一周⑳|もっと西進!多良間島→石垣島・西表島へ (文=茂木春菜/BoatCLUB編集部、写真=山岸重彦/舵社) ※当記事は月刊『BoatCLUB』2021年1月号に掲載していた「妄想全開! 机上で日本一周」の内容を再編集したものです。 月刊『BoatCLUB』の最新号はコチラから --------------------------------------------------------------------------------
続きを読む