最近よく耳にする「IoT」というワード。すなわち、Internet of Things=モノのインターネット化。さまざまな「モノ」がインターネットを通じてつながることで、情報を共有し、また相互に制御し合うという現代ならではのシステムだ。例えば、住宅内のさまざま指示管理系統をスマホに一元化する「スマートホーム」や、開発の進んでいる自動車の無人走行システムなども、こうしたIoTの最たるものといえるだろう。
そしていま、釣りの世界にも、IoTを活用した最先端のアイテムが誕生しようとしている。
スマートルアー社が開発した「SmartLure Model Zero」だ。
こちらがsmartLure Model Zeroの全貌。
ボディーには、水検知センサーほか各種センサーを内蔵。通常のルアーと同じように泳がせるだけで、着水の瞬間から離水するまでの間、魚の生息環境である水中の温度や明るさ、ルアーの動き、水深といった情報を、センサーモジュールが高精細にデータ化する。
このデータは、ユーザーが要求したタイミングでアプリに転送され、アプリ上で位置情報や日時情報、気象条件、月齢や潮汐などの情報と統合される。これが、世界中のユーザーが集めた情報としてビッグデータ化する。つまり、魚がルアーに食いつくまでの過程のデータを大量に集めることで、魚の行動や釣果への影響・・・すなわち釣りの秘密を解き明かすことができるのではないかという夢のような取り組みなのだ。
いや、正確には"夢"ではない。現代のテクノロジーが、これからの時代の"釣りを科学する"。
上は、開発中のアプリの表示画面。下は、ルアーから得られる複数のデータ(企業秘密保持のため画像は加工されています)。より多くのサンプルが集まれば集まるほど、ユーザーが得られるデータは、計り知れない価値を持つことになる。
smartLure Model Zeroに搭載されるセンサーモジュールと試作品(手前)と、これまでにスマートルアー社が開発してきたセンサーモジュール(奥)。
YouTubeに公開された製品紹介動画はコチラ↑↑
2017年のスマートルアー社の創業以来、長い歳月をかけて開発が進められているという「smartLure Model Zero」。今年1月に試作機レベルのセンサーモジュール30機が完成し、3月からのフィールドテストでは、実際に魚を釣り上げ、魚がルアーに食いつくまでの過程における高精細なデータを安定して取得できることなどが確認されている。
同社では、センサーモジュールの量産コストも把握できたため、いよいよ実用に向けてのクラウドファンディング(予約販売)を4月26日正午からスタートした。予約購入者への出荷は2022年2月からを予定している。
ファーストモデルはブラックバス向けのルアーのようだが、今後、ソルトウオーターゲーム向けなど、多様な展開を期待したい。
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水面下の様子に思いを巡らせることは、釣りの醍醐味や面白さの一つであることは間違いない。だからこそ、こんな最先端のテクノロジーを駆使したツールを使っていけば、釣りはもっともっと進化していくに違いない。要注目のアイテムだ。
(文=舵社/安藤 健)
●クラウドファンディング(Kickstarter)のプロジェクトURL(英語版)
https://www.kickstarter.com/projects/1942670366/smartlure-model-zero
●同プロジェクトの日本語訳(スマートルアー社オウンドメディア『スマルア技研』に掲載)
https://labs.smartlure.co/2021/04/26/smartlure-model-zero_pre/
(問い合わせ)
スマートルアー
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