英国の秋の祭典、サウサンプトン国際ボートショーを訪れたサウサンプトン在住のソルト祥子さんによる現地レポート。月刊『Kazi』2024年2月号掲載の記事を公開します。後編の、気になるアイテム5~7をどうぞ。(舵オンライン編集部)
※前編はコチラ!
サウサンプトン国際ボートショー 2023年9月15~24日
英国のTVで最も多く放送された映画、『ツバメ号とアマゾン号』(1974年)。12歳の時にティティ・ウォーカーを演じた女優&プロデューサーのソフィ・ネヴィルによる、映画とヨットへの愛あふれる撮影裏話。ヨット乗りの父を持ち、テムズ・スキフという木造船にマストを立ててセーリングやローイングを習得し、ピアノも弾けたことから役に抜擢された。原作は英国の湖水地方を舞台にした児童冒険文学の定番で、親子連れの観客が多数あった
映画『ツバメ号とアマゾン号』(1974年)の当時の撮影に使われた実艇の展示もあった
ヨットクラブが外洋レーサー育成に使えるような、環境に優しく、安価で速くて楽しいワンデザイン艇をと、英国のRORC、フランスのUNCL、Multiplast、VPLP、Jeanneauが共同開発したジャノー・サンファスト30。スコウにインスパイアされたバウの形、ツインラダーで、ショートハンドを視野に入れたイクイップメントを搭載
イベントのリストバンドのように、未使用時は小さく丸めることができる、ローラブル・ボートフック。丸めた状態で収納できるバッグ付き。柄の先に取り付ける部品はボートフックのほか、デッキブラシやGoPro取付具といったオプションもある。ヨット乗りのミリタリー用品デザイナーにより開発された
カートリッジを交換すればデッキブラシにも!
社会への定着と育成を目指す
次に訪れたのはフォアデッキ・ステージ。チームGBRオリンピアンの経験談やインサイト、ヨットマスター、クルージング協会、外洋メディカルトレーニング、藻場再生による生物多様性保護とCO2削減など、多様なエキスパートによるトークが繰り広げられ、ここにとどまって話を聴いているだけでも入場料以上の価値あり。
シップヤードはストリートフードを堪能しつつ、ステージのDJや生演奏を聴きながらくつろげる休憩所。週末にはラグビーワールドカップのウェールズvsポルトガル戦やイングランドvsチリ戦の生中継もスクリーンで観戦できた。
ショー・マリーナは毎年設置される臨時桟橋で、大小のセーリングヨットやモーターボートだけでなく、トールシップ、RNLIレスキュー艇、ロイヤルネイビーの艦艇、パーティークルーズ船などが所狭しと係留され、大人も子どもも内観ウェルカム。事前申し込みすれば試乗可能なものも多い。50ftトリマランの試乗もあった。
オン・ザ・ウオーター・ゾーン&ステージは、ディンギーやカヤック、SUPの体験や、フライボード&水上オートバイの競演を行うエリア。今回は荒天のため、残念ながら体験している様子には遭遇せず。
上記に加え、展示会には定番の宝探しがあり、地元の障がい者とその家族を支援するチャリティーが主催する会場周り約1kmを泳ぐオープンウオーター・スイム・イベントには出展者やサポーター約60人が参加し募金額3,000ポンドを達成。11歳以上の小中学生700人以上が学校の修学時間帯に招待されマリンレジャーを初体験。
プロフェッショナル向けには、マリン関連の企業で見習い期間を終えた若者のための修了セレモニーとキャリアガイドを用意。スーパーヨットUKによるヤング・デザイナー・コンペでは、審査パネルを務めるベテランから若きデザイナーへの造船工学の継承や、協賛企業による才能ある若者への機会を提供。
初企画の業者間ネットワーキングイベントでは、ブリティッシュ・マリン(英国のレジャーマリン事業者団体)によるコーヒーブレイクを交えながらの業界インサイト共有も行われ、ボーティングやウオータースポーツを地域や社会に根付かせ育もうとする姿勢が随所に見られたことが、今回のボートショーで印象的だった。
帆船が展示された桟橋を歩くファミリー。大人も子どもも楽しめる♪
ショーの定番「ギネス・バー」。オールドソルトが昔話に花を咲かせる
今回特に充実を見せたオン・ザ・ウオーター・ゾーン。海上展示はもちろん、SUP体験や、フライボード&水上オートバイのパフォーマンスで盛り上がった
展示艇は実に650艇。会期はなんと10日間。まさに英国最大のボートショーだ
(文・写真=ソルト祥子、写真=サウサンプトン国際ボートショー)
text & photos by Sachiko Sault, photos by Southampton International Boat Show
※関連記事は、月刊『Kazi』2024年2月号にも掲載。バックナンバーおよび電子版をぜひ
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Sachiko Sault
英国のヨット環境を経験したいと、2004年に英国サウサンプトンに移住。娘たちが10歳を過ぎる頃から、セーリングが好きになるようあれこれ仕向けているところ。本業は翻訳家。
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