【水路を航く】#38/熊本県・三角ノ瀬戸
石積みの港と海のピラミッド ~ 三角西港から三角東港へ
九州の真ん中に位置する熊本県、さらにそのほぼ中央にある宇城(うき)市。
その最西端に二つの港――明治時代に造られたままの美しい姿が残る三角西港と、近代的な三角の建物が目印の三角東港――がある。
主に石炭の輸出港として栄えた明治の三大築港の一つ、三角西港。オランダ人水理工師ムルドルが設計し、天草の石工たちの優れた技術で造られた石積みの港には回船問屋、海運倉庫、海水を引き込んで利用した排水路などが現存する。
三角西港から三角ノ瀬戸を南下、天草への架け橋である天城橋と天門橋を抜けると、三角東港の旧フェリーターミナルが見えてくる。
ほど近くにあるが趣がまったく異なる二つの港、その味わいを比べて楽しむ旅となった。
(トップ画像説明)
明治20年(1887年)に開港した三角西港は、明治時代の産業革命の遺構として世界文化遺産にも登録されており、当時と変わらぬ風情あるたたずまい。西日が水面をキラキラと輝かせる中、釣り人がイトをたらしていた。奥に見えるのは、宇城市と上天草市を結ぶ天門橋と天城橋(てんじょうきょう)
少し高台になっている山側のエリアからは、三角西港を展望することができる。奥に見えているのは天門橋と天城橋でつながる大矢野島
港を縦断するように山側から海へ延びる石造りの排水路。満潮時に海水を引き込み、干潮時に排水する天然の下水道で、国の重要文化財に指定されている
モタレノ瀬戸にある三角港波多マリーナは、海の駅としても認定されている。よく晴れた冬の朝、陽光に照らされた水面から靄(もや)が立ちのぼり、幻想的な景色が見られた
展望台にもなっている三角東港の旧フェリーターミナルの建物。三角駅や三角の町並み、海峡を通るフネはもちろんのこと、天草の島々も見渡せる
高さ25メートルの円すい形で通称「海のピラミッド」と呼ばれる旧フェリーターミナル。外から見ると白い大きな巻貝のよう
旧フェリーターミナルは、内側にあるらせん階段を使えば、てっぺんまで上ることができる
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日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。
舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。
第38回は、『ボート倶楽部』2022年3月号に掲載された、熊本県にある二つの港の風景をお届けしました。
※本記事の取材は2021年の12月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください
(文・写真=舵社/山岸重彦)
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