“日本のベニス”と称される街で――水と人の暮らし、それを包み込む自然の美

2024.12.29

【水路を航く】#48/富山県射水市・内川/川とともに暮らす街

富山県の西部、富山湾の一番奥にある射水市の北部には、細く水路のような内川が流れている。

港町を横切るように流れる川の様子から“日本のベニス”とも呼ばれている。

富山湾で操業する漁船の係留場所にもなっているが、川に架かる橋には高さ制限があるので、漁船の中でも小型のもののみが係留され、柵がない川沿いの道と相まって、水と人の暮らしが溶け合う風景が広がっている。

晴天の下、立山連峰をバックに見る内川は、それだけで十分絵になる姿だが、日暮れ時になり刻々と紺色へ変わってゆく空の下、木造の建物が並ぶ町は夕日と街灯に照らされ、一層郷愁を誘う。

 

(トップ画像説明)
日中快晴だったこの日、日没後も空はクリアで、残照に照らされ薄ピンク色に染まった立山連峰を見ることができた。静かな水面には、街灯の明かりがくっきりと映り込んでいた

 

内川にある「川の駅新湊」と富山湾の「海王丸パーク」を結び、12の橋を巡る観光クルーズ船。川に架かる低い橋をくぐり抜けるため、高さの低いフネを使用している

 

風のある日は船内が居心地いいが、そうでなければ船尾側で景色をめでるのがおすすめ。川沿いや橋を歩いている人との距離がとても近い。運航時間は9時~16時。ただし12月~2月の冬期は10時~15時(平日は予約のみ)となる
新湊観光船 TEL:0766-82-1830

 

川のほとりにある「番屋カフェ」は、築100年以上の廻船問屋「渡辺邸」を改装したカフェ&ギャラリー。映画『人生の約束』の重要なシーンのロケ地として使用されたこともある。本日のおやつと飲物が楽しめる「内川まったりセット」を味わいながらのんびり過ごすのもおすすめ 
番屋カフェ TEL:0766-75-7477

 

町が静寂に包まれる深夜、空には無数の星が輝く。川沿いは電灯がともっているため星空観察にベストな環境ではないのだが、都会とは比べものにならない美しさだ

 

日本各地にある海峡や運河などを巡る、月刊『ボート倶楽部』の人気連載「水路を航く」。 舵オンラインでは、過去に誌面で取り上げた水路の中から、印象的だったいくつかの水路を再掲する。

第48回は、『ボート倶楽部』2023年1月号に掲載された、富山県射水市・内川エリアの風景をお届けします。 (※本記事の取材は2021年の11月に実施しました。掲載内容は取材当時のものとなりますのでご注意ください)

 

(文・写真=舵社/山岸重彦) 

 



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